年金分割の請求期限に間に合わない・・どうしたらいい?
Q.
1年10か月前に離婚をし、年金分割という制度を最近知りました。
元夫は会社員で勤続年数も長いため、年金分割を行いたいのですが、離婚から2年以内の手続きが必要だとネットで見ました。
元夫は手続きに協力してくれそうにありませんので、年金分割を行うには裁判所を使うことになりそうです。
そうなると、離婚から2年以内に年金分割の手続きを終えることは不可能に思えます。
こんな私でも年金分割を受けることは可能なのでしょうか?
結論としては、すぐに年金分割の審判を申立てることで、年金分割を受けることが可能になります。
離婚してから2年を経過する前に家庭裁判所に審判の申立てをした場合には、審判が確定した日の翌日から起算して1か月を経過するまでは年金分割の請求をすることは可能とされています。
つまりこの事案の場合、すぐに年金分割の審判を申立て、審判が確定した日の翌日から1ヶ月以内に年金事務所で手続きをとることで、年金分割を受けることが可能になります。
年金分割とは?
年金分割は、夫又は妻の請求により婚姻期間中の厚生年金保険の記録(標準報酬月額・標準賞与額)を夫と妻の間で分割することができる制度です。
年金分割の制度には、3号分割制度と合意分割制度という2種類の制度があります。
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- 【3号分割制度】
3号分割というのは、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の標準報酬の払込記録を2分の1にするというものです。
当事者間の合意は不要で、請求を行うと自動的に2分の1に分割されます。
- 【3号分割制度】
- 【合意分割】
合意分割というのは、当事者間の合意(又はそれに代わる審判)が必要ですが、それがあれば、(法施行日である)平成19年4月1日より前の婚姻期間中の厚生年金保険の記録も分割の対象になるのが特徴です。
年金分割は離婚後いつまで請求できる?
原則として2年を経過していないこと
いずれも、原則として、離婚をした日の翌日から起算して2年を経過していないことが条件です。
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2年経過後でも請求可能な場合
しかしながら、以下の場合には、例外的に、2年経過後であっても、その日の翌月から起算して、1か月経過するまでに限り、分割請求可能です。
例外 離婚から2年を経過するまでに審判申立てを行って、本来の請求期限が経過後、又は本来請求期限経過日前の1か月以内に審判が確定した場合(審判ではなく調停の場合も同様)。
すなわち、事例のような離婚日から2年が間もなく経ってしまうという方の場合、一刻も早く、年金分割の情報通知書を取り寄せたうえで、年金分割の審判の申立てを行う必要があります。
事例では、すでに離婚から1年10か月が経過しておりますので、あと2か月放置していると、もう年金分割は見込めないことになります。
しかし、すぐに年金分割の審判を申立てると、その確定が、離婚日から2年を経過した後であったとしても、審判が確定した日から1か月以内に、年金事務所に年金分割の審判書謄本及び確定証明書を持参して手続きをとることで、年金分割を受けることが可能になります。
このように、離婚したけれども年金分割が未了であるという方は、年金分割には2年という期間制限があることを念頭において、速やかに行動をとる必要があります。
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