彼氏はモラハラ?特徴や対処法を弁護士が解説|診断チェックリスト
モラハラとは、精神的な暴力のことで、簡単に言うと言葉や態度による「嫌がらせ」です。
モラハラ彼氏の主な特徴としては、①彼女を自分のモノのように扱う、②自己中心的、③外面が良いことなどが挙げられます。
モラハラは、彼女から彼氏に対してされることもありますが、ここでは、彼氏から彼女に対してされる場合に関して、加害者・被害者の特徴、モラハラ彼氏への対処法、モラハラの相談窓口について解説していきます。
彼氏の言動がモラハラに該当するかどうかのチェックリストもありますので、彼氏からのモラハラに悩まれている方は、ぜひ参考になさってください。
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モラハラとは?
モラル・ハラスメント(モラハラ)とは、精神的な暴力のことで、簡単に言うと言葉や態度による「嫌がらせ」です。
モラハラの加害者は、相手を否定したり、軽蔑したり、困惑させたりすることを繰り返し、相手の精神状態を不安定にし、自分の支配下に置いていきます。
そうして、被害者が自尊心や判断力を失い身動きがとれなくなったところで、加害者は、さらに被害者の心を傷つけ、破壊していきます。
最悪の場合、被害者を自殺に追い込むこともあります。
モラハラは、基本的には夫婦間で行われることが多いですが、恋人間や、職場や学校など、人と人の関わり合いがあるところでは、どこでも起こり得るものです。
なお、恋人間におけるモラハラは、「デートDV」と同じ意味となります。
DV(ドメスティックバイオレンス)とは、家庭内暴力のことをいいますが、法律上の夫婦に限らず、親密な関係にあるパートナー間における暴力も一般にDVといわれています。
そして、特に恋人間におけるDVは「デートDV」と呼ばれています。
当てはまると、モラハラ彼氏?【診断チェックリスト】
モラハラ彼氏の特徴
モラハラ彼氏の主な特徴としては、①彼女を自分のモノのように扱う、②自己中心的、③外面が良いことなどが挙げられます。
具体的には、次のような言動等が見られることが多いです。
いくつ当てはまればモラハラ彼氏と断定できるということではありませんが、当てはまる項目が多ければモラハラ彼氏の可能性は高くなります。
参考までにチェックしてみてください。
モラハラ彼氏の口癖
- 「そのくらいのこともできないんだね」
- 「叱ってくれたり、親身になってくれる人俺ぐらいしかいないよ?」
- 「俺がいないと何もできないよね」
- 「俺が本当にキレるとどうなるかわからないよ?」
- 「なに?その態度。俺が悪いと思ってるの?そんなことないよね。」
- 「周りの人に聞いても、みんな君が悪いって言うと思うよ」
モラハラの特徴について、詳しくはこちらをご覧ください
モラハラ被害者の特徴〜診断チェックリスト〜
モラハラ被害者は、素直で人の言うことを信じやすい、罪悪感を持ちやすい(「私が悪かったのではないか」と考えがち)といった特徴を持っていることが多いです。
被害者の方は、自分が悪いと思いがちなので、モラハラを受けていても、「私が彼を怒らせるのが悪いんだ」などと思ってしまい、相手がモラハラをしていることに気がつくことができない場合も多いです。
しかし、次のような状態になっている場合は、モラハラ被害を受けている可能性があります。
こちらも、いくつ当てはまればモラハラ被害者と断定できるというものではありませんが、当てはまる項目が多いほどモラハラ被害者である可能性は高いといえます。
参考までにチェックしてみてください。
モラハラ彼氏への対処法
彼氏と話し合ってみる
彼氏にモラハラをやめてもらい、関係を改善したいという場合は、まずは彼氏と話し合ってみることが考えられます。
具体的には、どのような行為をやめて欲しいか、なぜやめて欲しいかなどについて伝えた上で、改善を求めることが考えられます。
ただし、モラハラ彼氏は、その特徴から、自分の非を認めることは多くはありません。
そのため、モラハラ彼氏がモラハラをしたことを認めて反省し、態度を改めることは、あまり期待できるものではありません。
彼女が離れていくことを阻止したいがために、一時的に謝罪したり、反省の色を見せることもあるかもしれませんが、元のモラハラ彼氏に戻るのは時間の問題であることも多いです。
したがって、話し合いで解決できるかについては、慎重に見極める必要があります。
こちらの言うことに聞く耳を持たなかったり、「お前が悪いのがいけないんだ」と自己正当化するようであれば、話し合いで関係を改善できる可能性は低いでしょう。
仮に、話し合うことができ、彼氏が謝罪や反省を示した場合であっても、その後、本当に改善されるかは慎重に観察する必要があるでしょう。
相変わらず彼女の意思を尊重しなかったり、支配的な態度をとっているようでは、対等な関係を築いていくことは難しいと考えられます。
彼氏としばらく距離を置く
彼氏と話し合いができない、あるいは、話し合っても改善しなかったけれども、彼氏と別れる決断はできないという場合は、いったん距離を置くことをおすすめします。
モラハラ彼氏は、多くの場合、常にモラハラをしているというわけではなく、優しいときや、頼りになるとき、一緒にいて楽しいときもあるものです。
そのため、被害者の方が別れる決断をすることができないケースも多いです。
これは自然なことでもあり、悪いことではありません。
あるいは、「別れたら結婚・出産できないかもしれない」「彼氏が自分の両親に結婚相手として気に入られていて、別れたら両親がガッカリするかもしれない」などといった、深刻な気持ちから別れられない場合もあります。
しかし、別れられないからといってモラハラを受け続けていると、どんどん精神的に追い詰められていってしまいます。
そのため、関係解消については一旦保留にしつつ、ひとまず距離を置いて、モラハラを受けない状態になるようにするとよいでしょう。
具体的には、彼氏と同棲している場合は、同棲している家を出て別居するようにしましょう。
同棲していない場合は、当面の間、連絡や面会等を断つようにしましょう。
距離を置いてからの注意点
しばらく距離を置いてモラハラから抜け出すと、これまでの状況を整理し、彼氏との関係について冷静に考えられるようになることもあります。
その上で、関係の改善や、関係の解消などについて考えるとよいでしょう。
距離を置いた際の、彼氏の反応も一つの判断材料となるでしょう。
例えば、彼氏が彼女の気持ちを考えず、彼女を一方的に責めたりするようであれば、その後、関係を改善していくのは難しいかもしれません。
なお、距離を置くのに、彼氏の同意を得る必要はありませんが、一方的に距離を置いた場合、彼氏が激高してトラブルになる可能性もあります。
そのため、次に説明する「彼氏と別れる」場合と同様、トラブルになりそうな場合は間に弁護士を入れるなど、慎重に進めるようにしてください。
彼氏と別れる
モラハラ問題の根本的な解決方法は、彼氏と別れることです。
しかし、相手がモラハラ彼氏の場合、別れることを難しく感じたり、実際に別れる際にトラブルになる可能性があるという問題があります。
モラハラ彼氏とあっさり別れられる?
相手がモラハラ彼氏の場合は、あっさり別れることができない可能性もあります。
恋人の関係は、片方の意思によって一方的に解消することができます。
別れることについて、相手の同意を得る必要はありません。
しかし、モラハラの被害が深刻な場合、彼氏に逆上されるのが怖くて別れられない(別れ話ができない、別居や連絡の断絶ができない)という状況になっていることもあるでしょう。
また、彼氏に別れを告げたとしても、彼氏が別れることに同意しない場合は、トラブルに発展する可能性もあります。
例えば、
- 彼氏から「別れるなら自殺する」などと脅される
- 別れを告げた後も彼氏から連絡が絶え間なく来る
- 彼氏に待ち伏せされたり、付きまとわれたりする
などといった事態になる可能性があります。
このように、自分では別れられない場合や、トラブルになりそうな場合は、弁護士に間に入ってもらうことなどを検討してもよいでしょう。
弁護士であれば、モラハラ被害者の代理人として全面的な窓口となって加害者と対応するなどのサポートが可能です。
保護命令を申し立てる
彼氏と一緒に暮らしており、かつ、彼氏から身体的な暴力や、生命・身体に危害を及ぼすような脅しを受けた場合は、保護命令を申し立てることが考えられます。
保護命令とは、DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)に基づき、被害者からの申立てにより、裁判所が加害者に対し、被害者に接近してはならないこと等を命ずるものです。
「配偶者からの暴力」とありますが、恋人からの暴力であっても、「生活の本拠を共にする交際相手」からの暴力である場合は、DV防止法の対象となります。
したがって、彼氏と同棲しているなど一緒に生活している場合は、保護命令を申し立てることができます。
(元)彼氏と同棲や交際を解消している場合でも、同棲時から引き続いての暴力等を受けている場合は、保護命令を申し立てることができます。
他の手段も併せて検討する
保護命令は、今後加害者が被害者に暴力等を振るうのを防止するためのものであり、現に発生している緊急事態に対処するものではありません。
(元)彼氏が現に暴力を振るってきた場合など、緊急の対処が必要な場合は、すぐに警察に通報し、身の安全を確保するようにしてください。
また、現行のDV防止法においては、身体的な暴力があった場合や、生命や身体にかかわる脅迫があった場合でなければ保護命令を申立てることができません。
そのため、LINEが大量に送られてくるものの生命等を脅かすような文言は含まれていない場合や、付きまとわれているものの身体的な暴力等がない場合は、保護命令制度を利用することができません。
さらに、彼氏と同棲するなどして一緒に生活していない場合も、そもそもDV防止法の対象外となってしまうため、保護命令制度を利用することができません。
このような場合は、状況に応じて警察に相談し、ストーカー規制法に基づく警告措置などをとることが考えられます。
参考:内閣府男女共同参画局
DV防止法は2023年5月に改正法(2024年4月1日施行)が成立し、精神的な暴力の場合でも保護命令を出してもらえるようになりました。
モラハラの相談窓口
ここでは、主なモラハラの相談窓口をご紹介いたします。
夫婦間の問題を中心に扱う窓口が多いですが、恋人間の問題も受け付けています。
「別れられない自分が悪いのではないか」「夫婦間のDVに比べたら大したことないのではないか」などと思う必要は全くありません。
一人で抱え込まずに、相談するようになさってください。
公的な相談窓口で、相談・相談機関の紹介、カウンセリング、一時保護(同棲している場合)などを行っています。
都道府県が設置する婦人相談所が支援センターの機能を担う施設の1つとして位置づけられています。
その他、女性センター、福祉事務所などの公的施設が支援センターの機能を果たしている自治体もあります。
詳しくは各自治体やホームページ等でご確認ください。
全国共通の電話番号・#8008に電話をかけると、最寄りの配偶者相談支援センターに自動転送され、電話相談、面談等をすることができます。
電話相談(24時間)の他、メールやチャットでも相談等をすることができます。
利用方法等については、ホームページでご確認ください。
参考:内閣府|DV相談+
危害が及ぶ恐れがある場合、保護などを受けることができます。
警察相談専用番号・#9110で電話相談をすることも可能です。
※緊急の場合は110番通報してください。
NPO法人の運営する「デートDV相談110番」などがあります。
恋人間の暴力問題に特化しており、匿名で、電話やチャットで相談をすることができます。
法律相談や、相手との交渉、関係解消まで全面的なサポートを受けることができます。
参考:日弁連|全国の弁護士会の法律相談センター
法テラス|DV等被害者法律相談援助制度
各弁護士会の法律相談センターや法テラスでは、地域や条件によっては無料で法律相談を実施しています。
ただし、担当の弁護士を自分で選ぶことはできません。
モラハラに理解がある男女問題を扱う弁護士
恋人間の問題であっても、法律の専門家である弁護士のサポートを受けることで、適切に解決できる場合があります。
具体的には、次のようなサポートが可能です。
代理人として入ってもらう
モラハラ彼氏との話し合いが難しい場合や、自分では別れられないという場合、弁護士に代理人として間に入ってもらうことを検討されるとよいでしょう。
弁護士が対応することにより、別れる合意や今後接触しない約束等をきちんとした形(書面)で取り付けられる場合もあります。
それにより、ご自身の負担を軽減しつつ、別れた後のトラブルを防止することもできます。
法的措置のサポート
彼氏からのモラハラに対する法的措置として、慰謝料の請求を行うということも考えられます。
モラハラによって受けた精神的な苦痛を償うためのお金を求めるというものです。
もっとも、慰謝料が認められるのは、モラハラの態様が悪質な場合に限られ、ケースバイケースの判断が必要となります。
また、結婚の約束をしていたような場合は、彼氏のモラハラが原因で結婚ができなくなったことの責任に関して、複雑な問題が生じる可能性もあります。
そのため、詳しくは専門の弁護士に相談されるようにしてください。
また、状況に応じて保護命令の申立てをする場合は、専門的な知識がないと難しい面もありますので、弁護士のサポートを受けることを強くおすすめいたします。
ただし、弁護士といっても取り扱い分野は様々であり、必ずしも男女問題に詳しいとは限らないので注意が必要です。
DV問題に詳しく、モラハラに理解のある弁護士を選ぶことが重要です。
まとめ
以上、彼氏からのモラハラに関して、加害者・被害者の特徴、モラハラ彼氏への対処法、モラハラの相談窓口について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
彼氏からモラハラを受けている場合、ご自身でも気づかないうちに被害が深刻なものになってしまう可能性もあるため、早めに対処する必要があります。
専門家に相談するなどしながら、適切な方法で解決していくことが大切です。
当事務所は、離婚事件や男女問題に注力する弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、モラハラ問題について強力にサポートしています。
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