子どもを引き渡してしまったものの、監護権を取得できた妻Mさん

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Mさん
職業:医師
婚姻期間:8年
解決方法:裁判
子どもあり (4歳息子)
離婚を切り出した

相手:医師

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 利益
監護権 × ○取得
婚姻費用 × 月額17万円 月額17万円

 

状況

Mさん夫妻は、双方とも医師であり、職場で知り合い8年前に結婚しました。

それから4年後に長男が生まれました。 しかし、双方とも仕事が忙しく、お互いに関心を持たないようになっていきました。

形骸化した夫婦関係が続き、1年ほど前からMさんは、他の男性と交際するようになりました。

夫がMさんの浮気に気づいて、離婚を前提に別居することとなりました。

Mさんは、当時保育園に通う4歳の息子を残して、実家へ帰りました。

2、3日経って、Mさんは、子どもの引渡しを夫に求めましたが、夫は拒みました。 そこで、Mさんは、弁護士に相談しました。

 

弁護士の関わり

弁護士は、Mさんの依頼後、すぐに家庭裁判所に対して監護者の指定と子どもの引き渡しの審判及び保全処分を申し立てました。

監護者の指定の審判は、別居した両親のいずれが子どもと同居して監護するべきかについて裁判所の判断を求める手続です。

弁護士は、Mさんから、過去にどれだけ育児に携わり、子どもとどんな関係を築いてきたかを聴き取り、Mさんの持っている証拠関係書類と併せて準備の上、審判の手続の中でMさんが子どもの監護者としてふさわしいとの主張をしました。

また、手続中に行われる、「調査官調査」中のMさんの面談に立ち会い、説明が不足する部分について補足を加えるなどのサポートを行いました。

その結果、裁判所は、審判において母親であるMさんに監護権を認め、夫のもとにいた子どもについての引渡請求も認容されました。

 

補足

子の監護者指定・引渡の手続について

子の監護者指定・引渡の手続について、特に子どもと引き離されてしまった親側から申し立てる場合には、迅速な審判申立が必要となります。

同居中に主に子どもの面倒を見ていた親(主たる監護親)であっても、相手方のもとに子どもがいる期間が長期化すれば、子どもの監護権の取得が難しくなる可能性があります。

そのため、主たる監護親が同意なく子どもと別居するに至った場合には、「保全処分」を含めて緊急かつ迅速に裁判手続を申し立てる必要があります。

不貞が子の監護権に影響するか

今回のケースでは、夫側はMさんが他の男性と不貞関係に陥っていたこと等を挙げて、Mさんが子の監護者として相応しくないと主張していました。

しかしながら、子の監護者の指定においては、原則として不貞の有無は考慮されません。過去の監護実績や監護能力、子の年齢に応じた意思が判断の中心となります。

もっとも、不貞相手を子どもに会わせていたなどの事情がある場合には、子どもの健全な成長のために不利益な事情として考慮される余地があります。

※なお、このケースにおいて、Mさんは子どもが引き渡された後、夫側から離婚が成立するまで月額17万円の婚姻費用(生活費)を取得できました。

 

 





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