婚約破棄か解消か微妙な事例で解決金50万円を獲得したYさんの事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Yさん
職業:会社員
解決方法:協議
子どもなし
慰謝料を請求した

相手:30代会社員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 増額利益
慰謝料 20万円支払う 50万円 70万円

 

 

状況

Yさんは、交際相手のMさんからのプロポーズを受け入れ、結婚に向けた準備を開始しました。

まず、Yさんは当時働いていた職場を辞め、Mさんが働いている土地に引越をしてMさんと同棲を始めました。また、約1年後に結婚式を挙げられるよう結婚式場の予約も行いました。

しかしながら、同棲後しばらく経つと、2人の価値観が合わないことで度々喧嘩をするようになりました。また、喧嘩の延長で、予約した結婚式場をキャンセルするということもありました。

もっとも、Yさんは今後ゆっくりとお互いを理解していけばよいと考えており、Mさんと別れる気は一切ありませんでした。

他方で、Mさんは次第にYさんと別れたいと思うようになり、同棲後約4ヶ月経った頃、MさんはYさんに対し、別れたいとの意思表示をした上で、来月には自宅を出て行く旨告げました。

また、自宅の借主名義をMさんからYさんに変更するための費用等について約20万円を負担するよう要求しました。

Yさんは、Mさんからの別れ話や金銭的な要求に驚き、またMさんが自宅を出て行くまで間もなかったこともあり、どうすれば良いか途方にくれて弊所にご相談に来られました。

 

 

弁護士の関わり

依頼を受けた弁護士は、Mさんに対し、婚約破棄に基づく慰謝料請求を行いました。

すると、相手方もすぐに弁護士を立て、婚約関係は当事者間の合意により解消されたものであり婚約破棄にあたらないこと、むしろYさんが先に自宅を出て行ったことや同居中のYさんの言動によりMさんが精神的苦痛を被ったのでYさんに慰謝料を支払ってほしいこと、自宅の解約等にかかる費用を支払って欲しいこと等を主張してきました。

それに対し、弁護士は、Mさんの主張は法的には通らないことや、そもそもMさんが婚約破棄をしたことによって自宅を解約せざるを得なかったためYさんが負担すべき費用は一切ないこと、婚約破棄に基づく慰謝料を一切支払わないのであれば訴訟も避けられないこと等を主張していきました。

その後、相手方代理人と書面や電話等でのやり取りを重ね、結果的には、MさんがYさんに対し、解決金という名目で50万円を支払うこと、またMさんのYさんに対する金銭的要求は取下げることを内容として、訴訟に移行せず、本件について解決することができました。

 

 

補足

婚約破棄に基づく慰謝料請求が認められるのは、「婚約の事実」があり、それを「不当破棄」された場合です。

婚約の事実や不当に破棄されたか否かは諸般の事情を考慮して判断されるため、「結婚をして欲しい」と言われたからといって確実に婚約の事実があるとはいえません。

本事例においては、プロポーズ、同棲、結婚式場の予約等があったため、裁判になった場合でも「婚約の事実」自体は認められる可能性が高かったと思います。

しかしながら、2人で結婚式場のキャンセルをしていたり、Mさんからの別れ話に対しYさんがそれを受け入れるような内容のメールのやり取りをしていたりする等の事実があったため、婚約の不当破棄については認められず、双方の合意に基づき婚約を解消したと判断される可能性がありました。

もっとも、結婚式場のキャンセルの後も同棲を継続していたため、上述の事実をもって当然に双方の合意に基づく婚約解消であったともいえなかったため、裁判になった場合「不当破棄」の点について大きな争いになったと思われます。

なお、本事例では、交渉の末、示談で解決することができ、また高額とはいえないものの解決金を獲得することができました。

以上のように、婚約破棄の該当性については複雑な判断を要し、場合によっては訴訟ではない解決の方がメリットが大きい場合もあります。

婚約破棄をされて悩んでいる方は、まずは一度弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

 

 

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