DVに対して第三者ができることは?弁護士が解説

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  

DVに対して第三者ができること

DVに対し第三者ができることは、次のようなことです。

  • 被害者からの話を聴いて受け止めてあげる
  • 相談窓口への相談を勧める
  • DV問題についての理解を深める

DVは閉鎖的な環境の中で行われるものであり、第三者が介入することは難しい面もあります。

しかし、第三者の言動がきっかけとなって救われる被害者の方もいます。

他方で、第三者の言動が被害者をますます追い詰めてしまうケースもあるため、DV問題に接する際には注意を払う必要があります。

ここでは、DVに対して第三者ができることについて解説していきます。

身近にDV被害者がいるという方は、ぜひ参考になさってください。

DVとは

DVとは、「ドメスティック・バイオレンス」の略で、一般的には配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力のことをいいます。

暴力には、殴る・蹴る等の身体的なものに限らず、侮辱・嫌がらせなどの精神的なもの、性交渉を強要するなどの性的なもの、お金の自由を奪って言うことを聞かせるなどの経済的なものも含まれます。

 

 

DVに対して第三者ができること

DVに対し第三者ができることとしては、次のようなことが考えられます。

第三者ができること

話を聴いて受け止めてあげる

被害者から、DV被害について相談された場合は、まずは相手の話を聴いて、気持ちを受け止めてあげるようにするとよいでしょう。

 

話を聴くときのポイント

否定しない・責めない

被害者の方は、加害者から「お前が悪い」「お前のせいでこうなっている」などと言い続けられることにより、自尊心を奪われ、自信もなくしています。

そのような被害者の方にとって、被害について誰かに相談するというのはとても勇気が要ることでもあります。

責められるのではないか、自分が間違っているのではないかという不安を抱えつつ、それでも何とかしたいと思って相談をしています。

そのような中で、相談先の人に否定されたり、責められたりしてしまっては、「やっぱり私が悪いんだ」と思ってDVから抜け出す気力をなくし、加害者の元にとどまり続けることになりかねません。

そのため、DV被害を打ち明けられた際には、被害者の言うことを否定したり、被害者を責めたりするようなことをせず、受容的に話を聴いてあげるようにしましょう。

 

注意するべき発言
DV被害を否定するような発言

あなたが加害者とも面識がある場合は、被害者から被害について打ち明けられた際、「まさかあの人が暴力なんて振るうはずない」と思うことがあるかもしれません。

しかし、「あの人がそんなことするようには思えないけど」というような発言は控えるべです。

DV加害者は、家庭の外では態度が良く、周囲の人からも高い評価を受けていることも多いです。

家の中と外では全く別人のような人もいるということを念頭に置きつつ、被害者の言うことを受け止めてあげるようにするとよいでしょう。

また、被害者がDVの内容として話すことに対して「それはDVとは言わない」「ただの夫婦喧嘩ではないか」「夫婦なんてそんなもの」というように、DVではないとの判断を下すような発言も控えるべきです。

被害者から話を聴くときは、事実を評価するのではなく、被害者の気持ち(加害者に対し恐怖や不安などを抱いています)に寄り添うように心がけるとよいでしょう。

 

被害者を責めるような発言

「あなたにも悪いところがあったのではないか」「我慢が足りないのではないか」というように、被害者を責めるような発言は控えるべきです。

被害者は、既に「私が悪い」「私が我慢するべき」と思いこんで加害者の支配下から抜け出すことが難しい状態になっていることもあります。

上記のような発言は、この問題を助長し、被害者がDVから抜け出すことをますます難しいものにさせることになってしまいます。

また、アドバイスのつもりであっても、「早く別れればいいじゃない」「どうして逃げないの?」などと一方的な言い方をすることも避けるべきです。

たしかに、DVをする加害者から離れることは重要です。

しかし、被害者は、加害者への恐怖心や無力感、経済的な問題、子どもに影響が及ぶことへの不安、家庭を失いたくないなど、様々な事情によって逃げられないし、別れられない状況に陥っていることも多いです。

そして、被害者自身、逃げたり別れたりすることができないことに対して葛藤を抱き、悩んでいることもあります。

そのような被害者に、上記のような言い方をすると、被害者は決断できないことを責められているように感じ、ますます追い詰められてしまう可能性があります。

被害者の意思を尊重して、自分の考えを一方的に押し付けるような発言はしないように注意しましょう。

 

本人が話したがらない場合

DV被害を受けている様子がうかがわれるものの、本人が被害について打明けようとしない場合もあります。

そのような場合は、無理に聴き出そうとせずに、心配していること、困っていることがあるなら話を聴く、力になるということを伝えておくようにしましょう。

被害者は、DV被害を受けていることについて恥ずかしさや後ろめたさを感じ、相談を躊躇している場合もあります。

また、他の人に話したことが加害者にばれたら報復されるのではないかと思っていたり、家庭を失いたくないと思っていたりすることから、DVの事実が発覚することを恐れている場合もあります。

そのような複雑な心情を抱きやすいということに配慮しつつ、話しやすい状況を作っておいてあげるようにするとよいでしょう。

ただ、既に大ケガをしていたり、精神的に限界がきているような場合は、早めの対処が必要です。

「心配だから一緒に病院に行こう」などと説得して受診を勧めるようにしてください。

受診から支援につながることも多いです。

 

相談窓口への相談を勧める

身近にDV被害者の方がいる場合は、相談窓口に相談することを勧めるようにしましょう。

相談窓口の名称や連絡先を教えてあげるだけでも効果的です。
(ただし、紙のメモなどは加害者に見つかる恐れがあるので安易に渡さない方がいい場合もあります。)

可能な場合は、相談に付き添ってあげてもよいでしょう。

主な相談窓口については後ほど紹介します。

 

専門的なサポートの必要性

DVは非常にセンシティブな問題であり、適切な解決をするためには、専門的なサポートが必要です。

自己判断で対処すると、かえってDVが激化したり、第三者であるご自身にも危害が及ぶ可能性もあるので注意するべきです。

また、第三者と加害者・被害者との関係性(第三者が被害者の親族か、友人か、加害者とも面識があるかどうかなど)によって、第三者にできること・できないことの範囲も変わってきます。

適切な対処法は事案により異なりますから、まずは被害者が相談窓口に相談し、具体的な方針を立ててから手助けする方が安全で、効果的です。

 

DV問題についての理解を深める

DVの実態は複雑であり、第三者がイメージしているものと、実際に起こっていることは違うというケースは多いです。

その認識の違いが二次被害(第三者の対応で被害者がますます窮地に追い込まれてしまうこと)を招くこともあります。

二次被害を防ぎ、適切な手助けをするためには、第三者もDVの実態、問題点、加害者の特徴などについて理解しておくことが大切です。

 

 

DVの相談窓口

相談窓口

DV問題についての主な相談窓口には次のようなものがあります。

 

配偶者暴力相談支援センター

配偶者暴力相談支援センターは、DV被害者の保護のための中心的な役割を果たしている公的な機関です。

各都道府県には必ず一つ以上あり、市区町村でも独自に設置されています。

施設の名称は地域によって異なり、婦人相談所の他、女性センター、福祉事務所などが支援センターとして機能しているところもあります。

支援センターでは、相談対応、相談機関等の紹介、カウンセリング、一時保護、自立支援、その他の情報提供や援助など、総合的な支援を受けることができます。

引用:配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設一覧|内閣府

どの施設に相談に行けばよいかわからない場合は、DV相談ナビ(#8008)に電話をすれば最寄りの支援センターに自動転送され、相談や相談機関の紹介などを受けることができます。

 

DV相談+

DV相談+(プラス)は、政府が設置している相談窓口で、電話・メール(24時間受付)、チャット(外国語も対応)で相談をすることができます。

被害者が支援センターや警察などの施設に直接出向くことにハードルを感じている場合は、まずはDV相談+を利用してみることを勧めるとよいでしょう。

引用:DV相談+|内閣府

 

警察

最寄りの警察本部や警察署の生活安全課に直接出向くか、相談専用電話(#9110)でDV相談をすることができます。

日常的に身体的暴力を振るわれている場合など、危険性が高いと思う場合は警察への相談を勧めるとよいでしょう。

また、ご自身が暴力の現場に出くわした場合や、危ないと思った場合は、すぐに警察に通報するようにしてください。

 

DVに強い弁護士

弁護士には、法律相談をしたり、加害者との交渉や裁判手続きの対応などを依頼することができます。

被害者本人が別居や離婚を希望している場合はもちろんですが、「DV被害者である自覚がない」「何をしたらよいかわからない」という状態である場合も、ひとまず法律相談を受けてみることを勧めるとよいでしょう。

法律相談では、現在の状況を整理してもらったうえで、法的な解決手段や、解決までの道筋などを示してもらうことができます。

客観的に自分の状況を整理してもらうことでDV被害に気付くことができ、今後の見通しを知ることで離婚後の生活や子どものことなどに関する漠然とした不安を解消することができます。

それによって、被害者本人が解決に向けて具体的に検討していくことができるようになっていきます。

弁護士に依頼した場合は、弁護士が加害者との窓口となり、別居から加害者との交渉、法的手続きまで、全般的にサポートしてくれます。

加害者との直接接触を断ち、安全を確保しつつ、根本的な解決まで進めることができるという点は大きなメリットといえます。

 

弁護士の選び方

最終的には、被害者の方が実際に法律相談をしてみて、相性が良く、方針や費用に納得できた弁護士を選ぶことになります。

しかし、被害者がどこに相談してよいかわからず困っている場合は、第三者が一緒にインターネットで探すなどして、相談につなげてあげるようにするとよいでしょう。

DV問題に詳しい弁護士を見つけることがポイントです。

 

 

まとめ

以上、DVに対して第三者ができることについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。

第三者ができることとしては、

  • 被害者からの話を聴いて受け止めてあげる
  • 相談窓口への相談を勧める
  • DV問題についての理解を深める

などがあります。

身近な人からDV被害について相談された場合は、否定したり、責めたりせずに、まずは被害者の気持ちを受け止めてあげることが大切です。

また、DV問題を適切に解決するためには、事案に即した専門的なサポートを受けることが必要です。

被害者が相談窓口に相談できるように手助けしてあげることは、第三者の重要な役割といえます。

当事務所には、DV問題に注力する弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、DV問題にお困りの方を強力にサポートしています。

LINEなどによるオンライン相談も実施しており、全国対応が可能です。

身近にDV問題にお困りの方がいらっしゃる場合は、当事務所への相談をおすすめください。

 

 

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