ストーカーからの婚約破棄の慰謝料請求をしりぞけたVさんの事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Vさん
職業:会社員
解決方法:協議
子どもなし
慰謝料を請求された

相手:30代会社員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 利益
慰謝料 200万円支払う 0万円 200万円減額

状況

Vさんは、相手の女性と約半年間交際をしていましたが、その後、Vさんから女性に対して別れを告げ、交際関係は終了しました。

ところが、相手の女性は、それを受け入れられなかったため、約4年間に渡りVさんを待ち伏せしたり、電話やメールを繰り返したりといったことを続けてきました。

事態は相手の女性の親も出てくるといったことにもなりましたが、女性側は引くことなく、Vさんに接触を続けてきました。

そうしたところ、この女性は、婚約破棄を理由にVさんに対して、弁護士を通じ、慰謝料を請求する書面を送付してくるに至りました。

さすがに手に負えないと思ったVさんは、当事務所の弁護士に相談しました。

 

 

弁護士の関わり

弁護士は、Vさんの代理人として、相手の代理人と協議を開始しました。

まず、相手の女性の言い分は婚約を成立させるものではないこと、そのため婚約破棄には当たらないこと、そうである以上慰謝料を支払う義務も生じないことを伝えました。

また、度重なるVさんに対する女性の行動は、ストーカー行為規制法に該当するストーカー行為であり、違法な行為であることを指摘し、直ちにそういった行為をやめるよう申し向けました。

女性からすると、Vさんに別れを告げられたことがよほどショックだったのでしょうが、自身の行為自体は行き過ぎたところがあることは明らかでした。

最終的には、女性からVさんに対する請求を全面的に取り下げてもらうことができました。

 

 

補足

本件のメインの争点について解説します。

婚約破棄について

婚約破棄が認められるためには、婚約が成立していることが必要になります。

婚約とは、将来において適法な婚姻をすることを目的とする契約と表現されることもありますが、その考慮要素としては、挙式・披露宴・結納やそれらの準備、親族や友人への紹介等の事情の有無によります。

その他には、交際期間、同居期間、妊娠、中絶、出産、破棄当時の年齢も考慮されることになります。

婚約が成立する場合、破棄したことについて落ち度があったかどうかが問題になります。

たとえば、暴力を伴って破棄をされたのか、他の異性との交際を理由に破棄されたのか、といった事情です。

多くの場合、婚約の成立自体が認められないケースがほとんどです。

慰謝料請求に当たっては、婚約が成立しているのかどうかが重要になります。

 

ストーカー行為について

本事案では、女性のストーカー行為が問題にもなりました。

「ストーカー行為」とは、「つきまとい等を反復して行う行為」をいいます(ストーカー規制法第2条3項)。

そして、「つきまとい等」はストーカー規制法第2条1項に列挙されています。

本件で問題となったのは、その第1号及び第5号でした。

ストーカー規制法第2条1項第1号
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
ストーカー規制法第2条1項第5号
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。

 

ストーカー行為、もしくはつきまとい等が行われた場合は、すぐに警察に相談されることをお勧めします。

警察に対しては、つきまとい等をされたとして、警告を求める旨の申出をすることができます。

警告に従わない場合は禁止命令を出すうよう申し出ることもできますし、場合によっては告訴をすることもできます。

内縁関係の場合の慰謝料については、こちらもご覧ください。

 

 

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