事実婚で不倫をしたらどうなる?弁護士が解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

事実婚のパートナーが不倫をした場合、法律上の夫婦と同様に慰謝料、財産分与、年金分割等が問題となります。

事実婚は婚姻届を提出はしていないものの、実質的には夫婦としての生活を営んでいる場合が多いです。

そのため、不倫をされた方は法律上一定の保護を受けることができます。

ここでは、事実婚においてパートナーが不倫を行った場合の慰謝料請求のほか、問題となる点について、離婚・男女問題に注力する弁護士がわかりやすく解説していきます。

事実婚でお困りの方はぜひ参考になさってください。

事実婚(内縁関係)とは?

婚姻届を提出はしていないものの、男女が婚姻の意思を持って実際に夫婦生活を営んでいる男女の関係を事実婚(内縁関係)といいます。

テレビで芸能人が内縁関係であることを告白する場面を見かけることが多々あるように、最近では、このような夫婦のかたちをとるケースも増えてきています。

フランスやアメリカなどの諸外国では内縁関係の割合が比較的高いとも言われており、法律等によってこのような夫婦関係が保護されていることもあります。

日本においても、以下の詳述するとおり、一定の保護を受けることができます。

 

 

内縁関係が成立するための要件

内縁関係が成立するための要件として、①当事者間の婚姻意思の存在②夫婦共同生活の存在が挙げられます。

内縁関係が成立するための要件

①婚姻の意思

内縁とは、法律上の届出をしていないだけで、その実質については、法律上の婚姻と同じです。

したがって、内縁関係といえるためには、当事者間において婚姻の意思があることが必要となります。

裁判において、婚姻意思を主張・立証する場合、双方の主観的意思が問題となるため、その判断にあたっては、それが外形上どのように現れているかが重要な視点となります。

たとえば、事実上の挙式をした場合、友人に対し披露宴を開いた場合友人に対して結婚した旨の連絡をしたなどの事情があるケースでは、婚姻の意思を比較的容易に立証することができます。

 

②夫婦共同生活

内縁が成立しているといえるためには、内縁の当事者が同居し、夫婦として共同生活を営んでいることが必要となります。

この要件は、婚約や単なる同棲・同居などとの対比で必要となります。

婚約とは、あくまで将来の婚姻関係を目指すものであるから、夫婦共同生活はありません。

また、単なる同棲・同居も生計が同一とはいえず、夫婦共同生活はありません。したがって、夫婦共同生活が存在しない場合には、内縁関係は成立しません。

 

内縁関係が成立するとどうなる?

内縁関係が成立しているとされた場合には、法律上の婚姻と同程度に保護され、様々な法律上の効果が発生します。

その一部をご紹介します。

1 同居・協力・扶助義務

法律上の夫婦と同様に、同居・協力・扶助の義務を負うと考えられています。

 

2 貞操義務

内縁当事者は、お互いに貞操義務を負うと考えられています。

このような義務は、慰謝料請求の根拠となります。

不貞行為によって精神的苦痛を受けた点は、法律上の婚姻関係であろうと内縁関係であろうと同様ですので、不貞行為をした配偶者及び不貞行為の相手方に対して慰謝料請求をすることができます。

その場合の慰謝料額等については、法律上の婚姻関係と同様です。

 

3 財産分与

法律上の婚姻関係と同様に、財産分与を受けることができます。分与の方法、金額等の考え方については、法律上の婚姻関係の場合と同様です。

 

4 年金分割

厚生労働省令等に特別の定めが設けられており、一定の場合には、年金分割を請求することができます。

※なお、注意が必要な事項として、相手方が死亡した場合の相続が挙げられます。相手方が死亡した場合、内縁関係の配偶者には相続権はないと考えられています。

 

法律上の問題点

内縁関係解消の場合において、主として問題となる特有の法律上の問題点について解説します。

1 婚姻の意思を立証する必要

前述のとおり、内縁関係といえるためには、当事者間において婚姻の意思があることが必要となります。

事実上の挙式をした等の事情があれば、容易に立証することはできます。

しかしながら、このような事情がない場合には、婚姻の意思の主張・立証は必ずしも容易ではありません。

その場合には、その他の事情から婚姻意思を立証していく必要があります。

たとえば、同居の期間や金銭的な結合関係、他の親族との関わり方、結婚指輪の有無、プロポーズの有無、住民票で同一世帯となっているか、住民票の続柄が妻(未届)となっているかなどの事情を個別具体的に検討する必要があります。

 

2 不法行為の立証

内縁関係の配偶者が不貞行為をした場合には、配偶者及び相手方に対して、不法行為に基づく慰謝料請求をすることができます。

この場合にも、裁判所は、まずは内縁関係の立証をする必要があります。その上で、不法行為の要件該当性を主張・立証する必要があります。

その際には、不貞行為の相手方の「過失」が問題となりえます。

すわなち、慰謝料請求をする場合には、「不貞行為の相手方が、内縁関係について知っていたこと、もしくは、知ることができたこと」という事実の立証が必要となります。

このような立証は必ずしも容易ではなく、諸般の事情を検討する必要があります。

 

お悩みの方は弁護士へご相談ください

本件では、立証するための証拠を収集しつつ、相手方に対して、財産分与や慰謝料請求をしていくべきでしょう。

なお、内縁関係の解消に伴う問題については、法律上の離婚と同様な点が多々あります。一度、離婚専門弁護士にご相談することをお勧めします。

 

 

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