1回限りの不倫で不貞行為となる?慰謝料は?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者・3級ファイナンシャルプランナー

法的には、たとえ一回限りでも配偶者以外と肉体関係を持てば、それは不貞行為になる可能性があります。

その場合、慰謝料が発生すると考えられます。

 

不貞行為とは

不倫?不貞行為とは?のイメージ

不倫とは、通常、結婚関係にある夫婦の一方が、夫もしくは妻以外の人物と交際していることをさす言葉です。

不倫は道義的に許されない、というのが一般的な感覚だと思いますが、「不貞行為」とは少し異なります。

法律上、不貞の被害者は、他方配偶者の不貞行為を根拠として、他方配偶者及び不貞行為の相手方に対し、不法行為による慰謝料を請求することができると考えられています。

この不貞行為の意味について、実務においては、「配偶者以外の者と性的関係(肉体関係)を結ぶこと」と狭義に解する説が有力です。

不貞行為をこのように狭義に考える見解に立てば、不倫と不貞行為の意味は異なることになります。

例えば、交際はしていても、まだ肉体関係がない場合、不倫関係にあっても、不貞行為とまでは認定できないこととなります。

イメージとしては、不貞行為より不倫の方が該当する範囲が広くなります。

不倫と不貞行為の関係図

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不貞行為に回数は関係ある?

不貞行為に回数は関係ある?のイメージ

不貞行為の意義について、「配偶者以外の者と性的関係(肉体関係)を結ぶこと」と解釈する見解に立てば、1度でも肉体関係を持てば、不貞行為といえます。

もっとも、慰謝料の額については、1回よりも複数回の方が悪質性が顕著となるため、高額化する可能性があると考えられます。

ただ、悪質性の有無や程度は不貞行為の回数だけでなく、加害者のその他の言動や被害者側の責任の有無や程度にも影響されます。

したがって、慰謝料の額については、不貞行為の回数だけでなく、具体的な状況をもとに総合的に判断することとなります。

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離婚は認められる?

1度限りの不貞行為であっても、離婚を考える方はいらっしゃいます。

相手が離婚に応じれば協議離婚が成立しますが、相手が離婚に応じない場合、最終的には裁判となります。

では、1度限りの不貞行為の事案で、裁判所は離婚判決を出すのでしょうか。

離婚裁判において、裁判所が離婚判決を出すためには、「離婚原因」と呼ばれる、下表の5つの要件のいずれかに該当することが必要となります(民法770条1項)。

  1. ① 相手方に不貞行為があった
  2. ② 相手方の生死が3年以上明らかでない
  3. ③ 相手方から悪意で遺棄された
  4. ④ 相手方が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
  5. ⑤ その他婚姻を継続し難い重大な理由がある

引用:民法|電子政府の窓口

1度限りの不貞行為であっても、上表の①「相手方に不貞行為があった」として、離婚判決が出る可能性があります。

しかし、状況しだいでは、裁判所が結婚の継続を相当と判断し、離婚を認めない場合もあります。

根拠条文
民法770条2項
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

引用:民法|電子政府の窓口

例えば、不貞行為があったものの、かなり以前にことであり、その後特に夫婦間の問題が見られなかったような場合です。

もっとも、離婚が認められるか否かは、個別具体的な状況に照らして専門的な判断が必要となるため、離婚専門の弁護士に確認されることをお勧めいたします。

 

 

浮気の慰謝料の問題

浮気の慰謝料を請求する場合、以下の問題が考えられます。

 

問題点①法的判断が難しい

浮気の慰謝料を請求するとき、当該行為が「不貞行為」に該当するのかが問題となります。

すなわち、不貞行為は評価的な概念です。

そのため、性交渉=不貞行為であると必ずしも言い切れません。

また、不貞行為に該当するとして、相手方から破綻を主張される可能性もあります。

さらに、不貞行為が成立するとしても、肝心の慰謝料の額はいくらなのか、などの様々な論点について、法的に判断しなければなりません。

これらについて、不貞慰謝料に精通した弁護士でなければ適切な判断は困難な場合があります。

 

問題点②冷静に話し合いができない

不貞慰謝料が問題となる事案では、当事者双方とも、感情的になってしまい、冷静な話し合いができないことがあります。

また、不貞慰謝料請求では、配偶者以外にも、浮気の相手方も慰謝料請求の対象となります。

相手方が感情的になったり、不誠実な対応をとったりすると、話し合いでの解決は難しくなります。

 

問題点③訴訟は長期化する

協議での解決が難しく、もし、裁判となると、長期化することが予想されます。

解決まで数年間を要するケースもあり、当事者双方の負担、弁護士費用の高額化などの問題が懸念されます。

 

 

浮気を認めて弁解している場合の慰謝料請求・離婚のポイント

上記の問題点を踏まえて、浮気を認めて弁解している場合の慰謝料請求及び離婚のポイントについてご紹介いたします。

POINT①離婚するか否かの決断

まずは相手方と、今すぐ離婚すべきか否かについて検討されてみてください。

相手方が「1回限りの遊びだった。」と弁解しているということであれば、肯定的に捉えると、相手方はあなたと夫婦関係を継続したがっている、すなわち、あなたのことを愛しているとも考えられます。

また、もし、あなた自身も相手方を許してあげることができるのであれば、今すぐ離婚する必要はないのではないでしょうか?

もっとも、一度、浮気があった以上、「今後も同種行動を繰り返すのではないか?」という疑念が生じると思います。

このような場合、「今後浮気しないことを約束します」という誓約書を作成することが考えられます。

誓約書には、浮気しないことのほか、誓約日を記載し、相手方の署名捺印をもらうのが一般的です。

このような誓約書は、紳士条項的なものであり、相手方の浮気を強制的に阻止する効力まではありません。

しかし、今後、関係を修復していこうとするご夫婦にとっては意味があるものと考えます。

なお、誓約書については、当事務所のホームページからサンプルを無料でダウンロード可能です。

 

POINT②不貞相手への慰謝料請求

相手方と離婚するかしないかにかかわらず、不貞相手に対しては、慰謝料の請求を検討します。

相手方が浮気自体については認めているので、不貞相手が否認する可能性は高くないと思われます。

しかし、当初、浮気を認めていても、後日、否認に転じる可能性もあるので、浮気の証拠については押さえておいたほうが安心です。

不貞行為の証拠の集め方について、詳しくは以下をどうぞ。

 

POINT③訴訟を避ける

相手方との離婚訴訟や不貞相手に対して慰謝料請求訴訟を提起する場合、解決までに長年月を要することが想定されます。

長期間、裁判で争うのはとても大変です。

可能であれば、訴訟ではなく、協議で解決されたほうがよいでしょう。

もっとも、不貞相手などが不貞行為を認めない、慰謝料の金額について誠意を見せないなどの場合、訴訟もやむを得ないと思われます。

どのような対応を取るべきか、状況しだいで変化するため、進め方については離婚に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

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