一定の条件を満たす場合には、戸籍謄本をコンビニで取得することができます。
公的機関での手続きにおいて戸籍謄本の提出が必要となる場合、窓口へ行って手続きをしたり、郵送で手続きをしたりするのは難しいという方もいらっしゃることと思います。
この記事では、戸籍謄本をコンビニで取得することができるのはどのような場合かを説明した上で、取得できる場所や取得するやり方、手数料などについて、弁護士がわかりやすく解説します。
目次
戸籍謄本をコンビニで取得できるの?
戸籍謄本とは
「戸籍」とは、日本人が生まれてから亡くなるまでの身分関係(出生、婚姻、離婚、認知、氏の変更などの個人の身分の変動のことをいいます。)を登録した記録のことで、本籍地のある市区町村役場で保管されています。
「戸籍謄本」とは、戸籍に記載されている人の身分関係を証明する書面のことをいい、戸籍の情報が電子データで管理されるようになった現在では「戸籍全部事項証明書」といいます。
※コンビニでの取得手続きにおいては、戸籍謄本または戸籍全部事項証明書は「戸籍証明書」と呼ばれることが多いですが、「戸籍謄本」「戸籍全部事項証明書」「戸籍証明書」はいずれも同じ内容の書類を指します。
この記事では、「戸籍謄本」の呼び方で統一させていただきます。
戸籍謄本のコンビニ交付
以下の(ア)〜(ウ)の条件をすべて満たす場合には、戸籍謄本をコンビニで取得することができます(戸籍謄本のコンビニ交付)。
- (ア)マイナンバーカード(個人番号カード)を持っていること
- (イ)本籍地のある市区町村がコンビニ交付に対応していること
- (ウ)コンビニの店舗が対応している(コンビニに設置されたマルチコピー機(キオスク端末)がコンビニ交付に対応している)こと
戸籍謄本をコンビニで取得したい場合には、事前にこれらの条件を確認することが大切です。
本籍地以外のコンビニでは戸籍謄本を取得できない?
本籍地以外に住所がある場合でも、本籍地の市区町村がコンビニ交付に対応している場合には、事前に利用登録申請をすることで、本籍地以外のコンビニから戸籍謄本を取得することができます。
利用登録申請の手続きについては後ほど説明します。
戸籍謄本を取得できるコンビニとは?
戸籍謄本の取得はマルチコピー機が設置されている店舗で!
本籍地のある市区町村がコンビニでの戸籍謄本の取得に対応している場合でも、すべてのコンビニで戸籍謄本を取得できるわけではありません。
戸籍謄本を取得できるのは、マルチコピー機(キオスク端末)が設置されている店舗に限られます。
マルチコピー機が設置されているコンビニの店舗数は、2021年9月末時点で全国に約5万6000店舗です。
以下では、マルチコピー機が設置されている店舗の調べ方について解説します。
セブンイレブン
戸籍謄本を取得できるセブンイレブンの店舗
戸籍謄本を取得できるセブンイレブンの店舗(マルチコピー機が設置されている店舗)はこちらの店舗検索画面で調べることができます。
参考:セブンイレブン
取扱商品・サービスの絞り込み機能の「マルチコピー機」にチェックを入れた上で、店舗のある地域を絞り込むと、マルチコピー機の設置されている店舗だけが表示されます。
ファミマ
戸籍謄本を取得できるファミマの店舗
戸籍謄本を取得できるファミマの店舗(マルチコピー機が設置されている店舗)は、こちらの店舗検索画面で調べることができます。
参考:ファミリーマート
絞り込み条件から探す場合、「設備・取り扱いサービス」の「マルチコピー機」にチェックを入れたうえで、店舗のある都道府県・市区町村をすることで、マルチコピー機の設置されている店舗だけが表示されます。
ローソン
戸籍謄本を取得できるローソンの店舗
戸籍謄本を取得できるローソンの店舗(マルチコピー機が設置されている店舗)は、こちらの店舗検索画面で調べることができます。
参考:ローソン
検索条件の指定欄にある「マルチコピー機」をチェックした上で、地図から店舗の範囲を絞り込むと、マルチコピー機の設置されている店舗だけが表示されます。
その他
セブンイレブン、ファミマ、ローソン以外のコンビニや一部のスーパーマーケット、ドラッグストア等でも、マルチコピー機から戸籍謄本を取得できる場合があります。
コンビニ交付を利用できる店舗の詳細については、こちらのページでご確認ください。
戸籍謄本をコンビニで取得するために必要なもの
戸籍謄本をコンビニで取得するために必要なものは、顔写真付きのマイナンバーカードです。
マイナンバーの通知カード(顔写真のついていない紙製のカード)では手続きをすることができません。
なお、本籍地の市区町村によっては、住民基本台帳カード(住基カード)でコンビニ交付を利用できる場合があります。
もっとも、平成28年1月からマイナンバーカードの発行が住基カードの新たな発行はすでに終了しているため、住基カードでのコンビニ交付に対応している市区町村は非常に少なくなっています(2023年10月現在で100以下です)。
戸籍謄本をコンビニで取得したいけれどもマイナンバーカードを持っていないという場合には、マイナンバーカードの申請から始める必要があります。
マイナンバーカードの取得方法について、詳しくは「マイナンバーカード総合サイト」にてご確認ください。
参考:マイナンバーカード総合サイト|申請・受取方法/申請状況確認
コンビニで戸籍謄本を取得するやり方
コンビニで戸籍謄本を取得する方法は、本籍地の市区町村に住所がある場合と住所がない場合とで異なります。
本籍地の市区町村に住所がある場合
本籍地の市区町村に住所がある場合、戸籍謄本の取得は次の2つのステップで完了します。
- ① コンビニ交付を利用できるか確認
- ② 戸籍謄本の取得
※マイナンバーカードを持っていない場合には、別途マイナンバーカードの取得手続きが必要となります。
STEP①:コンビニ交付を利用できるか確認
住所のある本籍地の市区町村がコンビニ交付に対応しているかを確認します。
各市区町村がコンビニ交付に対応しているかどうかは、こちらのサイトで確認することができます。
本籍地(住所)のある地域・都道府県・市区町村の順に選択して絞り込むと、取得に利用できるカード(マイナンバーカード・住基カード)や取得可能な証明書、取得可能な店舗(提供店舗)などの一覧が表示されます。
「取得可能な証明書」として表示される一覧に「戸籍」が含まれている場合(「◯」がついている場合)、コンビニで戸籍謄本を取得することができます。
参考:コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付(コンビニ交付)ホームページ
STEP②:戸籍謄本の取得
STEP①でコンビニ交付を利用できることが確認できた場合、コンビニ交付に対応しているマルチコピー機が設置されている店舗へ行き、次の手順でマルチコピー機の端末を操作します。
- ① 「行政メニュー」を選択します。
- ② 「証明書交付サービス」を選択します。
- ③ マルチコピー機のカード置き場にマイナンバーカードまたは住基カード(市区町村が対応している場合)を置いて、カードの読み取りをします。
- ④ 戸籍謄本を取得する市区町村(必要な証明書)を選択します。
- ⑤ 本籍地のある市区町村に住所がある場合は「お住まいの市区町村の証明書」を選択します。
※誤って本籍地の市区町村と住所が異なる方向けの証明書を選択すると、戸籍謄本を取得できない場合がありますので、ご注意ください。 - ⑥ マイナンバーカードの暗証番号4桁(マイナンバーカードの交付手続きの際に設定したもの)を入力して本人確認を行います。
- ⑦ マイナンバーカードを取り外します(これ以降マイナンバーカードを使用することはありません)。
- ⑧ コンビニで取得できる証明書の一覧が表示されますので、「戸籍証明書」を選択します。
- ⑨ 必要部数を入力します。
- ⑩ 画面に表示される発行内容を確認し、問題がなければ確定ボタンを押します。
- ⑪ 料金を支払います。
- ⑫ 戸籍謄本(戸籍証明書)が印刷されます。
本籍地の市区町村に住所がない場合
本籍地の市区町村に住所がない場合、戸籍謄本の取得には次の4つのステップを踏む必要があります。
- ① コンビニ交付を利用できるか確認
- ② 利用登録申請
- ③ 利用状態確認
- ④ 戸籍謄本の取得
※マイナンバーカードを持っていない場合には、別途マイナンバーカードの取得手続きが必要となります。
STEP①:コンビニ交付を利用できるか確認
本籍地のある市区町村がコンビニ取得に対応しているかを確認します。
本籍地のある市区町村に住所がある場合と同じ方法で確認を行います(以下のサイトで確認をします)。
利用できる市区町村はこちらで検索
「取得可能な証明書」として表示される一覧に「戸籍(本籍地)」が含まれている場合には、コンビニで戸籍謄本を取得することができます。
STEP②:利用登録申請
本籍地のある市区町村に住所がない場合には、本籍地のある市区町村に対して、事前にコンビニ交付の利用登録申請をする必要があります。
利用登録申請の方法には、(ア)マルチコピー機(キオスク端末)による申請または(イ)インターネット端末(ICカードリーダーを装備したパソコン)からの申請の2つの方法があります。
この記事では、(ア)マルチコピー機による申請の方法をメインに解説します。
マルチコピー機の操作手順は次のとおりです。
- ① 「行政メニュー」→「証明書の交付」の順に選択します。
- ② 「利用登録申請」を選択します。
- ③ 本籍地の地域、都道府県、市区町村を順に選択した後、本籍地の市区町村以降を入力します。
- ④ 戸籍筆頭者の氏名を入力します。
- ⑤ 画面の指示にしたがって、連絡先の電話番号、生年月日、マイナンバーカードに記載されている有効期限(西暦の4桁)を順に入力します。
- ⑥ マイナンバーカードに記載されているセキュリティコード(マイナンバーカードの顔写真の下に記載されている4桁の数字のことです。)を入力します。
- ⑦ 端末のカード置き場にマイナンバーカードをセットして、暗証番号(マイナンバーカードの交付時に設定した4桁の数字です。)を入力します。
- ⑧ マイナンバーカードを取り外します。
- ⑨ 申請内容を確認し、問題がなければ確定ボタンを押します。
- ⑩ 申請番号が表示されますので、申請番号をメモするなどしてください。
申請番号はマルチコピー機で印刷することもできます(有料です)。
なお、インターネット端末(ICカードリーダーを装備したパソコン)による申請を行う場合には、事前にICカードリーダーを購入して自宅のパソコンに接続した上で、 戸籍証明書交付の登録申請サイトの利用登録申請画面から手続きを行ってください。
利用登録申請画面はこちらをご覧ください。
参考:利用登録申請
STEP③ 利用状態確認
本籍のある市区町村での利用登録が完了すると、コンビニ交付のサービスを利用できるようになります。
利用登録が完了しているかどうかは、以下の手順で確認することができます。
- ① 本籍地の市区町村へ利用登録申請の完了時に表示された申請番号(利用申請時にメモまたは印刷したもの)を用意します。
- ② 戸籍証明書交付の登録申請サイトの利用登録状況確認画面へアクセスします。
利用登録申請画面はこちらをご覧ください。参考:利用登録申請
- ③ 利用登録申請の完了時に表示された申請番号を入力して、「登録状況確認」をクリックします。
- ④ ステータスが「利用登録完了」になっていれば、コンビニで本籍地の戸籍謄本を取得することができます。
STEP④戸籍謄本の取得
コンビニ交付に対応しているマルチコピー機が設置されている店舗へ行き、マルチコピー機の端末を操作して戸籍謄本を取得します。
取得の手順は、基本的に本籍地の市区町村に住所がある場合と同様です。
ただし、戸籍謄本を取得する市区町村(必要な証明書)を選択する際に、「お住まいの市区町村と本籍地が異なる方の戸籍関連証明書」を選択します(※機種によって表示は異なる場合があります)。
※誤って「お住まいの市区町村の証明書」を選択すると、戸籍謄本を取得できない場合がありますので、ご注意ください。
戸籍謄本をコンビニで取得する料金
戸籍謄本を市町村役場の窓口で取得する場合の料金については、政令と各市町村の条例によって、全国一律450円(1通あたりの金額です。)と定められています。
これに対して、戸籍謄本をコンビニで取得する場合の料金は、各市区町村によって金額設定が異なります(条例の定めが異なります)。
戸籍謄本をコンビ二で取得する場合の料金はおおむね350円〜400円の間で設定されており、窓口で取得する場合の料金よりも安く設定している市区町村が多いようです。
戸籍謄本をコンビニで取得可能な時間は?
戸籍謄本をコンビニで取得できる時間は、土日祝日に関係なく、毎日6:30〜23:00の間です。
ただし、市区町村によっては利用時間が制限されている場合があります。
詳しくは、以下のページで本籍地の市区町村を検索し、「提供時間に関する備考」をご確認ください。
市区町村の検索はこちらから
戸籍謄本とコンビニについてのQ&A
戸籍謄本をコンビニで取れないのはなぜ?
戸籍謄本をコンビニで取れない場合の原因として、次のようなことが考えられます。
- 本籍地の市区町村が戸籍謄本のコンビニ交付に対応していない
- 誤ってマイナンバーカード以外のカードを使用している
- マイナンバーカードの外部または内部が破損している
- マルチコピー機のカード置き場にマイナンバーカードがきちんと置かれていない。
- 戸籍謄本をサービス提供時間(6:30〜23:00)外で取得しようとした
- 本籍地のある市区町村に住所がない場合に、コンビニ交付の利用登録申請をしていない、または市区町村側での利用登録が完了していない
- 戸籍謄本の交付を受けたいのに「戸籍証明書交付の利用登録申請」を選択している
- 本籍地のある市区町村に住所があるのに「他市区町村の証明書(お住まいの市区町村以外の証明書)」を選択している
- 本籍地のある市区町村に住所がないのに「お住まいの市区町村の証明書」を選択している
- マルチコピー機やカードリーダーが故障している、またはメンテナンス中である
- 戸籍謄本をコンビニで取得する時間はどのくらいかかる?
本籍地の市区町村に住所がある場合
本籍地の市区町村に住所があり、マイナンバーを持っている場合、マルチコピー機の操作を始めてから戸籍謄本1枚の印刷が完了するまでの所要時間は、5分〜10分程度です。
特殊な印刷を行うため、証明書1枚の印刷時間だけで2分以上かかる場合もあります。
本籍地の市区町村に住所がない場合
本籍地の市区町村に住所がない場合、まずはコンビニ交付の利用登録を完了させる必要があります。
利用登録申請を行ってから登録完了までには5日程度かかるのが一般的です。
利用登録が完了した後、証明書をコンビニで取得するのにかかる時間は、上記のとおり5分〜10分程度です。
マイナンバーカードを持っていない場合
マイナンバーカードを持っていない場合、さらにマイナンバーカードを取得するための時間がかかります。
マイナンバーカードの申請をしてから交付を受けるまでにかかる時間の目安は、1ヶ月半〜2ヶ月程度です。
まとめ
一定の条件を満たしている場合には、戸籍謄本をコンビニで取得することができます。
具体的には、(ア)マイナンバーカード(個人番号カード)を持っていること、(イ)本籍地のある市区町村がコンビニ交付に対応していること、(ウ)コンビニに設置されたマルチコピー機(キオスク端末)がコンビニ交付に対応していること、という3つの条件を満たすことが必要です。
戸籍謄本をコンビニで取得するやり方は、本籍地のある市区町村に住所があるかどうかによって異なります。
本籍地のある市区町村に住所がない場合には、事前に利用登録申請を行うことが必要です。
戸籍謄本をコンビ二で取得する場合の料金はそれぞれの市区町村によって異なりますが、おおむね350円〜400円の間で設定されており、窓口で取得する場合(全国一律450円)よりも安く設定されていることが多いです。
本籍地のある市区町村に住所がある場合、戸籍謄本をコンビニで取得するのにかかる時間は5分〜10分程度です。
コンビニ交付の利用登録申請(本籍地のある市区町村に住所がない場合に必要な手続き)にかかる時間は5日程度、マイナンバーカードの取得にかかる時間は1ヶ月半〜2ヶ月程度です。
当事務所では、戸籍謄本の取得の代行もうけたまわっております。
戸籍謄本の取得とあわせて相続人の調査などが必要となる場合には、相続問題にくわしい弁護士が対応させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。