モラハラ夫と離婚したい!モラハラ夫とスムーズに離婚できた事例
婚姻期間:3年
解決方法:調停
子どもあり (女の子)
離婚を切り出した
サポート無 | サポート有 | 利益 | |
---|---|---|---|
離婚 | ×不成立 | ○成立 | – |
慰謝料 | 約100万円を請求される | 0円 | 100万円 |
養育費 | 0円 | 月額2万円 | 約400万円 |
面会交流 | 月8回もの面会など | 月2回の面会 | – |
モラハラの状況
ご相談に来られたJさん(30代女性)は、夫と3年前に結婚し、長女をもうけましたが、結婚当初から性格の不一致に悩まされてきました。
そして、Jさんは、夫婦喧嘩の際に、夫から自らの価値を否定されるような暴言を浴びせられたことをきっかけに、離婚を決意しました。
しかし、夫は、離婚を頑なに拒否したうえ、同居していたJさんの実家からも出ていくことなく、家庭内別居状態となりました。この状態に耐え兼ねたJさんは、協議離婚の代理交渉を弁護士に依頼しました。
モラハラ相手に対する弁護士の関わり
弁護士は、夫との間で離婚協議を重ねました。しかし、夫は、離婚したくないと述べるにもかかわらず、家庭内ではJさんを無視する家庭内別居の日々が続きました。そこで、弁護士は、夫に対し、自宅からの退去を求めました。
その後、当方が申し立てた離婚調停と婚姻費用分担調停、代理人弁護士を選任した夫からの円満調停の中で、Jさんの強い離婚意思を粘り強く伝えるとともに、離婚についての話し合いを進めました。
調停は5回に及びましたが、1回目の調停で、夫は、自宅退去を承諾しました。その後も、修復を主張し続けた夫との間で、子の福祉に沿った面会交流を行いつつ、話し合いを続けた結果、5回目の調停で、当方に有利な条件で、離婚を成立させることができました。
このケースのポイントは、2つあります。1つ目は、別居、2つ目は、適正な面会交流の要求にきちんと応じたことでした。
モラルハラスメントが疑われる相手方との離婚協議のポイントは、まず相手方と物理的距離を置くことです。
なぜならば、モラルハラスメント被害者の方は、通常、加害者に対して恐怖感をもっていることから、離婚に応じてもらえない様子をみて、離婚できないのではないかと怯えたり、疲れ果て心身の健康を害されたりすることで、離婚協議を進められなくなる可能性があるためです。
このケースでも、Jさんは、子どもに関するメールで連絡の際の夫からのきつい言葉により、体調を崩しかけたため、弁護士は、別居を当面の最重要目標として、相手方に強く退去を働きかけました。
また、父子関係は良好であり、夫の話から、離婚を拒む理由のひとつは、離婚後に子と会えなくなることへの懸念にあると推測できたため、Jさんをサポートしつつ、定期的な面会交流を行いました。
その結果、相手方からの過大な要求を排斥したうえでの離婚成立につながったのです。
モラハラで離婚する場合の問題点
モラハラをする相手との離婚は、共通の問題点が見受けられます。
モラハラに精通した離婚弁護士が問題点について解説するので参考にされてください。
モラハラが理由で離婚判決は出ない?
モラハラとは、モラルハラスメントの略であり、倫理観や道徳意識に反した嫌がらせのことをいいます。
例えば、人格や存在価値を否定するような言葉の暴力があげられます。具体的には、「無能な妻」「タダ飯食らい」などの誹謗中傷です。
精神的なDVと言ってもよいでしょう。
このモラハラについては、それを理由として裁判所が離婚判決を出してくれるかが問題となります。
日本では、裁判において、離婚が認められるのは法律に規定された5つの場合(これを「離婚原因」といいます。)に限定されています(民法770条1項1号〜5号)。
- 1号 相手方に不貞行為があったとき
- 2号 相手方から悪意で遺棄されたとき
- 3号 相手方の生死が3年以上明らかでないとき
- 4号 相手方が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- 5号 その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき
モラハラが該当し得るとすれば、5号の「婚姻を継続し難い重大な理由があるとき」です。
この「婚姻を継続し難い重大な理由があるとき」に該当する典型的な事案は、別居して長期間が経過しているときです。
例えば、離婚を前提に別居して5年も経っていれば、婚姻関係は破綻しているといえ、「婚姻を継続し難い重大な理由がある」と評価できるでしょう。
しかし、モラハラはそう簡単にはいきません。
例えば、上述した「無能な妻」や「タダ飯食らい」などの暴言があったとして、それだけで婚姻関係が破綻しているとは評価できないでしょう。
通常の夫婦でも、ときには口論し、その際、ついカッとなって、相手に酷い言葉を発してしまうことはあるはずです。
したがって、多少暴言があったとしても、相手が反省して、夫婦関係を修復したいと言っているような場合、裁判所はモラハラがあっただけでは簡単に離婚判決を出すことはないのです。
もちろん、暴言が日常的に繰り返されており、加害者が反省していないなどの悪質なケースでは、裁判所も「婚姻を継続し難い重大な理由がある」と認定してくれるでしょう。
しかし、そのような悪質なモラハラの事案でも、立証の問題があります。
すなわち、モラハラ加害者は、「自分が悪いことをやっている」という罪の意識が低い傾向にあります。
したがって、裁判になって、被害者が「モラハラの被害を受けた」と主張しても、加害者から否認されることが多いです。
この場合、離婚を求めるモラハラ被害者の側で、悪質なモラハラの存在について、主張立証する必要があります。
モラハラは、身体的なDVとは異なり、目に見えない暴力です。
身体的なDVの場合、怪我をしたら、診断書を提出することでDVの立証が可能です。
しかし、モラハラは目に見えない以上、立証することが困難です。
したがって、モラハラ事案は、裁判において認定が難しいといえます。
モラハラの相手との離婚の協議は難航する傾向
上記のとおり、モラハラは裁判では敗訴の可能性があるため、できるだけ離婚裁判は回避すべきです。
したがって、まずは、協議での解決を試みるとよいでしょう。
しかし、モラハラ事案の場合、協議が困難な傾向にあります。
その理由は、被害者側、加害者側の特殊性にあります。
モラハラ被害者の特徴として、加害者に対する恐怖心をもっているということがあげられます。
したがって、自らが相手と冷静に協議することも困難という事情があります。
また、仮に協議できたとしても、加害者にうまくコントロールされてしまい、離婚を諦めさせられることもあります。
モラハラ加害者にとって、被害者は攻撃対象です。
モラハラ加害者は、被害者を攻撃することで、ストレスを発散しており、被害者に依存しています。
依存していた者との別れは、モラハラ加害者にとって、心の拠り所を奪うようなものなので、離婚には応じないことが想定されます。
また、モラハラ加害者の特徴として、世間体を気にする傾向にあります。
離婚すると、職場や親族に知られてしまうことを気にして、離婚には消極的な場合があります。
モラハラの被害は命にかかわる深刻な状況
モラハラの具体的な言動の一つ一つは、それほど悪質ではなく、些細なことのように思えます。
しかし、モラハラが長期的に継続すると、被害者の心は蝕まれていきます。
モラハラ加害者の言葉に服従するようになり、洗脳され、自分のことに自身が持てなくなり、無力感に苛まれるようになります。
そして、精神的不調をきたし、最悪の場合自殺する事案もあります。
したがって、モラハラ被害は身体的なDVよりも、むしろ深刻といえます。
モラハラの相手と離婚する3つのポイント
上記の問題点を踏まえて、モラハラの相手と離婚するポイントについて、解説します。
離婚裁判は避ける
上述したとおり、モラハラを理由として離婚訴訟を提起しても、離婚判決が出ない可能性があります。
また、離婚裁判は長期化する傾向にあるため、モラハラ被害者にとっては解決まで長期間を要することとなり、負担が大きいです。
離婚裁判について、詳しい解説はこちらのページをご覧ください。
したがって、離婚裁判はできるだけ避けたほうがよいでしょう。
モラハラ相手との協議のポイント
モラハラ事案は、被害者を救済するために早期に解決することが重要です。
そのために、まずは加害者との協議がおすすめです。
もっとも、上述したとおり、モラハラ事案では、当事者同士の話し合いが難しいという問題があります。
第三者に交渉を依頼する
そのため、自分ではなく、第三者に交渉を依頼するという方法があります。
第三者としては、離婚弁護士が考えられます。この解決事例も、当事務所の弁護士が依頼者の代理人となって相手と交渉して短期間に離婚を成立させた事案です。
離婚弁護士以外では、家族や知人に依頼することも考えられます。
しかし、素人の方の場合、その方々に多大な迷惑をかけることや、専門知識がないため適切に交渉できない、などの問題があります。
経済的合理性を認識させる
モラハラ事案の加害者の特徴として、計算高いという面もあります。
したがって、「離婚することによって、経済的には得をする」ということを認識させると、離婚に応じてくれる場合があります。
例えば、本来、裁判所の基準だと養育費は月額10万円のところ、早期に離婚に応じてくれるのであれば月額9万円とする、などの上限提示です。
モラハラ被害者の方は、経済的には少し損をしますが、「早期解決」という大きなメリットを得ることができます。
モラハラ相手とは別居することが重要
モラハラ相手との離婚は、まずは別居することが重要です。
上述したとおり、モラハラは、少しずつ、そして、確実に、被害者の心を蝕んでいきます。
また、モラハラ被害者が加害者と同居していると、モラハラは止むことがありません。
したがって、一刻も早く、相手と別居して物理的距離を置くことがポイントとなります。
本件の事案では、弁護士が間に入ることで、同居したまま、家庭内別居の状態で相手との接触を断つことができました。
当事務所の別居サポートについて、くわしくはこちらをご覧ください。
まとめ
モラハラが問題となるケースでは、上記のように、専門的知識やノウハウを必要とします。
問題点やポイントについて、一通り解説しましたが、具体的な状況に応じてとるべき戦略は異なります。
そのため、離婚専門の弁護士に具体的な状況を伝えて、適確なアドバイスを受けるようにされてください。
当事務所では、離婚事件チームに所属する弁護士が離婚問題について親身になってご相談に応じております。
ご相談についてはこちらをご覧ください。
なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?
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