成年後見を申し立てようと思うのですが、誰が成年後見人等になるのですか?


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

実務上の取扱い

後見人等候補者の推薦

裁判所成年後見人等は、家庭裁判所が職権で選任します。

もっとも、成年後見等を申し立てるにあたり、申立人は、後見人等の候補者を推薦することが可能です。

 

判断基準

家庭裁判所は、成年後見人等を選任する際、①成年被後見人等の心身の状態、②成年後見人等となる者の職業及び経歴、③利害関係の有無、④成年被後見人等の意見等(民法843条4項、876条の2第2項、876条の7第2項)を考慮しています。

 

家庭裁判所の判断の傾向

裁判家庭裁判所は、基本的には推薦された後見人等候補者を尊重し、できる限り後見人等候補者を後見人等に選任する傾向にあります。

もっとも、後見人等候補者を後見人等に選任することが適切ではないような場合には、家庭裁判所は職権で後見人等を選任しています。

例えば、後見人の選任について親族間で紛争がある場合や財産関係が複雑な場合などに親族を後見人等候補者としていると、弁護士等の専門職後見人を選任することが多い傾向です。

 

現状

平成28年のデータ(最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概要」)によれば、親族が成年後見人等になったのは、全体の28.1%です。残りの71.9%は親族以外の第三者(弁護士、司法書士等)が成年後見人等になっています。

 

留意点

解説する男性後見人等候補者が成年後見人に選任されないことを理由に申立てを取り下げることはできないこと、後見人等に選任された人物に不満がある場合でも、それのみを理由に不服申し立てをすることはできないことには注意が必要です。

 

 

後見人等の欠格事由

以下の場合に該当する人は後見人、保佐人、補助人になることができません。

未成年者

子ども未成年者は、単独で有効な財産取引ができないことから(民法5条)、後見人等の職務を担うのはふさわしくないとして、欠格事由とされています。

家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人

後見人を解任された者や親権を喪失した者、親権を停止された者等がこれにあたります。

これらの者は、類型的に後見人としての職務を担うのにはふさわしくないとして、欠格事由とされています。

破産者

借金破産の決定を受けた後、復権していない者がこれにあたります。

破産の決定を受けた後、すでに免責許可決定を受け、これが確定していれば欠格事由には該当しません。

被後見人(被保佐人、被補助人)に対して訴訟をし、又はした者ならびにその配偶者及び直系尊属

老夫婦被後見人に対して訴訟をしている者やその家族は、被後見人との間で利害が対立しており、後見人としての職務を担うのはふさわしくないとして欠格事由とされています。

なお、調停の場合は欠格事由にはあたらず、訴訟の場合でも被後見人との間に実質的な利害関係がない場合には欠格事由にはあたりません。

行方の知れない者

行方の知れない者には後見人としての職務を到底任せられないことから欠格事由となっています。

誰が後見人等になるかは、本人はもちろん親族の方にとっても非常に重要な意味をもちます。

しかし、上記のように、後見人等候補者として推薦した人物が必ずしも後見人等に選任されるとは限りません。また、一旦申立てを行うと、後見人等候補者が成年後見人に選任されないことを理由に申立てを取り下げることもできません。

このような状況では、誰を後見人等候補者として推薦するかという判断が重要になります。

誰を後見人等候補者にすべきか迷われた際は、当事務所まで一度ご相談ください。

 


  


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