遺産分割協議書の文例集|弁護士が財産別に書き方を解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

亡くなった方の遺産をどのように分けるかについて、相続人の間で話し合いがまとまったときには、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書は、不動産や預金などの相続手続を行うときに、必要に応じて、法務局や金融機関などに提出します。

しかし、「そもそも遺産分割協議書がどのようなものかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、ここでは、遺産分割協議書のサンプルを示しながら、遺産の種類ごとに書き方の具体例を示していきます。

遺産分割協議書とは?

「遺産分割協議」とは、亡くなった方(「被相続人」といいます。)が財産を持っていた場合に、残された相続人全員で、どのようにその財産を分けるのかを話し合うことをいいます。

「遺産分割協議書」とは、その話し合いの結果、相続人全員が合意した内容を記した書面のことです。

預貯金や不動産の名義変更などの相続手続は、遺産分割協議書に記載された内容をもとに行われます。

そのため、遺産分割協議書には、誰が、どの財産を相続するのかを、第三者から見ても明確にわかるように特定して記載する必要があります。

明確に特定して記載することは、相続人の間で後々トラブルとなることを防ぐためにも重要です。

具体的な特定の方法は、財産の種類によって異なることから、以下では、財産別に具体例を示しながら解説していきます。

 

 

遺産分割協議書の文例集のひな形

サンプル

まずは遺産分割協議書のサンプルをご覧いただき、遺産分割協議書がどういったものかというイメージをつかんでいただければと思います。

なお、このページでご紹介する遺産分割協議書はあくまでサンプルであって、この記載でなければNGというものではありません。

適切な遺産分割協議書の内容は状況により異なりますので、参考程度にとどめ、くわしくは相続専門の弁護士に相談されることを強くお勧めします。

遺産分割協議書サンプル

遺産分割協議書に記載する内容は、主に次の7つです。

サンプルでは、④の部分について、相続の対象となる財産を軸として、それぞれの財産をどの相続人が取得するのかを記載しています。

これに対して、次のように、相続人を軸として、それぞれの相続人がどの財産を相続するのかを記載する方法もあります。

それぞれの相続人がどの財産を相続するのかを記載

 

共通部分の文例集

はじめに、上記①〜⑦の記載内容のうち、すべての遺産分割協議書に記載する①〜③、⑤〜⑦の部分(共通部分)について解説します。

①タイトル

まずは、文書冒頭の中央に、「遺産分割協議書」というタイトルを記載するとよいでしょう。

遺産分割協議書

 

②被相続人の表記

「誰の」遺産を相続するのかを特定にするため、亡くなった方(「被相続人」といいます。)の情報を記載します。

文例

被相続人 甲野 太郎

生年月日   昭和◯◯年◯◯月◯◯日

死亡年月日  令和◯◯年◯◯月◯◯日

本籍地    ◯◯県◯◯区◯◯町 ◯丁目◯番

最後の住所地 ◯◯県◯◯区◯◯町 ◯丁目◯番◯号

書き方のポイント

被相続人は、「氏名」、「生年月日」、「死亡年月日」「本籍地」、「最後の住所地」を記載して特定するとよいでしょう。

戸籍謄本や住民票などを参照して、正確に記載することが大切です。

 

③前書き

遺産分割協議が有効となるためには、相続人全員の合意が必要となるため、相続人全員で協議し合意した結果を記載した書面であることを明記します。

文例

共同相続人A、B及びCは、被相続⼈甲野太郎の遺産について遺産分割協議を⾏った結果、次のとおり分割することに合意した。

書き方のポイント

前書きでは相続人全員の氏名を列挙せず、単に「相続人全員で遺産分割協議を行った」旨を記載して、文書の最後に相続人全員の名前を記載する方法でも問題はありません。

 

⑤後に判明した遺産の取り扱い

個々の財産の分け方だけでなく、遺産分割協議の段階で判明していなかった財産が後に判明した場合の取り扱いについても記載しておくことができます。

文例1

本遺産分割協議の成立後、上記以外の被相続⼈にかかる遺産が新たに発⾒された場合、相続⼈◯◯が相続する。

文例2

本遺産分割協議の成立後、上記以外の被相続⼈にかかる遺産が新たに発⾒された場合、相続人全員で協議し、取得者を決定する。

書き方のポイント

遺産分割協議の段階で判明していなかった財産が新たに見つかった場合、基本的には、その財産について再度の遺産分割協議をする必要があります。

しかし、文例1のように、遺産分割協議の成立後に新たな財産が発見された場合の取り扱いをあらかじめ決めておけば、再度の遺産分割協議をする必要がなくなります。

もっとも、遺産分割協議の時点で想定していたよりも高額な財産が見つかった場合など、後に発見された財産の価値によっては、トラブルにもつながる可能性もあることから、文例2のように、新たな財産が見つかった場合には「あらためて協議する」旨を記載しておくこともできます。

 

⑥後書き

後書きとして、遺産の分割について相続人全員による合意が成立した結果、協議書を作成したという遺産分割協議書作成の経緯や、作成した通数などを記載します。

文例

以上のとおり、相続⼈全員による遺産分割についての合意が成⽴したため、本協議書を◯通作成し、各相続⼈が署名押印のうえ、各自1通を保有する。

書き方のポイント

必ず相続人全員分の遺産分割協議書を作成しなければならない、といった作成通数に関するルールはありません。

しかし、後から「自分は同意していなかった」、「話し合った内容と違う」などと言い出す相続人が出てきてトラブルとなることを防ぐために、遺産分割協議書の原本は相続人の人数分を作成し、各自が1通ずつを保管し合うようにしましょう。

複数の財産について複数の相続手続が必要となる場合、1通の遺産分割協議書を使い回すのは大変なので、その意味でも相続人の人数分を作成しておくのがよいでしょう。

 

⑦日付・署名捺印欄

最後に、日付と相続人全員の住所・氏名を記載し、実印を押します。

文例

令和〇年〇月〇日

住 所 ◯◯県〇〇区〇〇町〇丁目〇番地〇号
相続人 ◯◯ ◯◯               実印

住 所 △△県△△市△△町△丁目△番地△号

相続人 △△ △△               実印

住 所 ✕✕県✕✕市✕✕町 ✕丁目✕番✕号
相続人 ✕✕ ✕✕                実印

書き方のポイント

遺産分割協議書に記載する日付は、相続人全員の署名押印が完了した日付を記載するとよいでしょう。

相続人の住所は、住民票などを参照して、正確に記載することが大切です。

住所の記載は、手書きでなく印字でもかまいません。記載にミスがあると訂正の手間がかかってしまいますので、相続人の人数が多いときには住所部分を印字するのがおすすめです。

相続人の氏名については、後のトラブルを防ぐため、それぞれが自筆で記入し、その横に実印を押します。

法律上、実印を押さなければならないというルールはありませんが、相続の手続で遺産分割協議書を公的機関や金融機関に提出する場合、実印が押されていることが必須とされることがほとんどです。

遺産分割協議書の作成に使用した印鑑が実印であることを証明するために、遺産分割協議書には相続人全員の印鑑登録証明書を添付しておきましょう。

さらに、以下では、具体的な遺産の分け方について、財産別に文例を紹介していきます。

 

 

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預貯金の遺産分割協議書の文例集

文例

次の預貯金は、相続人◯◯が取得する。

(1) X銀行 ◯◯支店 普通預金
口座番号 ◯◯◯◯◯◯
口座名義人 ◯◯ ◯◯

(2) ゆうちょ銀行 通常貯金
記号 ◯◯◯◯
番号 ◯◯◯◯◯◯
口座名義人 ◯◯ ◯◯

書き方のポイント

預貯金は、「銀行名」、「支店名」、「種別(普通預金/定期預金/当座預金)」、「口座番号」、「名義人」を書いて特定するとよいでしょう。

ゆうちょ銀行の場合、「種別(通常貯金、通常貯蓄貯金など)」「記号」、「番号」、「名義人」を書いて特定するとよいでしょう。

良くない例

X銀行 預金
口座番号 ◯◯◯◯◯◯◯
口座名義人 ◯◯◯◯

上の例のように、「支店名」や「種別」について記載されていない場合には、相続手続の対象となる預貯金を特定できないとして、金融機関から遺産分割協議書の修正を求められることがあります。

通帳や残高証明書などの資料をもとに、正確に記載することが大切です。

預貯金の金額(残高)を記載すべきかどうかは、ケースによって異なります。

記載するメリットは、誰がいくらを相続するのかを明確にすることができるため、後に相続人間で争いとなることを防ぐことができることです。

他方、記載するデメリットは、遺産分割協議書の作成後に預貯金の利息が発生した場合や、預貯金を使用した場合などには、窓口で相続手続を行う時点での実際の残高(金額)との間に差異が出てしまい、遺産分割協議書の修正を求められる可能性があることです。

 

 

不動産の遺産分割協議書の文例集

一戸建ての場合

文例

次の不動産は、相続人◯◯が取得する。

(1) 土地

所  在 ◯◯県◯◯市◯◯町 ◯丁目

地  番 ◯◯番◯

地  目 宅地

地  積 ◯◯.◯◯平方メートル

(2) 建物

所  在 ◯◯県◯◯市◯◯町 ◯丁目◯番地◯

家屋番号 ◯◯番◯

種  類 居宅

構  造 木造瓦葺2階建

床面積 1階部分 ◯◯.◯◯平方メートル

2階部分 ◯◯.◯◯平方メートル

書き方のポイント

土地付きの建物の場合には、「土地」と「建物」を別々に特定する必要があります。

良くない例

次の不動産は、相続人◯◯が取得する。

◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯所在の土地および建物

上の例のように、建物と不動産をまとめて特定することはできず、法務局で相続手続を受け付けてもらえません。

不動産の場合、いずれについても、法務局で取得できる不動産の全部事項証明書の「表題部」を書き写して特定します。

不動産の場合には、記載する事項が多いので、別紙に「物件目録」としてまとめて記載することもできます。

不動産の全部事項証明書
不動産の全部事項証明書
土地は、「所在」、「地番」、「地目(土地の種類)」、「地積」を書いて特定します。

建物は、「所在」、「家屋番号」、「種類」、「構造」、「床面積」を書いて特定します。

 

マンションの場合

文例

次の不動産は、相続人◯◯が取得する。

(一棟の建物の表示)

所  在 ◯◯県◯◯市◯◯町 ◯丁目◯番地◯

(専有部分の建物の表示)

家屋番号 ◯◯番◯

建物の名称 ◯◯◯◯

種  類  居宅

構  造  鉄筋コンクリート造5階建

床面積  2階部分 ◯◯.◯◯平方メートル

(敷地権の目的たる土地の表示)

土地の符号 ◯

所在及び地番 ◯◯区◯◯町◯丁目◯番地

地  目 宅地

地  積 ◯◯◯.◯◯平方メートル

(敷地権の表示)

敷地権の種類 所有権

敷地権の割合 ◯◯◯◯分の◯◯

書き方のポイント

マンションの区分所有権についても、土地や建物の場合と同様に、不動産の全部事項証明書の「表題部」を書き写して特定します。

マンションの書き方のポイント

マンションの場合には、「一棟の建物の表示」部分の「所在」、「専有部分の建物の表示」部分の「家屋番号」、「建物の名称」、「種類」、「構造」、「床面積」、「敷地権の目的たる土地の表示」部分の「土地の符号」、「所在及び地番」、「地目」、「地積」、「敷地権の表示」、「敷地権の種類」、「敷地権の割合」をすべて記載して特定します。

 

共有持分を相続する場合

不動産の「共有持分」とは、1つの不動産を2人以上の者で共有する場合に、それぞれの人がその不動産について持っている所有権の割合のことをいいます。

共有持分を相続する場合

被相続人が持っていた共有持分を相続する場合、以下のように記載するとよいでしょう。

文例

次の不動産の共有持分は、相続人◯◯が取得する。

土地(共有持分)

所在 ◯◯県◯◯市◯◯町 ◯丁目

地番 ◯◯番◯

地目 宅地

地積 ◯◯.◯◯平方メートル

持分 2分の1

書き方のポイント

共有持分の場合、対象となる不動産の最後に「持分」の表記を追加して特定するとよいでしょう。

 

不動産を共有して相続する場合

被相続人が単独で所有していた不動産について、2人以上の相続人が共有して相続する場合(それぞれが共有持ち分を取得する場合)です。

上で説明した「共有持分」を相続する場合の例は、被相続人が単独で所有していた不動産ではなく、被相続人が共有持分のみを持っていた不動産について、共有持分を相続人が単独で相続する場合ですの。

両者を混同しないようにしましょう。

被相続人が単独で所有していた不動産(土地)を2人以上の相続人が共有して相続する場合の文例は、次のとおりです。

文例

次の不動産は、それぞれ、相続人Aが持分2分の1、相続人Bが持分2分の1の割合で取得する。

(1) 土地

所  在 ◯◯県◯◯市◯◯町 ◯丁目

地  番 ◯◯番◯

地  目 宅地

地  積 ◯◯.◯◯平方メートル

不動産を共有して取得する場合のポイント

文例のように、不動産を共有して取得することは事実上可能です。

しかし、関係者が増えてしまい、さらに相続が生じた場合には権利関係が複雑になることから、相続人間で共有とする分け方よりも、後で説明する「代償分割」などの方法を活用するのがおすすめです。

 

 

現金の遺産分割協議書の文例集

文例

現金◯◯万円は、相続人◯◯が取得する。

書き方のポイント

被相続人の自宅や財布の中にまとまった現金があった場合には、現金の分け方について記載します。

現金が少額の場合には、後に相続人間で揉める可能性が小さいことから、金額を記載しないことも多いです。

 

 

株式の遺産分割協議書の文例集

文例1 上場株式

次の株式およびこれに関する未収配当金は、相続人◯◯が取得する。

◯◯証券 ◯◯支店
口座番号 ◯◯◯◯
◯◯株式会社 普通株式 ◯◯株

文例2 非上場株式

次の株式は、相続人◯◯が取得する。

✕✕株式会社 普通株式 ✕✕株

書き方のポイント

上場株式の場合、文例1のように、株式を預けている「証券会社」と「支店」、株式の「発行会社」、「株式数」を書いて特定するとよいでしょう。

上場株式については、受け取らないままになっている配当金(未受領配当金)が発生している場合があり、その場合には株式とは別に相続手続が必要となることがあります。

そのため、あらかじめ証券会社に未受領配当金の有無を確認し、その取扱いについても記載しておきましょう。

未上場株式の場合、文例2のように、株式の「発行会社」と「株式数」のみを書いて特定するとよいでしょう。

 

 

その他の有価証券の文例集

文例

次の有価証券は、相続人◯◯が取得する。

(1) 投資信託

◯◯証券 ◯◯支店
口座番号 ◯◯◯◯
◯◯ファンド
◯◯◯◯口

(2) 国債

◯◯銀行 ◯◯支店
口座番号 ◯◯◯◯
利付国庫債券(10年)(第○○回)
額面○○万円

書き方のポイント

投資信託の場合、窓口となっている「金融機関(証券会社、銀行等)」、「支店名」、「口座番号」、「銘柄(商品名)」「口数」を書いて特定するとよいでしょう。

債券(国債、社債)の場合、窓口となっている「金融機関(証券会社、銀行等)」、「支店名」、「口座番号」、「銘柄(商品名、回号)」、「額面額」を記載して特定しましょう。

残高証明書などを参照しながら、正確に記載しましょう。

 

自動車の遺産分割協議書の文例集

文例

次の自動車は、相続人◯◯が取得する。

自動車登録番号 ◯◯ あ ◯◯-◯◯
車体番号 A123B – 123456

書き方のポイント

自動車は、「自動車登録番号」と「車台番号」を記載して特定するとよいでしょう。

これらは車検証に記載されています。

 

 

負債の遺産分割協議書の文例集

文例1

被相続人 甲野 太郎

相続人◯◯は、被相続人のすべての債務を承継する。

また、相続人◯◯は、当該債務の弁済について、他の相続人に対して求償しない。

文例2

相続人Cは、被相続人のX銀行に対する◯◯年◯◯月◯◯日付金銭消費貸借契約に基づく借入金債務のうち、相続人A及び相続人Bの承継した部分について、免責的に引き受ける。

書き方のポイント

負債(借金)は法定相続分に従って当然に分割され、相続放棄をしない限り、それぞれの相続人に引き継がれるのが原則です。

したがって、基本的に負債は遺産分割の対象にならないので、遺産分割協議書に負債の分け方を記載する必要もありません。

もっとも、相続人間の協議によって負債の負担割合を変更することは可能です。

この場合には、後の揉め事を防ぐため、相続人の間で合意した内容を文例のように明記しておくことが有用です。

ただし、法定相続分と異なる負担割合を債権者(銀行など)に主張するためには、債権者の承諾(同意)が必要です。

なお、相続税の控除申請の際には、遺産分割協議書の債務に関する記載を確認されることがあるため、申請を検討している場合には、負債の分け方について記載しておきましょう。

文例2のように、一部の相続人が一部の負債のみについて法定相続分とことなる割合で負担する場合には、「債権者」、「債務残高」「契約内容」(貸付の日付や貸付金額、返済期限や条件など)を具体的に記載して債務を特定しましょう。

 

 

その他の遺産分割協議書の文例集

動産(美術品、腕時計など)

文例

次の動産は、相続人◯◯が取得する。

(1)腕時計

◯◯社製 「(モデル名等)」
型番◯◯◯◯

(2)絵画

◯◯作「(作品名)」
サイズ 縦◯◯センチメートル
横◯◯センチメートル

書き方のポイント

動産については対外的な相続手続きが発生しないことから、財産的な価値が低いものについては遺産分割協議書に記載しなくても問題はありません。

ただし、一定以上の価値がある動産については、後のトラブル発生を防止する観点から、遺産分割協議書に記載することをおすすめします。

 

葬式費用

文例

被相続人に係る葬式費用等(合計150万円)は、相続人A、B及びCが、それぞれ3分の1の割合で負担する。

書き方のポイント

葬式費用は、被相続人の死亡後(相続の開始後)に発生するものであり、相続の対象となる「遺産」や「負債」の範囲に含まれません。

しかし、葬式費用を誰が負担すべきかについては裁判例も分かれていることから、相続人全員が合意しているのであれば、後のトラブルを防ぐためにも、葬式費用の負担について遺産分割協議書に明記しておくとよいでしょう。

葬式にかかった費用が確定しているのであれば、具体的な金額を記載しておきましょう。

なお、葬式費用は、相続税の債務控除の対象となります。

 

代償分割する場合

「代償分割」とは、ある財産を相続した相続人が、その財産を相続しなかった相続人に金銭を支払って調整する財産の分け方のことをいいます。

不動産や美術品のように、物理的に分けられない財産のほか、預貯金を分け合う場合などに利用します。

文例

(1)次の不動産は、相続人Aが取得する。

(建物)

所  在 ◯◯県◯◯市◯◯町 ◯丁目◯番地◯

家屋番号 ◯◯番◯

種  類 居宅

構  造 木造瓦葺2階建

床面積 1階部分 ◯◯.◯◯平方メートル

2階部分 ◯◯.◯◯平方メートル

(2)相続人Aは、前項の不動産を取得する代償金として、相続人Bに対し、金✕✕✕✕円を支払う。

書き方のポイント

文例のように、遺産分割協議書には代償分割によることを明記することが大切です。

その理由としては、①財産を取得した相続人から他の相続人への金銭の支払いが「贈与」とみなされ、贈与税を課されるリスクがあることや、②財産を取得した相続人が代償金の支払いを行わない場合には遺産分割協議書の記載が証拠となること、などがあげられます。

 

 

遺産分割協議書のダウンロード

相続に強い当事務所の弁護士が作成した遺産分割協議書のテンプレートは、こちらからダウンロードしていただけます。

もっとも、遺産分割協議書の作成には専門的な知識と判断が必要となります。

遺産分割協議書にミスがあった場合には、書類が無効となって作り直しを求められることもありますので、少しでもわからない点があるときは、弁護士等の専門家にご相談ください。

 

 

まとめ

  • 遺産分割協議書は、亡くなった方(被相続人)の遺産の分け方について、相続人の間で話し合い、合意した内容を記載した書面です。
  • 預金の名義変更や不動産の名義変更などの相続手続を行う際には、状況によって、遺産分割協議書を金融機関や法務局等の公的機関に提出することが必要となります。
  • 遺産分割協議書には、第三者から見ても明らかなように、相続の対象となる遺産を明確に特定して記載する必要があります。
  • どのような記載であれば特定されているといえるのかは、財産の種類によって異なるため、上の文例を参考にしてみてください。
  • もっとも、遺産分割協議書の作成には専門的な知識と判断が必要となることから、文例や雛形・テンプレートは参考にとどめて、詳細については弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。

当事務所では、相続専門の弁護士・税理士等からなる相続専門チームが、遺産分割協議書の作成から節税対策まで、ワンストップでご相談に対応させていただきます。

初回の相談は無料ですので、ぜひご活用ください。

 

 

 
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