離婚前にやってはいけないこと

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

離婚問題に直面されている方は、現在、とてもお辛いご状況にあるかと思います。

このページでは、離婚を考えている方が注意すべき5つのポイントを解説しています。

ぜひご参考にされてください。

離婚前にやってはいけない5つのポイント

①感情的になって離婚を口にすること

離婚をすると、通常、家族構成や経済面で大きな変化が起こります。

そのため、一時的な感情で軽々に離婚の話を出すのはやめるべきです。

下記でご紹介する家族構成や経済面での影響を踏まえて、離婚を決意した段階で、相手に離婚を切り出すようにしましょう。

 

家族構成の変化

①夫婦ではなくなる

離婚をすると、当然、法律上夫婦ではなくなります。

他人となるため、夫婦の同居義務が無くなり、一般的には別々に生活することとなります。

②親権者は1人

お子さんがいるご家庭では、離婚する際に父母のいずれか一方を親権者に指定しなければなりません。

親権者と指定されなかった場合、基本的には子供と一緒に生活できなくなります。

親権者とならなかった場合、面会交流という制度があるので、一般的には定期的に子供と面会することが可能です。

しかし、仮に面会交流が認められない場合、子供と会うこともできなくなってしまいます

 

経済面での変化

①毎月もらえるお金が減る

離婚すると、お互いに扶養義務がなくなります。

したがって、相手から生活費(法律上「婚姻費用」といいます。)をもらっていた場合、これを請求する権利がなくなってしまいます。

お子さんがいる場合、親権者は養育費を受け取ることができる可能性がありますが、通常は婚姻費用よりも低額となります。

また、シングルマザーなどの世帯の場合、一定の公的扶助を受給できる可能性があります。

②相続権が無くなる

相手が亡くなった場合、配偶者に認められている法定相続権も消失してしまいます。

③財産給付を受ける可能性も

離婚すると、財産分与、慰謝料、年金分割などが問題となります。

状況にもよりますが、相手に対し、これらを請求できる可能性があります。

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下表は上記をまとめたものです。

家族構成 夫婦でなくなる 別々に生活することになる
親権者は1人
  • 非親権者は一緒に生活できない
  • 面会できない可能性もある
経済面 毎月のお金
  • 生活費を請求できない
  • 養育費をもらえるが低額となる可能性
  • 児童扶養手当等の公的扶助をもらえる可能性
相続権 配偶者の法定相続権は消失
財産分与 財産分与、慰謝料、年金分割などの可能性

 

②不倫をすること

状況にもよりますが、離婚する前に不倫をすると、有責配偶者(ゆうせきはいぐうしゃ)と認定される可能性があります。※

有責配偶者と認定されると、離婚裁判では裁判所が離婚を認めてくれにくくなります

また、相手から慰謝料を請求される可能性も生じます。

夫婦関係が上手くいっていないと、他の異性の誘惑にそそられる場合もありますが、慎重に行動したほうが良いでしょう。

 

③財産隠しや無断で財産を処分すること

結婚した後、夫婦で築いてきた財産があると、離婚時に財産分与が問題となります。

財産分与の対象となり得るのは預貯金、不動産、保険、株式、自動車などとなります。

例えば、ご自身名義の預貯金について、相手に渡したくないという気持ちから、隠匿したり、無断で処分したりするケースが見受けられますが、これらは止めるべきです。

ご自身の名義であっても、基本的には夫婦共有財産として、財産分与の対象となります

また、隠匿行為が後々発覚すると、相手方だけでなく、裁判所の印象も悪くなることが懸念されます。

 

④自分に不利となる行動をすること

離婚する場合、思わぬ言動が後々不利に働く場合があります。

例えば、相手のDVやモラハラに耐えられなくなって、子供をおいて自分だけ別居するケースが見受けられます。

別居期間が長くなると、後々親権を取得することが難しくなる可能性が出てきます。

裁判所は、親権者を判断する際、これまでの監護実績を重要視する傾向にあり、別居中に相手が監護実績を積むと、相手の方が親権者としてふさわしいと判断することが予想されるからです。

上記は一例であって、慎重に行動しなかったためにご自身が望む結果を得ることができなくなることが懸念されます。

このような事態を回避するために、離婚に迷われたら、まずは離婚問題に詳しい弁護士へ相談されることをお勧めいたします。

 

⑤弁護士以外の他士業等へ相談すること

離婚の法律相談ができる場所は数多く存在します。

士業には、弁護士の他に、行政書士、司法書士、税理士なども存在しますし、士業以外にも、離婚カウンセラーや離婚サポートセンターなどを名乗る無資格者が離婚の法律相談を受けているケースもあり、どこに相談をすればいいのか迷われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし結論として、離婚に関してお悩みの方は、弁護士へ相談されることを強くお勧めします

なぜならば、そもそも、法律上、離婚の法律相談が可能なのは弁護士に限られているからです。

弁護士以外の者が離婚の法律相談等に対応すると、非弁行為といって弁護士法違反となります。

 

 

まとめ

以上、離婚に直面している方が離婚前にやってはいけないことについて、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

離婚を考える際、まずは離婚によって生じる家族構成や経済面での変化を考えるべきであり、軽々に離婚を口にしないようにしましょう。

また、離婚前の不倫は有責配偶者と認定され、離婚請求が認められなくなる可能性があります。

財産分与が予想される状況では、財産隠し等をしないようにしましょう。

また、離婚する場合、思わぬ言動が後々不利に働く場合があります。

このような事態を回避するために、離婚問題に精通した弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

 

 


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