相手方からの過大な養育費請求を減額することができたAさんの例
世帯年収:520万円
婚姻期間:約8年
解決方法:調停
子どもあり (5歳)
離婚を求められた
相手:パート
依頼前 | 依頼後 | 利益 | |
---|---|---|---|
養育費 | 月額10万円 (満22歳まで) |
月額5万円 (20歳まで) |
月額5万円 |
慰謝料 | 100万円 | 0円 | 100万円 |
過剰な養育費を請求されていたAさん
Aさんは妻と婚姻後、子どもを授かりました。
その後、Aさんと妻は徐々に不仲になっていき、婚姻後7年ほどしてから別居を開始しました。その際、妻は子ども(当時5歳)を連れて出ていきました。
別居してから数ヶ月経った頃、妻は代理人を通じて離婚調停を申し立ててきました。
妻は、Aさんに対して、子どもの養育費として、月額10万円を満22歳に達する月まで支払うよう請求してきました。
また、Aさんとの同居中、Aさんに日々暴言を吐かれたり、威圧的な態度をとられ、多大な精神的苦痛を受けたとして、慰謝料100万円を請求してきました。
Aさんは、養育費について、このような条件で合意をしてしまったら自分の生活が成り立たなくなると不安になりました。
また、慰謝料請求について、事実と異なるところが多々あるにもかかわらず、このままでは自分が一方的に悪者にされて、100万円を払わされてしまうのではないかと不安になりました。
こうした事情から、Aさんは弊所にご来所、ご相談されました。
弁護士の交渉で養育費の減額に成功
まず、弁護士はAさんから事実関係を細かく聴取しました。
その上で、本件で養育費の見通しがいくらぐらいになるかを説明しました。
Aさんは10万円を支払わなければならないと思っていたため、この時点で精神的に落ち着きを取り戻すことができました。
そして調停では、粘り強くこちらの主張を重ねました。
具体的には、こちらは4万円の養育費を主張し、相手方は10万円の養育費を主張していましたが、最終的には5万円となりました。
また、相手方は満22歳に達する月までの養育費を求めていましたが、最終的には満20歳までの養育費としつつ、子どもが進学する際の費用負担については別途協議するという形でまとまりました。
解説
本件では相手方より、過大な養育費を請求されました。
Aさんは、子どものために可能な限りのサポートをしてあげたいと思う一方、離婚後に自分の生活が成り立たなくなっては本末転倒だという思いが交錯していました。
養育費はこのようなジレンマを抱えることがよくあります。
Aさんは養育費をできるだけ支払いたくないという気持ちで調停に臨んでいたのではなく、子どもにとって何がベストの解決になるかという視点から考えていました。
結果として、Aさんに満足してもらえる調停条項となりました。
養育費はどうやって決まるの?
養育費の一般的な算定方法は、双方の収入を認定した上で、算定表を用いて適正額を算出するという方法です。
ここで、収入の認定の仕方と算定表について簡単にご説明いたします。
収入の認定の仕方
通常の給与所得者の場合、直近の源泉徴収票や所得証明書等により収入の認定を行います。
養育費算定の基礎となる収入は、「総収入」であり、手取額ではないことに注意が必要です。
自営業者の場合は、直近の確定申告書等により収入の認定を行います。
養育費の基礎となる収入は、「売上」ではなく「課税される所得金額」によります。
ただし、税法上、「課税される所得金額」は種々の控除がなされているので、養育費の基礎となる収入は、「課税される所得金額」に現実に支出していない費用を加算した金額となります。
給与所得者の場合も自営業者の場合も、転職をしたり、収入が減ったりすることで過去の収入資料を用いることが適切でない場合には、現在の収入を確認できる資料(雇用契約書や直近の給与明細表等)によって収入の認定を行います。
収入の認定方法について詳しくはこちらをご覧ください。
算定表について
令和元年12月に、算定表が改定されました。
改定標準算定表は、裁判所のホームページをご覧ください。
引用元:養育費・婚姻費用算定表|裁判所
双方の収入が認定できた後は、お子さんの年齢や人数を踏まえ対象となる表を確認し、対象となる表で双方の収入が交差する点の金額が養育の適正額となります。
状況にもよりますが、基本的には以前の算定表に比べ、養育費の金額が高くなる傾向にあるようです。
算定表では、幅のある適正額しかわかりませんので、適正額の詳細を知りたい方は、弊所の養育費計算シミュレーターをご活用ください。
養育費は合意前に専門家にご相談を
養育費については、合意後に相談に来られる方も少なくありません。
基本的には、養育費の取決時と状況が変わったので養育費の金額を変更したいという方が多いですが、中には当時と状況は変わらないけれども、後から払いすぎていることがわかった(もしくは、もらう金額が少なすぎることがわかった)、という方もいらっしゃいます。
養育費については、算定表を用いて適正額を算出することができますが、当事者の合意があれば適正額に縛られることなく金額の合意をすることが可能です。
そのため、理由はともかくとして、一度合意をしてしまった以上、後から適正額ではないことがわかったとしても、基本的にはその合意内容を守っていかなければなりません。
本事例のように、子どものためにできる限りのことをしたいと思っている方ほど、相手方の無理な要求を受け入れ、後の生活が困難になってしまうという方が多いです。
そのため、養育費について適正額を支払いたい、もらいたい、という方だけでなく、養育費について少しでも迷われている方は、まずは専門家である弁護士にご相談することをお勧めいたします。
この事例の慰謝料について、詳しくはこちらをご覧ください。
- 争点 :#養育費を減額
- 原因 : #性格の不一致 /
- 職業 : #会社経営者・自営業
なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?
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