旦那に隠し子がいたら?調査方法・影響【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

旦那に隠し子がいたら、結婚している間にできたことが分かった場合、不貞行為があったとして法律上離婚が認められることとなります。

結婚前からの隠し子の場合でも、正当な理由なく妻に隠し続けていたのであれば、離婚が認められる可能性もあります。

また、旦那に隠し子がいるかもしれないと疑われる場合は、戸籍謄本を調べるか、調査会社に依頼することで判明する場合があります。

このページでは、隠し子がいるかどうかの調査方法や、隠し子がいた場合の法的な問題や影響について弁護士が解説いたします。

隠し子とは?

一般に、「隠し子」とは、何らかの事情によってその存在が世間に明らかにされていない子供のことを指します。

夫婦が婚姻中に、夫が婚姻外でもうけた子供は、その存在が世間に明らかにされないことが多いため、隠し子の代表的な存在といえるでしょう。

当事務所にご相談にいらっしゃる方の中には、夫に隠し子がいるのではないかと疑いを持っても、その調査方法がわからないため、長年にわたって調べないままにしていたという方がいらっしゃいます。

しかし、「もし夫に隠し子がいたら、夫とは離婚しよう。」と考えている場合もそうでない場合も、夫に隠し子がいるかどうかは、女性にとって、今後の夫婦関係を考える上で極めて重要な事柄です。

そこで、夫に隠し子がいるのではないかとの疑いを抱いた時には、隠し子の有無を調査することをお勧めします。

 

 

隠し子がいた場合の影響

配偶者に隠し子がいることが判明したら、精神的なショックはとても大きいと思われます。

それだけでなく、以下のような法的な問題が懸念されます。

 

離婚の理由となる

結婚している間に隠し子ができた場合は、不貞行為があったと考えられるため、法律上、離婚が認められることとなります。

また、結婚前にできた隠し子の場合でも、そのことを正当な理由なく配偶者に隠し続けていたのであれば、「婚姻を継続し難い重大な理由」があるとして、離婚が認められる可能性もあります。

根拠条文
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

引用:民法|電子政府の窓口

もっとも、「婚姻を継続し難い重大な理由」に該当するか否かについては、具体的な状況に照らして慎重に判断する必要があります。

 

養育費の問題

隠し子がまだ成人していない場合で、養育費の支払を求められると、養育費の支払い義務が発生する可能性があります。

養育費の支払い義務がある場合、その額は父母の年収、扶養対象者の年令や人数等で異なります。

 

相続の問題

隠し子の親が亡くなった場合、当該隠し子が認知されていれば、亡くなった親の遺産を相続できることとなります。

認知されていない場合、直ちに相続権はありません。

しかし、隠し子が認知を請求し、DNA鑑定等によって実子であることが立証できれば相続できることになります。

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相続とは

 

 

隠し子の調査方法

隠し子の有無を調査する方法として、主に以下の2つが考えられます。

 

戸籍を調べる

まず、隠し子の有無を調べる代表的な手段は、夫の戸籍を調べるというものです。

夫が隠し子を認知していた場合、夫の戸籍には子供を認知した事実が記載されます。

もっとも、夫に隠し子がいる場合でも、夫が隠し子を認知していなければ、夫の戸籍を調べたとしても隠し子の存在は明らかになりません。

そのため、戸籍の調査をしても隠し子の存在が判明しないこともあります。

 

調査会社に依頼する

隠し子の有無を調べる方法には調査会社に依頼するという方法もあります。

調査会社に依頼した場合に判明する可能性があるのは、正確には、夫が関わりを持っている女性がいるか否か、そしてその女性に子供がいるか否かということです。

もし、夫がかかわりを持っている女性に子供がおり、その子供が生まれたばかりである等の事実があれば、その子供が夫の子である可能性が出てくるということになります。

もっとも、調査会社の調査が有効なのは、夫が現在進行形で隠し子やその母親と交流している場合に限られますので、夫の現在の言動から、調査会社による調査の必要性を判断することが重要です。

戸籍の場合と調査会社に依頼する場合を簡単に比較すると下表のとおりとなります。

方法 戸籍 調査会社
特長 コストが掛らず役場で手続き可能 プロの調査会社に素行調査を依頼する
デメリット 認知していないと判明しない 費用がかかってしまう
現在進行形で交流していないと判明しない

このように、隠し子の有無を調べる方法は複数存在しますが、手続きの簡易さや費用面を考慮すると、まずは戸籍を調べてみて、戸籍上認知の事実が記載されていない場合に、調査会社に依頼することをお勧めします。

 

 

戸籍の調査方法

戸籍を調査する際は、以下の点に注意しなければなりません。

 

戸籍を取得する範囲

戸籍を調査するときは、夫の出生から現在までの全ての戸籍謄本を取得する必要があります。

なぜなら、認知の事実が記載されるのは認知当時の戸籍謄本のみであり、その後転籍などの理由で新たな戸籍が編製された場合、新たな戸籍の戸籍謄本には認知の事実が記載されることはないからです。

 

戸籍の読み方

夫の出生から現在までの全ての戸籍謄本を集めた後は、その戸籍謄本を読むことになりますが、戸籍の読み方には注意が必要です。

夫婦間に誕生した子供については、戸籍の中に子供の欄が設けられますが、認知した子供については、戸籍の中にその子供の欄が作られるわけではなく、父親の身分事項欄に「認知」の事実が記載されることになります。

そのため、一般の方が戸籍を調査した場合には、夫に隠し子がいるという事実を見落としてしまうことが少なくありませんので、戸籍の読み方にはご注意ください。

 

 

離婚後の戸籍の調査

離婚までは隠し子を認知しなかった夫が、離婚後に認知をするというケースは多くあります。

その場合でも、以下のように戸籍を調査することで、婚姻期間中に夫に隠し子がいたのかどうかを調べることが可能です。

 

自分の戸籍として取得

離婚後であっても、女性は、元夫の戸籍に記載されている自分の戸籍謄本を取得するという形で元夫の戸籍謄本を取得することが可能です。

もっとも、転籍などの理由で、元夫について新たに戸籍が編成された場合は、自分の戸籍謄本として新たな戸籍の戸籍謄本を取得することはできません。

 

子の親権者として取得

夫婦間に子供がいた場合、その子供は、父親である元夫の戸籍謄本を取得することが可能です。

子供が未成年者である場合であって、自らが子供の親権者となっていたときは、女性は、元夫の戸籍を子供の親権者として取得することが可能です。

 

 

まとめ

以上、隠し子の調査方法等について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

隠し子の存在は、戸籍謄本を調べるか、調査会社に依頼することで判明する場合があります。

費用対効果を考えると、まずは戸籍謄本の調査をお勧めしますが、戸籍謄本を適切に理解して判断するためには、専門的な知識とノウハウが必要となってきます。

そのため、隠し子についてお悩みの方は、専門の弁護士にご相談されてみられると良いでしょう。

この記事が離婚問題に直面されている方にとって、お役に立てば幸いです。

 

 

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