性格の不一致による離婚|慰謝料の相場や請求方法も解説

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性格の不一致による離婚の場合、離婚慰謝料の請求は一般的には難しいです。

しかし、請求できる余地が全くないというわけでもありません。

また、法的に慰謝料を請求することが難しい場合でも、合意に基づき、離婚に伴う「解決金」という形でお金をもらうことは可能です。

ここでは、性格の不一致による離婚について、離婚慰謝料の請求の可否や相場を中心に解説していきます。

性格の不一致で離婚をお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

性格の不一致で離婚できる?

まずは、そもそも性格の不一致で離婚できるかについて、解説していきます。

性格の不一致を理由に離婚することはできます。

ただし、離婚できる条件や難易度は、状況や離婚の方法によって異なります。

 

性格の不一致とは?

性格の不一致とは、一般に、お互いの考え方や行動様式が異なることによって、対立や不和が生じてしまう状態をいいます。

もっとも、離婚の理由として「性格の不一致」という場合は、明確な対立や不和が生じている場合に限られず、漠然とした理由しかない場合も含まれます。

例えば、ケンカが絶えないような状態のみならず、夫婦の一方又は双方が「これ以上一緒にいたくない」「夫婦としてやっていけない」などと思っているような状態にある場合も、性格の不一致に含まれます。

 

話し合いで離婚する場合

話し合いで離婚する場合(※)は、離婚の理由が何であれ、夫婦間で離婚の合意ができれば離婚することができます。

そのため、夫婦間で合意ができる場合は、性格の不一致で離婚することができます。

(※)話し合いによる離婚の方法
裁判所を利用せずに当事者間で話し合い、離婚届にサインをして役所に提出する「協議離婚」と、裁判所で話し合い、合意によって離婚を成立させる「調停離婚」があります。

 

裁判で離婚する場合

夫婦間での合意ができない場合は、裁判で離婚が認められるかどうか判断をもらうことになります。

そして、裁判で離婚を認めてもらうためには、「離婚原因」(法律上離婚が認められる場合)が存在する必要があります。

離婚原因は、次のように定められています(民法770条1項)。

離婚原因としてみとめられる4つの理由

※かつては「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」も離婚原因として規定されていましたが、この規定は法律改正により削除されました(改正後の法律は2026年5月までに施行)

引用:民法|e−GOV法令検索

性格の不一致は、①〜③には該当しません。

そこで、④に該当するかどうかが問題となります。

「婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき」とは、結婚生活が成り立たなくなり、回復の見込みもないような状態(このような状態を「夫婦関係の破綻」といいます)を指します。

この点、一般的には、性格の不一致だけでは夫婦関係の破綻(=離婚原因)は認められません。

性格の不一致はどんな夫婦でも多少なりともあるのが普通だからです。

性格の不一致で夫婦関係が破綻したと認められるのは、よほどの事情(長期間の別居など)があるケースや、他の事情(不倫や暴力など)もあるケースに限られる傾向にあります。

例えば、「性格の不一致による夫婦喧嘩が絶えない」という程度では、夫婦関係の破綻は認められないでしょう。

一方、性格の不一致から夫婦がお互いに「相手と暮らしたくない」と思って別居するに至り、その状態が何年も続いているような場合であれば、夫婦関係の破綻が認められる可能性はあります。

 

性格の不一致で離婚する夫婦の割合

当事務所に離婚相談に訪れた方の統計データでは、離婚を考えている理由で「性格の不一致」を挙げた方は、女性が31.6%、男性が30.4%となっています。

 

女性の離婚理由ランキング
順位 離婚理由 総数に対する割合
1位 性格の不一致 31.6%
2位 精神的虐待 26.1%
3位 異性関係(相手) 15.8%
4位 暴力 10.6%
5位 その他 10.5%
6位 生活費を渡さない 9.9%
7位 浪費 8.3%
8位 性的不調和 7.3%
9位 借金 6.0%
10位 両親との不和 5.8%
11位 異性関係(自分) 3.6%
病気 3.6%
13位 同居しない 2.1%
14位 異性関係(自分か相手か未記入) 1.0%

 

男性の離婚理由ランキング
順位 離婚理由 総数に対する割合
1位 性格の不一致 31.6%
2位 精神的虐待 26.1%
3位 異性関係(相手) 15.8%
4位 暴力 10.6%
5位 その他 10.5%
6位 生活費を渡さない 9.9%
7位 浪費 8.3%
8位 性的不調和 7.3%
9位 借金 6.0%
10位 両親との不和 5.8%
11位 異性関係(自分) 3.6%
病気 3.6%
13位 同居しない 2.1%
14位 異性関係(自分か相手か未記入) 1.0%

順位は男女ともに「性格の不一致」がトップとなっています。

また、裁判所のデータによると、2023年度に申し立てられた離婚調停において、申立ての動機として「性格が合わない」を挙げた方の割合は全体の約44%だったとのことです。

性格の不一致を理由とした離婚の割合

こちらの順位も男女とも「性格が合わない」がトップとなっています。

参考:司法統計|2023年

以上から、性格の不一致で離婚する夫婦は「多い」と言ってよいと思います。

 

 

性格の不一致で離婚慰謝料を請求できる?相場は?

性格の不一致による離婚慰謝料の請求は難しい

性格の不一致による離婚慰謝料の請求は、一般的には難しいです。

離婚慰謝料とは、離婚によって受けた精神的苦痛を埋め合わせ、回復させるためのお金のことをいいます。

離婚慰謝料は、離婚に伴い当然にもらえるものではなく、離婚の原因が相手にある場合にのみ請求することができるものです。

この点、性格の不一致による離婚の場合は、夫婦の一方が離婚の原因を作ったとはいえないケースがほとんどです。

性格の不一致は、本人らの意志ではどうにもならない面があり、夫婦のどちらかの責任でそうなっているわけではないのが通常だからです。

そのため、性格の不一致の場合は、通常は離婚慰謝料を請求することはできません。

 

離婚慰謝料が認められるケース

一方的な離婚の場合は解決金がもらえるケースも

「解決金」とは、一般に、離婚に関する争いを早期かつ円満に解決するため、合意に基づいて支払われるお金のことをいいます。

離婚慰謝料の請求が難しい場合でも、「解決金」としてであれば、離婚に際してお金をもらうことは可能です。

そして、相手が一方的に離婚を望んでいる場合は、相手が解決金の支払いに応じてくれることが多いです。

相手が一方的に離婚を望んでいる場合、相手は「お金を払ってでも、離婚に応じてもらいたい(離婚の合意をしたい)」という心情である場合が多いからです。

ワンポイント:解決金の金額

解決金の金額は、つまるところ「支払う側が支払える額」かつ「もらう側が納得する額」となります。

パワーバランスや、それを踏まえた交渉次第で金額が決まるという面もあります。

もっとも、一般的には、離婚慰謝料の相場である50万円~300万円程度が目安にされ、この範囲内で決まることが多いと思います。

しかし、支払う側が高収入・高資産、かつ、離婚を強く望んでいる場合は、この相場を大幅に上回る金額となることもあります。

また、離婚しなければ支払っていたはずであった婚姻費用(夫婦の生活費のことです)の金額(何年か分の総額)が目安にされる場合もあります。

 

浮気や暴力などもあるケース

性格の不一致だけでなく、相手による浮気(不貞行為)や暴力などもあるケースでは、それらを理由に離婚慰謝料請求をすることができる可能性があります。

慰謝料を請求できる場合の相場は、50万円~300万円程度となります。

ただし、浮気などが起こる以前から性格の不一致により夫婦仲が悪かった場合は、獲得できる慰謝料が相場よりも低額になる可能性があります。

慰謝料請求できるか・できないか、どの程度請求できるかは、具体的な状況により異なります。

そのため、具体的な見通しについては専門の弁護士にご相談ください。

 

性格の不一致で離婚慰謝料が認められた例外的なケース

例外的なケースと考えられますが、性格の不一致による離婚のケースで、離婚慰謝料の請求が認められた例もあります(参考裁判例:熊本家裁昭和47年7月19日審判)。

これは、夫婦関係を維持するための努力を怠ったことについては責任を問い得るとして、妻の夫に対する離婚慰謝料の請求が認められたものです。

ただ、夫婦関係の破綻の責任は妻側(慰謝料を請求した側)にもあるとされたうえで、金額は6万円が相当と判断されました。

性格の不一致による離婚の場合、多かれ少なかれ、夫婦の双方に離婚の責任があるといえるケースがほとんどです。

そのため、仮に離婚慰謝料が認められるとしても、その金額は少額にとどまると考えられます。

 

離婚慰謝料の請求方法

離婚慰謝料は、多くの場合、離婚と一緒に、離婚の手続きの中で請求します。

すなわち、離婚協議や離婚調停、離婚裁判の手続きの中で請求し、支払うか・支払わないか、いくら支払うべきかなどについて、合意又は裁判所の決定によって取り決めることになります。

具体的な方法について詳しく知りたい方は、離婚問題に強い弁護士にご相談ください。

 

 

性格の不一致で離婚が成立した事例

当事務所の解決事例の中から、性格の不一致による離婚を成立させた方の事例をご紹介いたします。

事例 Hさん(妻側)のケース
当初、夫は離婚に難色を示していましたが、弁護士が夫の意向も尊重しつつ調整を進めた結果、離婚までの生活費(婚姻費用)を十分に確保しつつ、財産分与も適切に行ったうえで円満に協議離婚を成立させることができた事例です。

この事例の詳しい解説は、下記のページをご覧ください。

 

事例 Sさん(夫側)のケース
当初、妻は離婚に応じる条件として解決金3600万円の支払いを要求していましたが、弁護士が粘り強く交渉を続けた結果、支払う解決金を1000万円程度減額したうえで調停離婚を成立させることができた事例です。

この事例の詳しい解説は、下記のページをご覧ください。

 

事例 Fさん(妻側)のケース
当初、夫は離婚や養育費の支払いを拒否していましたが、弁護士が介入し、婚姻費用をきちんと得るというスタンスで交渉を行った結果、養育費を相当額で合意したうえで協議離婚を成立させることができた事例です。

この事例の詳しい解説は、下記のページをご覧ください。

 

 

性格の不一致で離婚するとき子どもはどうなる?

夫婦の間に未成年の子どもがいる場合は、離婚の際に子どもの親権、養育費、面会交流について取り決めをする必要があります。

子どもの親権

離婚の際には、父母の双方又は一方を子どもの親権者と定める必要があります。(かつては単独親権のみでしたが、法律改正により共同親権を選択することも可能になりました(改正後の法律は2026年5月までに施行)。)

父母の双方を親権者とする場合は、父母のどちらが子どもと一緒に暮らして面倒を見るかも決めることになります。

父母の一方を親権者とする場合は、通常は親権者となる側が子どもと一緒に暮らして面倒を見ることになります。

親権や、どちらが子どもと暮らすかについては、離婚の原因などに関係なく、子どもにとって何が幸せかという観点から取り決めることになります。

 

養育費

養育費とは、子どもの生活のためのお金のことです。

離婚後に子どもと離れて暮らす親は、子どもが独立・自立して生活できるようになるまで、この養育費を支払う必要があります。

そのため、離婚の際には、子どもの養育費の金額や支払方法についても取り決める必要があります。

 

面会交流

面会交流とは、子どもと離れて暮らす親が子どもと会うなどして交流することをいいます。

離婚の際には、この面会交流についても問題になることが多いです。

取り決めの要否や内容等は、子どもの年齢、意向、生活環境などにより異なります。

そのため、詳しくは専門の弁護士に相談されることをおすすめします。

 

 

性格の不一致で離婚するときの注意点

格の不一致で離婚するときの注意点

よく考えて後悔しないようにする

性格の不一致のケースでは、一時的な感情から勢いで離婚してしまうと、後で「やっぱり離婚するべきでなかった」と後悔することになる可能性もあります。

そのため、離婚を決意する前に、相手との関係修復の可能性や、離婚した場合の経済状況・生活面での変化、子どもへの影響等を十分に考えることが重要です。

また、離婚を決意した後も、離婚の切り出し方、離婚前に別居すべきか否か、手続きの進め方、離婚条件などについては、慎重に検討する必要があります。

これらが不十分であると、離婚成立までに時間がかかったり、経済面や子どもの親権などの面で不利な状況に陥ってしまったりする恐れがあります。

そうすると、後で「不利な条件で離婚してしまった」「損をしてしまった」などと後悔することにもなりかねません。

そのため、離婚をお考えの場合は、お早めに離婚問題に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

専門の弁護士に相談することで、離婚した場合の変化、離婚までの道筋や離婚条件の見通しなどを知ることができます。

そうすることで、適切に準備や手続きを進めることができ、納得のいく解決にもつながります。

 

離婚に強い弁護士に相談する

性格の不一致で離婚をお考えの場合は、まずは離婚問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

性格の不一致の場合、裁判での解決は難しいことが多いです。

そのため、できるだけ話し合いで解決をすることがポイントとなります。

話し合いを有利に進めるためには、法律知識や経験、交渉技術が必要となります。

そのため、離婚に向けて進めていく際には、弁護士に代理交渉(弁護士が代理人として直接相手と交渉すること)のサポート依頼を検討することもおすすめいたします。

 

 

性格の不一致と離婚についてのQ&A

性格の不一致で離婚するときの切り出し方とは?

状況により異なりますが、どのような場合であっても、タイミングや方法には十分な注意を払うべきでしょう。

少なくとも、一時的な感情から離婚を切り出すことは控え、事前に離婚専門の弁護士に相談し、必要な準備を整えたうえで切り出すべきです。

また、いきなり離婚届を突きつけるような行動は避け、まずは「夫婦関係について話し合いたい」という形で伝えた方がよいでしょう。

具体的な方法については、離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください。

 

性格の不一致での離婚はわがままだと思いますがどうでしょうか?

人それぞれの状況や考え方によると思われます。

確かに、性格の不一致は相手が悪いというわけではないので、それで離婚するのはわがままと感じる方もいらっしゃると思います。

しかし、どうしても折り合いがつかず、夫婦として生活することが非常に苦痛になってしまう場合は、離婚した方がむしろお互いのためになる可能性もあります。

このような場合は、離婚を選択すること自体は非難されるものではないと思います。

ただ、離婚に向けて進めていく過程では、相手の意向も尊重しつつ、誠実に対応することが大切です。

相手の意向を意に介さず、一方的に「離婚してくれ」と言うばかりでは、非難されても仕方がないかもしれません。

 

 

まとめ

以上、性格の不一致による離婚について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

性格の不一致による離婚は、裁判では認められにくく、離婚慰謝料を請求することも難しい傾向にあります。

そのため、できるだけ話し合いにより解決することがポイントとなります。

状況次第では、話し合いにより、「解決金」という形でお金を獲得できる場合もあります。

もっとも、どのように手続きを進めていくのが適切であるかは、具体的な事情に基づいて判断する必要があります。

そのため、性格の不一致でお悩みの方は、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

当事務所には、離婚問題に精通した弁護士のみで構成された専門チームがあり、離婚問題に悩む方々を強力にサポートしています。

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