浪費家で、不貞も認めない夫から慰謝料を回収し離婚したTさんの事例
世帯年収:600万円
婚姻期間:13年
解決方法:協議
子どもあり (1人)
慰謝料を請求した
相手:30代公務員
サポート無 | サポート有 | 増額利益 | |
---|---|---|---|
離婚 | 不成立 | 成立 | – |
養育費 | – | 月額9万円 | 月額9万円増額 |
慰謝料 | 0円 | 150万円 | 150万円増額 |
年金分割 | 50% | 50% | – |
浪費家旦那が単身赴任先で不貞をしたため、弁護士に相談したTさん
Tさんは、平成18年に夫と結婚しました。
結婚してすぐの頃、夫婦関係は良好でしたが、夫は家計を省みずにギャンブルや飲み会で浪費をするようになりました。
Tさんがこのことを追及すると、夫はTさんの財布からカードを勝手に抜き取って浪費するなどの行為に出るようになってきました。
また、単身赴任が多く、赴任先で他の女性と不貞をしている疑いが濃厚になりました。
次第に夫婦の間には離婚の文字が浮かぶようになりました。
しかし、離婚後に養育費をどうするのか、購入したマンションをどうするのか、そもそも不貞の件についてどう責任を取るつもりなのか、夫はきちんとした話し合いをしようとしませんでした。
夫が遠隔地で勤務していることも、話し合いが進みづらい要因となっていました。
そこで、Tさんは当事務所の弁護士に相談をしました。
不貞を否定、慰謝料を払わないと反論していた夫と協議離婚
弁護士は、Tさんの代理人として、夫に協議離婚の申入書を送付し、離婚の協議をしたいことを通知しました。
また、夫は理解力に乏しいところがあるということだったので、できるだけわかりやすく、Tさんが考える離婚条件を記載しました。
夫は、弁護士からの書類通知が来たことにより、ようやく重い腰をあげました。
Tさんが考える離婚条件におおむね応じる姿勢を示しましたが、不貞については強く否定し、慰謝料については払わないと反論してきました。
確かに、こちらには確たる証拠が手元にあったわけではなかったため、苦しい状況にはありました。
夫も、細かいところを追及していくと言葉をはぐらかすようになりだし、夫の言い分も曖昧なものとなっていきました。
もともと、Tさんが苦痛を受けてきたのは不貞だけではなく、夫の日頃の生活態度にもありました。
そこで、これまでの不誠実な態度を戒める意味で、解決金名目での金銭支払いを求め、結果的に夫は150万円を支払うことに応じました。
夫は、子どもたちのためには尽くしたいという意向を持っていたため、親権、養育費についてはTさんの意向に応じました。
自宅マンションについては、ローンの一部をTさんが支払うことを前提にTとお子さんたちの退去猶予をしてもらうことで合意しました。
合意が整った時点で、弁護士から協議離婚の合意書を作成し、夫に送付しました。
また、今後の支払金額がわからなくならないよう、期間ごとの夫の入金額を細かく説明する書類を合意書に添付して夫に渡しました。
そうして、Tさんは、無事に夫と離婚することができました。
解説
本件のメインの争点について解説します。
慰謝料について
一方の配偶者が不貞行為を行っていた場合は、慰謝料を支払う義務が生じます。
不貞行為があったのかどうかが争いになった場合、次に考えるべきは証拠があるかどうかです。
本件では証拠がありませんでした。
こうなると、真実は不貞があったとしても、裁判所は認めてくれません。
こういった場合「夫は不貞をした有責配偶者だ」というスタンスを貫くべきかはケースバイケースです。
不貞が疑われた場合は、言い逃れができないよう、しっかりとした証拠を確保していくことが重要になります。
浪費について
一方の配偶者が浪費を続けていたことについて何か請求できないか、というご相談は非常に多くあります。
もし浪費をしなかったのであれば、夫婦の財産はもっと多く形成されたはずだ、ということになりますので、浪費の問題は財産分与のなかで考慮されることが多いです。
ただ、浪費の立証をすることは簡単ではありません。
財産分与において、基準となるのは別居時点の残高が基本です(例外はあります。)。
浪費をしていたという主張は、基本となる別居時残高のみでは評価されない特別の考慮が必要だ、という組み立てとなるため、浪費を主張する側が積極的に立証活動をしなければなりません。
多くの場合「生活費の補填でした。」という反論が出てきます。
また、浪費かどうかは通帳の取引履歴を見ただけでは何に使われたのか判明しませんし、年月が経って行けば何に使われたのかを突き止めることも容易ではありません。
一度に多額の(たとえば100万円前後)の引き出しが確認できるのであれば浪費の疑いが高まりますが、そういったケースは多くありません。
多いケースは、5万円前後の引き出しが定期的になされているなどです。
それだけのお金があれば、パチンコや競馬、競艇などのギャンブルに使われることもあるでしょう。数回の飲み会代にもなります。
しかし、ギャンブルに行ったこと、飲み会に行っていたことの立証はできないことがほとんどで、そうするとお金が引き出されているという事実しか明らかになりません。
そして、毎月の支出金額として考えると、一見してこれが浪費と断定できなくなってきます。
裁判所も、浪費かどうかの判断は家計により様々である以上、判断に頭を悩ませます。
浪費を許さないようにするためには、日々の生活費がどれくらいなのかを常にチェックしておく(たとえば家計簿の作成)が必要になります。
領収書を取っておくことも大事です。
たとえば、家計の主な収入源を夫が担っている場合、以下のような、浪費防止(節約にも繋がります。)に一方配偶者が協力してくれない場合、金銭での家庭内トラブルがだらだらと続く要因になります。
領収書を出させる、お小遣い制を徹底する
領収書を出させる、お金の管理を妻に任せっぱなしにせず自分で管理することを考える、お小遣い制を採用する
浪費を防止する最も最適な手段は、防止したいと考えている配偶者がお財布を握る(お金を管理する=通帳、カードを渡してもらい自由に使わせない)ことを徹底することです。
浪費を許さないようにするためには、日々の生活費がどれくらいなのかを常にチェックしておく(たとえば家計簿の作成)が必要になります。
そうすれば、「生活費の補填でした」という反論を覆すことができる可能性が上がります。
本事案では、浪費自体を明確に認めることはありませんでしたが、夫本人にも認識はあったようで、こちらに強く反論してくることはありませんでした。
慰謝料について、詳しくはこちらをご覧ください。
財産分与について、詳しくはこちらをご覧ください。
浪費についてはこちらもご覧ください。
離婚問題については、当事務所の離婚弁護士まで、お気軽にご相談ください。
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