妻の養育費請求を大幅に減額できた会社員Fさんの例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


ご相談者Fさん
職業:会社員
世帯年収:550万円
婚姻期間:5年
解決方法:調停
子どもあり (3歳)
離婚を求められた

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 利益
離婚 ×不成立 ○成立
養育費 月額5万円 月額2万円 月額3万円(総額594万円)
財産分与 自宅の住宅ローン残高
約2300万円
自宅の任意売却成立

 

状況

Fさんは、年収約550万円の会社員です。妻とは5年前に結婚し、3年前に子どもが1人生まれました。

Fさんは、妻と相談し、住宅ローンを組んで自宅を購入しました。このときまでは、Fさんと妻の関係は順調でした。

しかし、その後、程なくして、些細なことで妻との喧嘩が絶えなくなりました。物をどこに片付けるか等、本当に些細な内容での喧嘩です。

その日も、喧嘩のはじまりは、Fさんが、ハンガーを出しっぱなしにしていた等という些細な内容でした。

疲れていたFさんは、思わず、強めに妻に言い返してしまいました。

そのことに激怒した妻は、突然、子どもを連れて実家に帰ってしまいました。

そして半年後のある日、妻は、弁護士をつけて離婚調停を申立ててきました。

当初、Fさんは1人で離婚調停に出席して対応をしていました。

しかし、調停委員は、妻の味方ばかりをして、Fさんの言い分を全く聞き入れてはくれませんでした。

そこで、Fさんは、弁護士に相談することにしました。

 

弁護士の関わり

弁護士は代理人として離婚調停にFさんと一緒に出席しました。

調停において、争点整理を行ったところ、争点は専ら養育費の額になりました。

相手方の請求額は、月額5万円でした。これは、Fさんの年収を基準に裁判所が単純に計算式にあてはめて導かれる数字とほぼ同額でした。

しかし、Fさんはオーバーローンとなる住宅を抱えており、1200万円ほどが負債として残る見込みでした。

その点をFさんが全額かぶる(マイナスの分の財産分与を妻に請求しない)という点を強調したところ、妻の請求額から3万円も減額した月額2万円で合意できました。

 

補足

養育費を算出する際は、実務上は算定表という早見表が用いられます。

この事案では、Fさんの年収からは算定表上、月額5万円程度が算出されました。

弁護士は独自に計算したところ、月額5万円という数字は適正額でした。

しかし、Fさんは、住宅ローンの債務者として、今後、ローンを返済していかなければなりませんでした。

そこで、弁護士は公平の観点から養育費を大幅に減額すべきであると主張しました。

結果的に、本件では、Fさんの主張が認められる形で合意が整いました。

今回、Fさんの妻が折れなかった場合、Fさんの請求が認められるのは正直なところとても厳しいものでした。というのも、養育費と財産分与は全く別の概念ですし、オーバーローンとなるマイナス分の財産分与は、そもそも裁判官は認めてくれないからです。

弁護士は説得力をもたせるために、オーバーローン分の妻の負担部分である600万円と同程度も減額は認められるべきだと主張しました。

その結果、妻が折れて、養育費の約600万円(20歳までの総額594万円)の減額に成功しました。

弁護士の調停対応が功を奏した事例といえます。

 

 

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