探偵費用は不貞相手に請求できる?裁判例から解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

不貞の証拠集めの方法として、「探偵に依頼する」という方法があります。

探偵に依頼することにより不貞行為の決定的な証拠が得られることもありますが、その費用は、慰謝料の一部として認められるか否かは事件によって異なり、裁判所は認める場合と認めない場合があります。

調査費用の請求が認められるためには、探偵に依頼しなければ不貞行為の事実を立証することができなかったことが必要となるのです。

この記事では、実際の判例をもとに離婚問題専門の弁護士が、詳しく解説いたします。

調査費用を損害として認めなかった裁判例

以下のような場合、わざわざ調査会社に調査を依頼する必要性・相当性が認められないとして、調査費用を慰謝料の中に算入することを否定しています。

東京地裁 平成22年2月23日

調査の前に配偶者に不貞を問いただしたこともなく、当初から不貞相手が、調査対象の期間外での不貞行為の事実を認めていた場合

東京地裁 平成22年12月21日

配偶者と不貞相手との密会の様子についての配偶者のSNSへの書き込みがあることを把握していた場合

これらのことからすると、相手方が既に不貞の事実を認めていた場合や、他に証拠が存在していた場合には、調査費用の慰謝料算入は認められないものと考えられるでしょう。

探偵調査費用を損害として認めなかった裁判例

その一方で、調査費用の一部を損害として認めた裁判例もあります。

東京地裁 平成23年12月28

不貞相手が不貞行為の事実を否定しているものの、不貞相手の名前のみが記載されていた手帳があったという場合

この事案の場合は、不貞相手が不貞行為自体を否定しており、証拠と言えるようなものが手帳しかなかったものと思われます。

手帳に不貞相手の名前が記載されているだけでは、不貞行為を立証するための証拠としては不十分です。

つまり、不貞相手の名前はわかっているものの、不貞行為があったことを示す証拠は何もなかったことになります。

したがって、探偵の調査がなければ不貞を立証することはできなかったとして、調査は必要かつ相当なものと考えられたのでしょう。

これらのことから、調査費用が慰謝料の一部に算入されるかは、不貞行為を立証するために調査会社の報告書がどの程度必要であったかということにかかってくるといえますので、そのケースごとに判断が異なってきます。

また、明確な基準がなく各裁判官の判断によることが多いと思われますので、なかなか事前に予測することは困難でしょう。

そして、これまでの裁判例をみても、調査報告書の必要性が認められたとしても、調査費用の一部を慰謝料に算入されるにすぎないケースがほとんどです。

 

 

 

まとめ

以上のことを前提にすると、調査費用については、損害として慰謝料に含めて請求できると期待しないほうがよいでしょう。

調査費用は決して安くはなく、場合によっては弁護士に支払う着手金よりも多くなってしまうこともあります。

もっとも、不貞行為が立証できれば、離婚を有利に進めることができることもあり、調査にどの程度お金をかけていくかについては悩みどころです。

現在の手持ち証拠でどの程度不貞行為が立証できるのか、気になることがあると思います。

そのような場合には、私たちデイライト法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談ください。

離婚分野において経験豊富な弁護士がご相談に乗ります。

 

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