別居と同居を繰り返した場合の財産分与の基準時はいつになる?
財産分与をするにあたり、その基準時は別居時と聞きました。
しかし、私たち夫婦は一度別居しましたが、その後再び同居を始めましたが、現在では本格的に離婚の話をしていますので、また別居をしています。
いつの財産を分与の対象としたらよいのでしょうか?
この問題に弁護士がお答えします。
財産分与の基準時
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が協働して形成した財産を対象にしますので、その基準時は原則として別居時です。
財産分与の基準時を別居時とするのは、一般的に夫婦の協働関係が、別居を契機になくなるからです。
もっとも、別居をしたからといって協働関係がなくならない場合もあります。
したがって、財産分与の基準時を考える上では、この協働関係がなくなった時期がいつかを考えておく必要があります。
過去の裁判例
この点について、横浜家庭裁判所が判断をしています。問題となった事件では、以下の事実経緯がありました。
- 夫婦が結婚したのは平成7年。平成13年には長男が生まれた。
- 夫は、平成20年に自宅を出て別居を始めた。
- その後夫が自宅に戻ったのは平成23年であり、別居期間は3年間あった。この間、夫婦間ではほとんど連絡をとることはなく、家計も別であった。
- 平成25年、妻と子どもが自宅を出る形で再別居が開始した。
上記の状況で、裁判所は、第1回別居から再同居に至るまでの期間は、夫婦の協働関係がなく、財産形成に相互の寄与がないものといえるので、当該別居期間中に増えた財産を財産分与の対象から除外することで、公平を図りました。
相談者の場合
離婚協議の際は、まず、最終的に協働関係がなくなった時期(おそらく最終的に別居した時点)を財産分与の基準時とすることになります。
そのうえで、第1別居から再同居までの期間、財産形成にあたり夫婦の協働関係が全くなかったといえる場合は、当該基準時の財産から、この第1別居期間中に増えた財産を除外することになります。
ポイント
一度別居をするという場合でも、別居期間が数日から数か月と短い場合もあると思います。また、別居理由が、夫婦関係の破綻ではなく、単身赴任、留学、入院、出産のための里帰りというものもあるでしょう。
しかし、物理的に離れた夫婦でも、他方に財産管理を任せていたような場合は、財産形成に関する夫婦の協働関係が失われていないので、財産分与として考慮しなければなりません。
夫婦でどのようにしてお金の管理をしていたのか、きちんと把握しておく必要があります。
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