法務局の遺産分割協議書雛形をダウンロード|注意点を解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

法務局の遺産分割協議書の雛形とは、法務局が公開している遺産分割協議書の書式であり、不動産の相続登記の申請のために使用されます。

このページでは、法務局の遺産分割協議書の雛形をダウンロード(Word版)することが可能です。

また、遺産分割協議書とはどういうものか、法務局の遺産分割協議書の雛形の注意点等について、相続に注力する弁護士が解説いたします。

遺産分割協議書のポイントを知りたい方はぜひ参考になさってください。

法務局の遺産分割協議書とは

法務局の遺産分割協議書の雛形とは、法務局が公開している遺産分割協議書の書式であり、不動産の相続登記の申請のために使用されます。

遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)の遺産について、個々の遺産の権利者を確定させるための手続をいい、遺産分割協議書は、その合意内容が記された書面のことをいいます。

法律上、法定相続分というものがありますが、遺産について、誰が、何を承継するかは決まっていません。

そこで、遺産について、誰が何を取得するかを確定させる必要があります。

もっとも、遺産には、現金や預貯金のほか、不動産、貴金属等の動産、株式、ゴルフ会員権など様々なものがあります。

これらについて、遺産分割協議書にどのように記載すればいいか、相続専門の弁護士でないと難しいと思われます。

また、適切な内容の遺産分割協議書を作成しておかないと、後々トラブルとなる可能性もあります。

そこで、遺産分割協議書のひな形・テンプレートを示して、具体的な書き方や注意点について、詳しく解説いたします。

 

 

法務局の遺産分割協議書のひな形(ダウンロード)

法務局のホームページから遺産分割協議書をダウンロードすることが可能です。

しかし、法務局の遺産分割協議書は、下記のとおり、遺産である不動産の登記申請のためのものであり、遺産分割協議の対象となっているのは不動産のみです。

法務局の遺産分割協議書のひな形

そのため、遺産が不動産だけの場合にしか参考とならないでしょう。

また、法務局のホームページからはPDFデータしかダウンロードできません。

法務局の遺産分割協議書のひな形はこちらをご覧ください。

引用元:遺産分割協議書の記載例 | 法務局

しかし、このホームページをご覧の方の中には、行政機関が作成したテンプレートをご使用になりたいという方もいらっしゃるかと思います。

そこで、当事務所は、ホームページ上に法務局の遺産分割協議書のテンプレートをワードで掲載しています。

無料で閲覧やダウンロードが可能ですので、ぜひご参考になさってください。

 

 

法務局の遺産分割協議書のひな形解説と注意点

上の法務局のひな形をもとに、遺産分割協議書の作成方法について解説していきます。

 

法務局のひな形の家族構成について

法務局の遺産分割協議書雛形の家系図

法務局のひな形は、法務太郎という方が死亡し、その相続人として、花子(妻)、一郎(長男)と温子(長女)が登場します。

そして、相続財産は戸建ての不動産1つです。

このような家族構成と遺産内容を前提に解説します。

 

タイトル部分

法務局の遺産分割協議書雛形のタイトル

何の文書であるかがわかるように、タイトルには「遺産分割協議書」と記載しましょう。

 

被相続人や相続人の情報を記載

法務局の遺産分割協議書雛形の被相続人や相続人の情報

タイトルの下に、被相続人(死亡した人)の情報を記載しましょう。

法務局のひな形では、被相続人の情報として、氏名、本籍地、死亡日が記載されています。

また、相続人の氏名をあげて、その者らが遺産分割協議を行ったと記載します。

 

遺産の分割方法を記載する

法務局の遺産分割協議書雛形の分割方法

誰がどの財産を相続するかを記載します。

法務局のひな形は、不動産の相続登記を前提としているため、不動産しか記載されていません。

他に遺産がある場合、その遺産の分割方法についても協議が必要となるので注意しましょう。

ワンポイント:不動産の分け方について

上記の記載例は、一郎と温子の2人が不動産を2分の1ずつ共有して分割するという内容になっています(これを共有分割といいます。)。

しかし、不動産の相続については、通常、誰かの単独名義にすることをおすすめいたします。

共有分割による場合、1つの財産を複数人で共有することになるため、今後売却など処分したいと思ったとき、全員の合意がなければ財産を処分することができません。

また、遺産を共有分割の方法で相続した後に、さらに遺産を共有している相続人が亡くなった場合、相続人の相続人が遺産を共有することとなるため、ますます権利関係は複雑になります。

これに対して、単独名義(例えば一郎名義)の場合、権利関係の複雑化や、これによるトラブルの発生を防ぐことができます。

なお、単独名義の場合、不動産を取得した相続人から他の相続人に対して代償金等をわたすことによって、遺産を公平に分けることができます。

これを代償分割と言います。

下記は代償分割の場合の条項例です。

下記の不動産は、法務一郎が取得する。

法務一郎は、前項の不動産を取得する代償金として、法務温子に対し、金●●円を支払う。

 

遺産分割の作成部数等の記載

法務局の遺産分割協議書雛形の作成部数

遺産分割協議書は通常相続人の人数分作成します。

そして、それぞれに署名・押印すること等を記載します。

 

日付と相続人の署名押印

法務局の遺産分割協議書雛形の日付と相続人の署名押印

遺産分割協議書には、必ず「日付」を入れなければなりません。

相続人全員が署名押印した日付を記載するとよいでしょう。

遺産分割協議書を完成させるには、相続人全員が署名押印しなければなりません。

1人でも署名押印が抜けていると遺産分割協議書が完成しないので注意してください。

大切な文書ですので、押印に用いる印鑑は「実印」にされることをお勧めします。

 

不動産の情報を記載

法務局の遺産分割協議書雛形の不動産の情報

不動産を相続する場合には、相続される不動産を特定しなければなりません。

ひな形のように、「不動産全部事項証明書」の「表題部」を引き写して記載しましょう。

不動産全部事項証明書の「地番」表示は「住居表示」とは異なります。

間違えて住所を書かないよう注意しましょう。

また土地つきの戸建ての場合、「土地」と「建物」について別々に記載する必要があります。

「実家の土地建物」「〇〇市の物件」などという表示では不動産の名義変更を受け付けてもらえません。

必ず不動産全部事項証明書を見ながら、一言一句間違えないように引き写してください。

 

文房具や書式、パソコン利用の可否について

遺産分割協議書は、手書きでの作成やパソコンでの作成OK遺産分割協議書には特別な書式や用紙の指定はありません。

どのような紙、ペンを使って手書きしてもかまいませんし、パソコンも利用できます。

 

 

相続登記の必要書類と申請の流れ

相続登記の申請は、相続物件や被相続人・相続人の情報に関する資料を収集し、遺産分割協議書を作成してから登記を申請するという流れになります。

下図は、この一連の流れと必要書類をまとめたものです。

相続登記の必要書類と申請の流れ

上図のように相続登記の必要書類は膨大な量にのぼります。

慣れていない方は時間や労力がかかるので、専門家にご依頼されることを検討されてもよいでしょう。

相続登記の必要書類についての詳細な情報は次のページで紹介しています。

ご自身で相続登記を申請する方は参考になさってください。

 

 

遺産分割協議書はひな形があれば自分で作れる?

遺産分割協議書を作成するに際して、ひな形があれば具体的なイメージがわきやすいと思います。

したがって、これから遺産分割を行う方は、ひな形をご覧になることをお勧めいたします。

しかし、遺産分割協議書は、被相続人の遺産をめぐる権利関係を確定されるために作成するものであり、法的な書面となります。

もし、内容に不備があると、遺産分割が無効となったり、無効とまではならなくても、後々トラブルになる可能性があります。

そのため、ひな形は、あくまで参考程度にとどめてください。

実際に遺産分割協議書を作成する場合は、相続問題に詳しい弁護士へ相談されることを強くお勧めいたします。

また、弊所では弁護士が作成した遺産分割協議書のひな形を無料でダウンロードいただけるようにしておりますので、そちらもご参考にされてください。

 

 

スマホで簡単、遺産分割協議書の自動作成!

当事務所では、遺産分割協議書のサンプルを素早く手軽に確認したいという方のために、オンラインで、かつ、無料で自動作成できる遺産分割協議書シミュレーターをご提供しています。

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法務局の遺産分割協議書雛形についてのQ&A

法務局の遺産分割協議書のエクセル版はありますか?


法務局の遺産分割協議書のエクセル版はご用意しておりません。

Word版かPDFをご利用ください。

 

 

まとめ

以上、法務局の遺産分割協議書ひな形をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

法務局の遺産分割協議書はあくまで相続登記のためのものなので、遺産が不動産の場合しか対応できません。

しかし、このテンプレートを使用されたい方はWord版をご用意したのでご活用ください。

ただし、遺産分割協議書は法律文書であり、適切に作成するためには相続に関する専門知識や経験が必要です。

そのため、相続問題に詳しい弁護士へ事前に相談し、作成されることをお勧めいたします。

なお、当事務所には、相続問題に注力する弁護士のみで構成される相続対策チームがあり、遺産分割協議を強力にサポートしています。

LINEやZoomなどを活用したオンライン相談も行っており、全国に対応しています。

遺産分割につきましては、当事務所の相続対策チームまでお気軽にご相談ください。

この記事が遺産分割でお困りの方のお役に立てれば幸いです。

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