結婚目前で婚約破棄した場合、慰謝料は支払わないといけない?
私は、約半年前にある女性と婚約をし、同時期から同居を開始し結婚に向けた準備を進めてきました。
具体的には、以下のようなことをしてきました。
- プロポーズ
- 両家の顔合わせ
- 婚約指輪の購入・交換
- 結婚式場の予約
ところが、同居を始めてみて分かったことなのですが、彼女はとても性格がきつく、また金銭感覚も私と合いませんでした。
結婚は一生のものだと思うのですが、私は同居生活を続ける中で、このまま彼女と生涯生きていくことがどうしてもできないと思うようになりました。
そこで、あるとき、彼女に対して今回の婚約はなかったことにしてほしいと別れを切り出しました。
そうしたところ、彼女は激怒し、「あまりに一方的だ」「慰謝料請求をする」と言ってきました。
その後、同居を解消したのですが、後日、彼女から慰謝料請求をするという通知文が届きました。
私としては、今回の婚約解消について、彼女に悪いことをしたと思う反面、金銭的な補償が必要かどうかを悩んでいます。
今回のような場合、彼女に慰謝料を支払わなければならないのでしょうか?
結論としましては、今回のケースは婚約破棄にあたるため、慰謝料を支払わなければならない可能性が高いといえます。
以下、順を追って説明していきます。
婚約破棄とは
婚約破棄とは、婚約を取り交わした後に婚約を一方的に(不当に)破棄することをいいます。
そして、婚約破棄をされた側は、精神的に傷付くことになります。
そのため、婚約破棄をされた側は、婚約を不当破棄した者に対して、慰謝料等の損害賠償を請求することができる場合があります。
婚約破棄の場合の慰謝料について、詳しくはこちらをご覧ください。
婚約とは
婚約とは、簡単にいうと、将来結婚しようという合意のことです。
婚約は、口約束であっても成立します。
もっとも、仮に相手方が婚約の成立を否定してきたような場合は、交渉や裁判で、婚約の成立を証明する客観的な証拠が必要になります。
- 両家の顔合わせ
- 結納
- 婚約指輪の交換
- 結婚式場の予約
- 第三者にあてたメール など
なお、それぞれ、これさえあれば確実に証明できるというものではないのですが、上記で挙げたものは有力な証拠になり得ます。
今回の事例では、
- プロポーズ
- 両家の顔合わせ
- 婚約指輪の購入・交換
- 結婚式場の予約
をしてきたということなので、婚約が成立していたといえるでしょう。
破棄とは
婚約を不当に破棄したと判断される可能性のあるのは、以下のような場合です。
- 性格が合わない
- 親に反対された
- 結婚後に居住するところで折り合いがつかなかった
- 金銭感覚にずれがあった など
一方で、婚約破棄が正当なものと判断される可能性のあるのは、以下のような場合です。
- 婚約相手が別の異性と不貞行為をしていた
- 婚約相手から暴力を受けた など
今回の事例で婚約破棄をした理由は、「彼女はとても性格がきつく、また金銭感覚も私と合いませんでした。」とのことですので、婚約の不当な破棄と判断される可能性が高いといえます。
具体的な主張・立証について
婚約破棄による慰謝料請求をする際には、基本的には、
- ① 婚約をした事実
- ② 破棄をされた事実
- ③ 損害
- ④ ②と③との因果関係
を主張、立証していく必要があります。
請求する側としては、特に以下を行っていくことになります。
婚約破棄による慰謝料を請求された場合、例えば、上記①②で、婚約を破棄した事実は認めつつも、それが「不当」ではないことを主張・立証する必要があります。
例えば、上記のとおり、婚約相手が不貞をしていたこと、暴力をふるっていたこと等を主張・立証していくことになります。
このように、<請求する側><請求された側>により、具体的な主張・立証の見通しを立てつつ、手元にどのような資料があるかを確認することが重要です。
まずはご相談ください
婚約破棄については、評価が分かれて、判断に迷うケースも少なくありません。
また、実際に慰謝料請求をしたい、あるいは慰謝料請求をされたという場合には、ご自身で進めていくことが様々な理由から困難な場合も多いかと思います。
婚約破棄についてお悩みの方は、この問題に詳しい離婚専門弁護士にご相談されることをお勧めします。
婚約破棄について、詳しくはこちらもご覧ください。
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