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遺言書とは
人が自分の死後、その効力を発生させる目的で、あらかじめ書き残しておく意思表示のことを遺言といい、遺言書は、その遺言が記された書面のことをいいます。
遺言書は、法律上、一定の要件を満たした書き方をしていなければ無効となってしまいます。
遺言書の法律上の要件について、詳しくはこちらのページを御覧ください。
ご本人様が実現したいと願っている内容を記載しても、この要件を満たしていないと法的な効力が発生せず、結果として想いを実現できない可能性があるため、注意が必要です。
そこで、ここでは遺言書について、書き方の例をご紹介します。
なお、書式の使用は、相続問題に直面されている当事者個人の方及び弁護士のみとさせていただきます。
他士業その他の事業者の方に対しては、弁護士法違反(非弁活動)のおそれがあるため、無断使用を一切認めておりません。
遺言書
この書式は、遺言書のサンプルです。
遺言書の書き方についての詳しい説明は、こちらをごらんください。
清算型遺言
この書式は、清算型遺言と呼ばれ、遺言者の財産をすべて現金化して分けることを内容とするもので、その執行については遺言執行者を指定しております。
清算型の場合、不動産や預貯金などすべての財産を現金化して分けるため、その手続きは大変ですが、その分、遺産の評価などが問題にはならず、公平性を担保しやすい遺言となっています。
手続が煩雑なため、遺言執行者は、弁護士などの専門職を指定したほうがよいでしょう。
自宅(戸建て)を一人に相続させる場合の遺言
この書式は、自宅(戸建て)を妻に対して相続させる場合の遺言のサンプルです。
遺言書には、目的物を特定して記載する必要があります。
登記事項証明書の記載どおり、土地の場合は所在、地番、地目及び地積を記載し、建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。
このサンプルでは、建物内の一切の動産(家財道具など)も妻に相続させています。
これは、相続させる旨の遺言の目的として建物のみとした場合、後日、その建物内の動産が対象となるか否か、トラブルとなるおそれがあるからです。
もし、動産を相続の対象と外したければ、③は削除してください。
なお、自宅不動産の相続の問題について、より詳しい情報を記載していますので、こちらをご覧ください。
自宅(戸建て)の共有持分を一人に相続させる場合の遺言
この書式は、自宅(戸建て)の共有持分を妻に対して相続させる場合の遺言のサンプルです。
例えば、夫が自宅を購入する際、妻に連帯保証人等になってもらう場合、夫と妻の共有持分が2分の1となることがあります。
このような場合、夫が妻に相続させるのは、所有権全体ではなく、2分の1の共有持分となります。
遺言書には、目的物を特定して記載する必要があります。登記事項証明書の記載どおり、土地の場合は所在、地番、地目及び地積を記載し、建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。
なお、自宅不動産の相続の問題について、より詳しい情報を記載していますので、こちらをご覧ください。
自宅(戸建て)を複数名に相続させる場合の遺言
この書式は、自宅(戸建て)を妻、長女及び二女に対して相続させる場合の遺言のサンプルです。
不動産については、権利者が複数になると、後日トラブルになる可能性があります。
そのため、通常は誰か一人に権利を集中させることをおすすめしています。
しかし、中には、ご家族に対する配慮等から複数名に権利を承継させることを望むケースもあります。
この書式はそのようなケースに使用するものです。
遺言書には、目的物を特定して記載する必要があります。
登記事項証明書の記載どおり、土地の場合は所在、地番、地目及び地積を記載し、建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。
なお、自宅不動産の相続の問題について、より詳しい情報を記載していますので、こちらをご覧ください。
住宅ローン付の自宅(戸建て)を一人に相続させる場合の遺言
この書式は、住宅ローンが完済されていない自宅(戸建て)を長男に対して相続させる場合の遺言のサンプルです。
住宅ローンが残っている場合、その返済義務をめぐってトラブルに成る可能性があります。
例えば、相続人に妻、長男、二男がいたとします。
この場合、長男が当該不動産を取得するのであれば、長男が住宅ローンを負担することが妻や二男からすれば当然と感じられるでしょう。
しかし、債権者(銀行等)には対抗することができません。
そのため、他の相続人が住宅ローンの支払いを余儀なくされた場合などに備えて、填補の方法についても記載しておくべきです。
また、遺言書には、目的物を特定して記載する必要があります。
登記事項証明書の記載どおり、土地の場合は所在、地番、地目及び地積を記載し、建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。
なお、自宅不動産の相続の問題について、より詳しい情報を記載していますので、こちらをご覧ください。
自宅(マンション)を一人に相続させる場合の遺言
この書式は、自宅(マンション)を妻に対して相続させる場合の遺言のサンプルです。
遺言書には、目的物を特定して記載する必要があります。
登記事項証明書の記載どおり、区分建物の場合は一棟の建物の表示、専有部分の建物の表示、敷地権の目的たる土地の表示、敷地権の表示を記載します。
なお、区分建物の一棟の建物の表示は、登記事項証明書に建物の名称がある場合、これを記載すれば足り、構造等の記載を省略できます。
なお、自宅不動産の相続の問題について、より詳しい情報を記載していますので、こちらをご覧ください。
賃貸不動産を一人に相続させる場合の遺言
この書式は、賃貸している不動産を妻に対して相続させる場合の遺言のサンプルです。
賃貸不動産を相続によって取得した方は、賃貸人の地位ももれなく承継します。
したがって、賃貸人の義務である、敷金返還債務も負担することとなります。
せっかく不動産を取得できても、多額の敷金返還債務があるのでは、喜び半減です。そこで、敷金の負担から解放してあげるために、本条の2項のような遺言を作成し、預金債権をあわせて相続させています。
遺言書には、目的物を特定して記載する必要があります。
登記事項証明書の記載どおり、土地の場合は所在、地番、地目及び地積を記載し、建物の場合は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載します。
なお、自宅不動産の相続の問題について、より詳しい情報を記載していますので、こちらをご覧ください。
その他
その他の書式については、こちらからどうぞ。
まとめ
以上、遺言書の書き方について、オーソドックスなものから、清算型遺言、不動産の処分に関する遺言などをご紹介いたしました。
相続が争族とならないようにするために、ご紹介した見本がお役に立てれば幸甚です。
ただし、見本はあくまでサンプルです。
個々のケースによって、最適な遺言書の内容は異なりますので、より詳しくは専門家にご相談ください。