15年以上も別居している夫と熟年離婚を成立させた妻Fさんの事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Fさん
職業:パート
世帯年収:300万円
婚姻期間:約30年
解決方法:協議
子どもあり (3人)
離婚を切り出した

相手:無職(年金収入)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 利益
離婚 ×不成立 ○成立
財産分与 0円 自宅を取得 約1000万円
年金分割 × 50% 50%

 

状況

Fさんは、昭和55年に夫と結婚し、その後に3人の子どもを授かりました。

しかし、夫は、当時、勤めていた会社で不祥事を起こし、その損害賠償のためにFさんのお父さんから1000万円を借り入れました。

にもかかわらず、夫は、日常的にFさんに対して、「誰のおかげでメシが食えている!」「役立たず!」などの暴言を吐いていました。

そのため、夫婦関係が悪化し、夫が自宅を出るという形で平成10年に別居することとなりました。

それから15年以上もの歳月が経過しましたが、自宅が夫名義のままであったため、Fさんは今後について不安に感じ、当事務所に来所しました。

 

 

弁護士の関わり

弁護士は、夫との協議離婚の交渉を受任し、夫に対して、書面を送り、弁護士がFさんの代理人となったこと、Fさんとの接触禁止を通知し、離婚を求めました。

これに対し、夫は、財産分与と年金分割に難色を示し、離婚に応じませんでした。

しかし、夫のモラハラが原因で別居に至ったこと、裁判になったときの夫側のデメリットを説得的に伝える等の交渉を継続させました。

その結果、受任からわずか2か月程度で離婚が成立しました。

財産分与

夫は、離婚自体には異論はないものの、別居後も夫が自宅の住宅ローン(1100万円)を支払ってきたことから、もし、Fさんが自宅を取得するのであれば、代償金を支払ってほしいと主張してきました。

これに対し、弁護士は、夫がかつてFさんのお父さんに借金をし、それが返済されていないことを理由に、自宅をFさんが取得しても、代償金を支払う必要がないこと等を伝え、交渉しました。

その結果、Fさんは、自宅を財産分与として取得することができました。

年金分割

Fさんは、離婚後の生活について、とても心配されていました。

そこで、弁護士は年金分割や財産分与について、くわしく説明しました。

すると、Fさんは安心し、協議離婚の交渉を依頼されました。

弁護士は、夫に対して書面を送り、年金分割については50パーセントの分割を求めました。

夫は、別居期間が15年以上も経つことを根拠として、50パーセントの年金分割を行うことが不当であると主張してきました。

これに対し、弁護士は、年金分割の制度趣旨等について説明し、仮に裁判等になっても50パーセントが認められること等を伝え、交渉しました。

その結果、夫は、50パーセントの年金分割に応じました。

 

 

補足

本件では、別居から15年以上もの長年月が経過していたことから、もし、夫が離婚に応じていなくても、訴訟において、離婚が100パーセント認められる事案でした。

しかし、訴訟等の裁判所を利用した手続きは、長期間を要します。

また、弁護士費用等も増加することから、依頼者の方の負担が大きくなります。

そこで、当事務所では、まず、協議離婚を弁護士が代理人として行うという手法をとっています。

本件では、この手法により、離婚が早期に成立しました。

財産分与

本件では、夫が住宅ローンを別居後も支払っており、自宅の時価も1000万円程度であったことから、Fさんが自宅を取得する場合、本来であれば、夫に代償金を支払う必要がありました。

また、夫がFさんのお父さんから借入れしていたとはいえ、それはあくまでお父さんの債権であり、離婚とは直接関係がありませんでした。

しかし、Fさんとしては、お父さんからの借り入れについても、十分考慮されるべきであるという心情でした。

本件では、このようなFさんの考えを伝えるだけではなく、裁判に至ったときの夫側のデメリット等を伝え、粘り強く交渉した結果、有利な解決となりました。

年金分割

本件では、別居してから15年以上も経過していたため、夫が年金分割に応じることに強く抵抗感がありました。

確かに、財産分与であれば、分与の対象となるのは、同居していた期間に形成された財産のみとなる可能性があります。

しかし、年金分割は、公法上の請求であり、別居は基本的には関係ありません。

そこで、このような制度の趣旨や裁判になった場合の見通しを伝え、粘り強く交渉した結果、夫に納得してもらうことができました。

なお、今回の事案のようなモラハラ夫について、くわしくは当事務所のDV・モラハラサイトをご覧ください。

 

 





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