別居しても離婚話が進まないときの対処法は?|事例で解説
別居しても離婚話が進まないときは、専門家に間に入ってもらうことをおすすめいたします。
離婚前に別居される方は多いです。
離婚を前提として別居したのであれば、夫婦としての実態はありません。
しかし、相手が離婚に応じないケースや、離婚そのものには了承しているものの、離婚条件(親権、養育費、財産分与、慰謝料など)に納得がいかないとして離婚の話が進まないケースがあります。
ここでは、このようなケースで、どのようにして離婚を成立させるかについて、実際の当事務所の解決事例をもとに、離婚問題に注力する弁護士がわかりやすく解説しています。
離婚話がなかなか進まないという方はぜひ参考になさってください。
世帯年収:1100万円
婚姻期間:約33年
解決方法:協議
子どもあり (社会人)
離婚を切り出した
相手:50代公務員
サポート無 | サポート有 | 経済的利益 | |
---|---|---|---|
離婚 | × | ○ | – |
財産分与 | なし | 自宅建物の共有持分取得 | 約300万円相当 |
別居後、離婚話がなかなか進まなかったIさん
Iさんは、25年前に妻と結婚し、当初は円満な婚姻生活を送っていました。
しかしながら、夫婦共働きでお互い忙しかったこともあり、次第に夫婦仲は悪くなっていきました。
また、妻は、仕事が多忙であることを理由に、家事や育児に非協力であり、家事や育児は主としてIさんが行っていました。
このような状況が続くことで、Iさんは妻に対する不満を募らせていきましたが、子ども達のために離婚を踏みとどまっている状況でした。
一番下の子どもが社会人になることを契機として、Iさんは妻との離婚を決意しました。
しかしながら、Iさんと妻の関係は既に冷えきっており、同じ家に暮らしてはいたものの、生活リズムが異なる上に長年会話はなく、食事は10年以上一緒にとっていないという、いわゆる家庭内別居の状況でした。
また、妻はかなり面倒くさがりであり、Iさんが離婚の話を持ち出しても何ら進展しないとのことでした。
そのため、Iさんは、自身で妻と離婚に関する交渉をすることは困難であると判断し、弊所の離婚弁護士に離婚協議の代理交渉を依頼されました。
弁護士の交渉により妻が離婚の手続きに協力的に
まず、弁護士は妻に対し「協議離婚の申入書」を送付しました。
本来であれば別居の上で協議離婚の申入書の送付を行いますが、Iさんと妻は家庭内別居の状態であったこと、また自宅の土地はIさんが先祖代々受け継いできた土地であることから、Iさんが自宅を出ることなく、協議を開始しました。
妻は、Iさんからの協議離婚の申入れに対し、離婚の意思はあるものの、仕事の関係上すぐには離婚できないとの回答をしました。
具体的には、仕事が忙しくて手続的なことに対応する時間がないこと、離婚となると名字を変えるけれども職場に伝えるのが嫌なため退職するまでは離婚したくないこと、既に家庭内別居状態であり離婚を急ぐ必要はないこと等を主張していました。
それに対し弁護士は、Iさんとしては、調停や訴訟をしてでも離婚したい意思があるため、妻に離婚の意思があるのであれば協議で離婚をするのが一番妻にとって負担が少ないことや、職場に相談して旧姓に戻っても現在の姓を使い続けられる可能性が高いこと等を根気強く説明しました。
また、妻が、考える時間が欲しいと主張したときには、強引に交渉を進めるのではなく、一定期間考える猶予を与える等、出来る限り妻が任意に離婚に応じてくれるような交渉を続けました。
その結果、当初は離婚するとしても退職後と話していた妻が、離婚の手続きについて前向きに協力してくれるようになりました。
また、条件面についても、預金等は各自自己名義のものを取得することを前提に、妻はIさんに対し、共有名義であった自宅建物の持分を譲渡してくれることになりました。
本件の争点
本件のIさんの妻は、離婚意思はあると述べつつも、手続きの煩雑さや離婚時期の点などを持ち出して、話を先延ばしにする方でした。
このように、いつかは離婚することになるかもしれないと頭では理解しつつも、今はしないという対応を取られる配偶者は多くいます。
その理由は、子どもの問題、経済的な問題、気分の問題など様々です。
配偶者にこのような対応を取られてしまい、心身ともに疲弊してご相談に来られる方は多数いらっしゃいます。
こうしたケースで、離婚に向けて進めていくポイントは、何よりもまずは離婚問題に詳しい専門家に相談することです。
相談をすることで、頭がクリアになるとともに、今後の進め方も見えてくることがあります。
また、本件のIさんの妻のような方への対応については、できれば、ご自身で対応されずに離婚の専門家に交渉を一任されることをお勧めします。
法的問題や、法的問題以外のところで、適切な解決を目指すことが可能になるとともに、精神的な負担も相当軽減されます。
本件のようなケースの場合、場合によっては交渉だけで1年(あるいはそれ以上)かかるという場合もあります。
このような長期戦になることもある程度想定される中で、離婚の専門家に一任されることは、良い判断といえます。
財産分与は、婚姻後別居に至るまでに夫婦で築いた財産を2分の1にするという制度です。
夫婦で築いた財産が財産分与対象財産となるため、財産名義が夫婦のどちらであるかは関係ありません。
そのため、本事例においても、本来は、双方自己名義の財産を開示した上で、財産分与対象財産を確定し、その上で名義の如何を問わず財産分与対象財産を2分の1にするというのが一般的な財産分与になります。
しかしながら、本事例では、Iさんが自宅建物の共有持分さえ譲渡してくれればその他は望まないこと、また妻も財産開示等の手続きは面倒であったという事情がありました。
そのため、双方自己名義の財産をそのまま取得した上で、自宅建物の共有持分のみをIさんから妻へと分与するという双方にとって一番メリットのある形での解決ができました。
協議での解決においては、双方が納得をすれば柔軟に財産分与を行うことが出来ます。
そのため、協議での解決を目指す場合には、裁判基準にこだわらず双方にとってメリットのある解決方法を模索することが大切になります。
この事例のように、離婚話がなかなか進まないというご相談はとても多いです。
以下では、離婚話が進まないときの対処法や注意点について解説していきます。
離婚話が進まないときの4つの対処法
離婚に強い弁護士に相談する
相手が離婚に応じないケースに限りませんが、離婚問題でお困りの方は、まずは「離婚に強い弁護士」に相談することを強くお勧めします。
現在、インターネット上には様々な情報があふれており、離婚に関する基礎的な知識を調べることが可能です。
しかし、インターネットの情報には、次のような欠点があります。
個別具体的な状況をもとに解説されていない
一口に離婚と言っても、離婚問題に直面した方々のおかれた状況は千差万別です。
状況が異なれば、取るべき対処法もまったく違う可能性があります。
インターネットの情報は、一般的な解説であり、あなたが置かれた具体的な状況を前提として解説されていません。
当事務所の離婚相談は、十分な時間をかけて、ヒアリングを行い、相談者が置かれた状況を分析した上で、目標(早期の離婚成立)を達成するための戦略を提示します。
掲載内容が信頼できないものもある
WEBサイト上には、専門知識を有していない方が執筆している記事もあります。
離婚問題は離婚にくわしい弁護士に相談するのが一番です。
弁護士に代理交渉を依頼する
相手が離婚に応じない場合、いきなり離婚調停を申し立てるのは、基本的にはおすすめしません。
相手が離婚に応じない場合でも、当事務所では、弁護士が代理人となって相手と交渉する手法(これを当事務所では「代理交渉」と呼んでいます。)を推奨しています。
代理交渉をおすすめする理由は、依頼者の負担を最も軽くできる離婚の方法だからです。
離婚調停には、以下のデメリットがあります。
離婚が成立するまで時間がかかる
離婚調停は、申し立ててから離婚が成立するまで時間を要します。
もちろん、ケース・バイ・ケースではありますが、筆者の感覚としては概ね6か月から1年程度はかかるという感覚です。
平時の日中の時間に拘束される
離婚調停は、裁判所というお役所を利用するため、開催されるのは平日の昼間です。
また、調停に要する時間は、1回あたり概ね2時間から4時間ほどとなります。
調停期日は概ね月に1回程度開催されます。
仕事をされている方は、その度に休みを取らなければなりません。
弁護士を代理人に立てている場合、調停成立のときを除けば、御本人の代わりに弁護士だけが参加することも可能です。
しかし、話し合いで解決するという調停の性質上、本人の参加が必要な場面もあります。
弁護士費用が割高になる
離婚調停は、上で解説したように、代理交渉と比べると時間や労力がかかります。
そのため、弁護士に依頼されたときの費用も高くなる傾向です。
これとは逆に、代理交渉には以下のメリットがあります。
離婚が早期に解決する可能性がある
弁護士による代理交渉は、裁判所を通しません。
また、当事務所の離婚弁護士はスピーディーに対応するよう努めています。
もちろん、相手が離婚に応じてくれなければ、離婚は成立しません。
しかし、早期に解決できる「可能性」があることから、いきなり離婚調停ではなく、まずは代理交渉からご依頼されることをおすすめしています。
依頼者の負担を軽減できる
代理交渉の場合、相手と交渉するのは当事務所の弁護士です。
弁護士は依頼を受けると、相手に対し、直接本人との接触を禁止する内容の書面を送付し、窓口を弁護士に一本化します。
したがって、御本人が相手と連絡を取り合う必要がなくなります。
また、離婚調停のように裁判所に出席する必要もありません。
弁護士の交渉力に期待できる
当事務所の弁護士は、相手に対し、離婚に応じるように強要するようなことはしません。
このようなことをすると、かえってこじれてしまう可能性が高いからです。
相手の立場に立って、「離婚に応じることが双方にとってメリットがある」というスタンスで交渉します。
このような交渉によっても、相手が離婚に応じてくれないケースは多々あります。
しかし、「離婚に応じてくれる可能性がある事案」では、いきなり離婚調停を申し立てるメリットはないと考えます。
離婚調停を申し立てる
弁護士による代理交渉によっても、相手が離婚に応じてくれないケースでは、次善の策として離婚調停を申し立てます。
早期解決のポイントとしては、「代理交渉を継続するか」「離婚調停に移行するか」を適切に見極めることです。
相手が離婚に頑なに応じない場合、代理交渉を継続しても無意味となります。
離婚調停への移行のタイミングについては、経験豊富な弁護士にお任せください。
離婚裁判を提起する
離婚調停でも相手が離婚に応じない場合、最終的には離婚裁判となります。
離婚裁判は基本的には解決まで時間がかかります。
筆者の感覚としては、訴訟提起から判決まで、およそ1年から2年程度です。
ただ、離婚裁判も、弁護士のスタンスによっては早期解決が可能な場合があります。
例えば、期日間(裁判の日を期日といい、1ヶ月程度、次回期日までの間があきます。)に相手弁護士との交渉を継続する、頃合いを見て和解を打診する、などの取り組みにより、早期解決の可能性が出てきます。
別居中に注意すべきポイント
相手が離婚に応じてくれない場合、別居期間が長期化します。
この期間に注意すべきポイントについて解説します。
不倫をする
別居しても、「婚姻関係が破綻」していない場合には、不倫は「不貞行為」とみなされてしまう可能性があります。
仮に不貞行為となった場合には、「有責配偶者」として、離婚を請求しても認められなくなったり、慰謝料を支払ったりすることを覚悟しなければならないことになります。
別居期間が長期化すると、婚姻関係が破綻していると認められるケースもありますが、慎重に行動されることをおすすめします。
婚姻費用を確認する
別居していても、離婚が成立するまでは、収入が多い配偶者は、他方の配偶者に対して、婚姻費用の支払い義務があります。
別居期間が長期化すると、義務者側、権利者側の双方にとって影響が大きいため、金額については安易に合意せず、「適正額」がいくらかを調べる必要があります。
婚姻費用の適正額について、当事務所は自動計算機をウェブサイトに掲載しており、誰でも無料で使用することが可能です。
婚姻費用の自動計算機はこちらをご覧ください。
面会交流について
面会交流について、離婚後しか実施できないと誤解されている方が多いです。
面会交流は、別居中でも非監護親(現在子供の面倒を見ていない親で、多くは夫側)は監護親(通常は妻側)に対し、求める権利があります。
また、基本的には面会交流を充実させたほうが子供にとって良い影響があります。
そのため、別居期間が長期化しているケースほど、面会交流について検討すべきです。
まとめ
以上、別居しても離婚話が進まないときの対処法について、実際の解決事例をもとに解説しましたが、いかがだったでしょうか。
相手が離婚に応じないケースでは、弁護士による代理交渉がおすすめです。
離婚調停は、解決まで長期間を要すること、本人の負担が大きくなること等から、代理交渉が成功しないときの次善の策として検討されたほうが良いと考えます。
ただ、どのような解決法が良いかは事案によって異なるため、一概には言えません。
まずは離婚に強い弁護士に相談し、解決策を提案してもらうとよいでしょう。
当事務所は離婚問題に注力する弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、離婚に悩む方を強力にサポートしています。
全国対応を行っていますので、お気軽にご相談ください。
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離婚 | ○成立 |
養育費 | 月額5万円(月額1万円減額) |
面会交流 | ○月1回(月1回増) |
財産分与 | 0円(相当額減額) |
婚姻費用 | 月額4万円(月額4万円+未払婚費36万円減額) |