結婚前の浮気が結婚後に発覚!離婚できる?慰謝料請求は可能?
先日、配偶者の机にあった昔の手紙をこっそり見てしまったのですが、それによると、結婚前に浮気をしていたことがわかりました。
結婚はしていない時期だったとはいえ、交際期間中だったのですから、浮気は浮気です。正直、相手を信じることができません。
結婚前の浮気を理由に離婚することはできますか?
結婚前の浮気が結婚後に発覚した場合、浮気を不貞行為として離婚原因とすることは難しいといえます。
ただし、結婚前の浮気の発覚によって婚姻関係が破綻していく場合は、婚姻を継続し難い重大な事由として、離婚を考えていく流れになる可能性はあります。
また、婚約や内縁関係など、結婚している夫婦と同視できるほどの状態であった場合、結婚前の浮気によって慰謝料請求が認められる可能性があります。
このページでは、結婚前の浮気が結婚後に発覚した場合にについて、離婚できるのか、どのような問題点があるのか、慰謝料請求はできるのかなどについて弁護士が解説します。
目次
結婚前の浮気の発覚が原因で離婚はできる?
結婚前の浮気が不貞行為にあたらないとはいえ、浮気の事実を知ったことにより、夫婦の信頼関係は崩れてしまうものと思います。
まずは、結婚前の浮気について打ち明け、話合いにより信頼関係の回復を図ることができるか、確認してみるのが重要といえます。
しかし、相手が浮気についてまったく認めない場合は、婚姻関係は破綻していくものという他ありません。
このような場合、もはや共同生活を送ることは難しいので、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条5号)に該当してくる可能性があります。
前述のように、結婚前の浮気を不貞行為として離婚原因とすることは難しいですが、婚姻を継続し難い重大な事由として、離婚を考えていくこととなります。
手紙を見た行為について問題はないのか
浮気や不貞が発覚するきっかけとなるのは、今回の相談者のような手紙を始め、日記、携帯電話など様々ですが、基本的には他者が勝手に見ることは控えるべきといえます。
そのようなものを見たからといって直ちに損害賠償の責任を負うというものではありませんが、見た相手が不快な気持になることは明らかなので、話合いをするなかで謝る姿勢は持っておくべきです。
結婚前の浮気が結婚後に発覚した場合の問題点
結婚前の浮気が判明した事案の問題点について解説いたします。
当事者同士での離婚は困難!?
夫婦のどちらかが離婚を決意するというのは、夫婦関係が破綻している状況です。
そのような場面では、相手方に対する不信感、怒り、恐怖、などのマイナスの感情が強く、当事者同士では冷静な話し合いは難しいかと思われます。
話がまとまらない以上、弁護士などの第3者に間に入ってもらうなどの手を考えたほうがよいでしょう。
離婚調停は時間・労力がかかる!?
当事者同士での話し合いが難しい場合、離婚調停を申立てるという方法も考えられます。
しかし、離婚調停は、とても時間がかかります。ケースにもよりますが、通常半年から1年程度は見ていた方がよいかと思われます。
また、平日の日中にあるため、お仕事をされている方は、休まなければならないでしょう。
調停手続は裁判所の運用にもよりますが、1回あたり、通常2時間から3時間程度を要します。
拘束される時間も長いため、当事者には多大な負担となるかと思われます。
相手方が離婚に応じても適切な条件とは限らない!?
仮に、相手方が協議での離婚に応じたとしても安心できません。
離婚では、親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など決めなければならないことがたくさんあります。
これらの条件は、いずれも判断が難しく、当事者だけで適切な条件で合意するのは難しいでしょう。
なお、調停手続を利用すれば、適切な条件での離婚が可能であると誤解されている方がいます。
しかし、調停は、あくまで話し合いであり、裁判所の判断を示す場でありません。
調停委員会を構成する調停委員のうち、通常対応する2名の調停委員は裁判官ではありません。
そのため法的な知識は期待できないのが現状です。
離婚が成立する条件については以下をご覧ください。
結婚前の浮気が判明した場合のポイント
上記の問題点を踏まえて、結婚前の浮気が判明した場合のポイントについて解説いたします。
まずは話し合ってみる
いくら結婚前とはいっても、交際期間中の浮気であれば、妻に対して不信感が生じるのは自然な感情といえます。
しかし、離婚は簡単にすべきではありません。
浮気したことについて、相手方に言い分があるかもしれません。
また、深く反省しているかもしれません。
まずは当事者同士、じっくりと話し合ってみてはいかがでしょうか。
それからでも離婚は遅くないと思われます。
離婚以外の選択肢を検討する
浮気した相手と離婚すべきか迷っているようであれば、離婚以外の選択肢を検討すべきです。
例えば、とりあえず別居して、冷却期間を置くということが考えられます。
別居して、冷静になって、これまでのこと、今後のことを考えてみてもよいと思います。
また、独りで悩むのは、つらい場合があります。
そのような場合は、カウンセリングを受けると心が楽になるかもしれません。症状によっては心療内科の受診も検討すべきです。
離婚しないことを決断した場合でも、妻に対する不信感が残ってしまうこともあります。
そのような場合、「もう二度と浮気しない」という内容の誓約書を書いてもらうという方法もあります。
誓約書は、当事務所のホームページからサンプルのダウンロードが可能です。
「浮気(不貞行為)をしないことの誓約書」のダウンロードは以下からどうぞ。
なお、誓約書の要否や適切内容はケースによって異なります。
サンプルは参考程度にとどめて、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
別居すべきときは早期に別居する
妻との離婚を決意したけど、妻側が離婚に応じてくれないような場合は、早期の別居を検討されてください。
前記の結婚前の浮気は「不貞行為」と認められない可能性があります。
その場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかが問題となりますが、長期間の別居がないと、この要件を満たさない可能性があります。
また、離婚を決意された以上、遅かれ早かれ別居するのですから、なるべく早く別居されたほうが良いでしょう。
離婚が成立する条件については以下をご覧ください。
結婚前の浮気を理由に慰謝料を請求できる?
結婚前の浮気のケースでは、配偶者とのその浮気相手に対して慰謝料を請求できるかという点が問題となります。
結婚した後に配偶者が浮気をすれば、不貞行為を理由として慰謝料の請求が可能となります。
また、浮気が原因で離婚となれば、離婚による慰謝料も請求が可能です。
これは、婚姻関係が法的に保護されているからです。
民法は、「配偶者に不貞な行為があったとき」離婚できると規定しており、配偶者には「貞操義務」があると考えられます。
すなわち、結婚した以上、他の者と浮気・不倫をしてはならないということです。
結婚後に浮気・不倫をすると、相手から離婚請求され、慰謝料の支払い義務が生じるという点については、法令や裁判実務で確立しており、また、世間一般的にも常識だと思われます。
なお、慰謝料については以下のページでくわしく解説していますので、ぜひ御覧ください。
結婚前の浮気の特殊性
結婚前の場合、結婚後と異なり、基本的に貞操義務はありません。
また、結婚前の場合、浮気をしたとしても、結婚後の場合ほど、有責性は高くないといえます。
例えば、学生同士が交際している状況で、異性と浮気した場合に、慰謝料の支払いまで認めるのは適切とは言えないでしょう。
また、交際と一口に言っても、様々な状況があります。付き合って数日のケースもあれば、10年以上交際しているカップルもいます。
このように、結婚前の浮気は、交際の程度や当事者の状況が多種多様であるため、貞操義務を一律に課すわけにはいかないという特殊性があります。
結婚前の浮気の慰謝料のポイント
結婚前の浮気の事案では、結婚している夫婦と同視できるほどの状態にあるかどうかが慰謝料請求のポイントとなります。
例えば、内縁関係があれば、法律婚に準じた扱いをすべきであり、慰謝料の請求が認められる可能性があるでしょう。
また、婚約していても、浮気があれば、慰謝料の請求が認められる可能性があると考えられます。
婚約は、婚姻の予約という法律行為であり、法的保護に値すると考えられるからです。
まとめ
結婚前の浮気が問題となるケースでは、上記のような問題点があるため、解決するためには専門的知識やノウハウが必要となります。
問題点やポイントについて、一通り解説しましたが、具体的な状況に応じてとるべき戦略は異なります。
そのため、離婚専門の弁護士に具体的な状況を伝えて、適確なアドバイスを受けるようにされてください。
当事務所では、離婚事件チームに所属する弁護士が離婚問題について親身になってご相談に応じております。
ご相談については以下をご覧ください。
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