夫の不倫を理由に過大な財産分与を請求した妻と協議離婚の事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Oさん
職業:会社役員
世帯年収:1800万円
婚姻期間:25年
解決方法:協議
子どもあり (3人)
離婚を切り出した

相手:50代専業主婦

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 減額利益
離婚 不成立 成立
財産分与 4530万円 2450万円 2080万円

 

 

状況

Oさんは約25年前に妻と結婚し、その後二女一男をもうけました。

Oさんと妻とは、Oさんの昔の女性問題があったこともあり、次第に夫婦としての会話がなくなっていきました。また、子育て等についてお互いが話し合うことなく物事が進むなど、夫婦としての実態もなくなっていました。

ある時Oさんは、こうした形だけの夫婦関係を終わらせるために妻に離婚を申し出ましたが、妻は離婚を拒否してきました。

そして一向に話は進まず、次第にこの件での連絡も取り合うこともなくなっていきました。

その後、Oさんは単身赴任をしました。

現状を何とかしたかったOさんは、今後のことについて相談するために弊所にご来所、ご相談されました。

 

 

弁護士の関わり

弁護士は、Oさんからこれまでの経緯について聞き取りを行うとともに、協議離婚の代理交渉で離婚が成立する可能性もあるなど見通しを説明しました。

Oさんからのご依頼後、弁護士は妻に内容証明郵便で協議離婚申入書を送りました。

そうしたところ、妻側にも代理人が就きました。

弁護士は、離婚の話し合いを早急に進めるため、交渉当初から具体的な離婚条件の提示を行いました。

しかし、妻側はこれを拒否しました。

そもそも妻は離婚に対して消極的な姿勢を示している様子でした。

その背景には、夫の現在の女性問題や今後の生活に対する不安がありました。

弁護士は離婚条件の提示を継続していましたが、妻側は夫の現在の女性問題を持ち出して離婚条件の引き上げを求めてきました。

その後も弁護士は粘り強く交渉を続け、協議離婚を成立させました。

財産分与

その後も弁護士は離婚条件の提示を重ねていましたが、妻側はOさんが有責配偶者(不貞行為を行った配偶者)であることを理由に離婚請求は認められない、仮に離婚するための条件の提示をしてきました。

妻側の離婚条件は、ローン完済後の共有不動産の譲渡に加えて、妻が年金を受給できるようになるまでの間、毎月生活費として30万円の支払い(総額で4500万円ほど)を求めるなど、夫が有責配偶者になるとしても過大なものでした。

その後、弁護士はOさんが有責配偶者となる可能性をも考慮に入れながら、先方にとって検討可能性のある具体的な離婚条件の提示を行い、粘り強く交渉を続けました。

そして、最終的には、財産分与としてローン完済後の共有不動産の譲渡、2450万円(但し、分割)の支払いを離婚条件とする協議離婚を成立させました。

 

 

補足

本件は、Oさんの女性問題があったことから相手方が強気に出てくる事案でした。

一般に、離婚訴訟の場合、有責配偶者(不貞行為を行った者など)からの離婚請求は認められにくい傾向にあります。

本件も訴訟になった場合は、Oさんからの離婚請求が認められない可能性の高い事案でした。

こうしたケースでは、できる限り離婚交渉(あるいは、離婚調停による裁判所での話し合い)による解決をすることが重要になります。

とはいえ、有責配偶者に対しては相手方も強気に出て、離婚条件の吊り上げを行ってくるケースがほとんどと考えてよいです。

このような場合、どうしても自分の力だけで解決するには限界があり、離婚問題の専門家によるサポートが必要なケースが多々あります。

また、問題を複雑化させずに解決することができることも多いです。

配偶者に離婚を拒絶され続けている、自分にも落ち度があるなど、離婚にお悩みの方は是非ご相談ください。

財産分与

一般に離婚に伴う財産分与では、2分の1という言葉を聞かれることが多いと思います。

たしかに、財産分与の2分の1ルールが適用されるケースも多いです。

しかし、どのような場合にもそれを当てはめるのが適切かというとそうではありません。

例えば、本件のOさんのように有責配偶者となる可能性がある場合、訴訟になった場合そもそも離婚請求が認められない可能性が高い事案では、財産分与で2分の1を主張し続けることで交渉が決裂してしまうことがあります。

有責配偶者の場合、相当長期間の別居を継続後に離婚を求めることも1つの手段ではありますが、生活費(婚姻費用)の支払い義務を免れるわけではないため、その支払いを継続しなければなりません。

その間の物心両面での負担は相当大きなものになります。

そこで、この点も加味した離婚条件の提示を行って、早期解決を図るのも1つの方法です。

本件でも、妻側はOさんが有責配偶者であるとして、離婚条件(財産分与)の大幅な引き上げを求めてきました。

そこで、弁護士は、Oさんの意向も確認しつつ、かつ相手方の過大な要求にも対応しながら慎重に交渉を進めていって、結果として協議離婚を成立させました。

本件のOさんのような状況にあって、お悩みの方は離婚問題に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。

 

 





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