未婚で妊娠。慰謝料・養育費を請求できるか?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

未婚で妊娠中に別れてしまった場合、相手方に対して婚約破棄に基づく責任と、お子様の父としての責任を追及することができます。

まず、相手方が婚約を、親の反対にあったことや別に交際相手ができたことなどの不当な理由に基づき破棄した場合、相手方に対し、婚約破棄に基づく損害賠償請求を行うことが出来ます。

ここで損害の一つである慰謝料を算定するうえでは、相手方の子を妊娠していることも考慮されます。

そして、生まれてきたお子様との関係で法律上の父子関係が生じると、貴女は相手方に対し、お子様の父としての法的責任を果たすよう求めることが出来ます。

この法律上の父子関係を生じさせるには、相手方がお子様を認知する必要があります。

認知の手続は、相手方が認知届を役所に提出することにより行うことが出来ますが、相手方がすんなりと応じない場合、貴女は相手方に対し認知を求める調停を申立て、調停の中で話合いを行うことになります。

調停では、父子関係を証明するために、DNA鑑定などの方法を用いることもあるでしょう。

認知手続が完了すると、相手方は正式にお子様の法律上の父となります。

認知手続が完了すると、相手方に対し、お子様の養育費の支払いを請求することができます。

このページでは、未婚で妊娠した後に別れてしまった場合の慰謝料と養育費の対処法について、実際の相談事例をもとに弁護士が解説します。

ここで、認知の種類についてご説明します。

胎児認知

認知はお子様が生まれた後はもちろんのこと、お子様が生まれる前にも行うことが出来ます。

お子様が生まれる前に行う認知を胎児認知といいます。

胎児認知を済ませておくと、お子様の出生届を提出する際、父の欄に認知した男性の名前を記入することが出来るため、一時的にでも父の欄が空欄となることを回避することが出来ます。

もっとも、胎児認知には母の承諾書の提出が要求されています。

 

 

婚約していた場合のポイント

婚約をしていた場合で、それを一方的に破棄された場合、慰謝料を請求できる可能性があります。

婚約破棄を理由に慰謝料を請求する場合、婚約の解消について「正当な理由がない」ことが要件となります。

例えば、性格の不一致、親の反対、不倫をした(他に好きな人ができた)、信仰の差別などの場合、正当な理由がないと評価される可能性があります。

婚約破棄について、慰謝料が認められる場合や慰謝料の相場等について、以下のページで解説しています。

 

 

養育費のポイント

婚約していなかった場合は、妊娠だけを理由に慰謝料を請求するのは基本的には難しいでしょう。

しかし、婚約していなかったとしても、父親である以上、上記の事例のように養育費の問題が生じます。

養育費の額については、父母双方が合意すれば、いくらでもよく、法律上の制限はありません。

しかし、通常、母親側は少しでも高くなるように養育費を求め、父親側は少しでも安くなることを望みます。

そのため、実務上、養育費の適正額を判断するための方法があります。

養育費の算定方法については、以下のページで解説しています。

 

 

中絶する場合の金銭的な請求

仮に出産せずに、中絶する場合、養育費は当然発生しません。

この場合、慰謝料の支払い義務が問題となることがあります。

婚約の不当破棄に該当する場合は、それを理由に慰謝料を請求できますが、これに該当しない場合、中絶を理由に慰謝料を請求するのは裁判では難しいと思われます。

もっとも、相手方と話し合いで誠意を見せてもらう方向で金銭解決をしたり、中絶費用を支払ってもらったりすることは実務上、よくある解決法です。

 

まとめ

以上、未婚の場合の慰謝料や養育費の問題について、詳しく解説しましたが、いかがだったでしょうか。

未婚の事案の場合、婚約の不当破棄に該当するのか、該当する場合の慰謝料の適正額が問題となります。

また、婚約していなかったとしても、養育費の支払い義務やその適正額等が問題となります。

さらに、認知を巡って争いとなる可能性もあります。

これらを適切に解決するためには、専門家に相談の上、進めていかれたほうがよいでしょう。

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