連れ子が夫と養子縁組をしていれば、相続人の資格があります。
連れ子は法律上親子関係が発生しない?
昨今では、子どもを連れて再婚する人も少なくありません。
また、お互いが子どもを連れて再婚し、築いた新しい家庭のことを指すステップファミリーという言葉もよく聞かれるようになりました。
母親が子を連れてある男性と再婚した場合、外から見るとその男性は当然に子の父親としての地位を得るようになると思われかもしれませんが、実際は違います。
なぜなら、法律上、夫婦関係と親子関係は全く別物として扱われているからです。
つまり、母親と男性は、婚姻により法律上正式な夫婦となりますが、婚姻のみが存在する時点では、その子と男性には、法律上の親子関係は発生しておらず、他人と同じ関係になります。
法律上相続人となるのは誰か?
民法第887条から第890条は、相続順位について
- ① 子(子が亡くなっている場合には孫等)
- ② 直系尊属(祖父母等)
- ③ 兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は甥ないし姪)
- ※配偶者は常に相続人となる
と定めています。
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連れ子との間で養子縁組した場合
子は、母親の再婚相手と養子縁組をすることで、法律上もその男性の実子と同じ立場におかれることになります(民法第809条)。
それにより、母親の連れ子は、男性の相続人としての資格も得ることになるのです。
両方が子どもを連れての再婚であるステップファミリーの場合は、女性が男性の子どもと、男性が女性の子どもと養子縁組することで、いずれの子どもも法律上もその男性、女性の子として、相続権を得ることができます。
養子縁組が重要な意味をもつのは相続の場面だけでなく、たとえば親権に関しても、養子縁組が行われていない状況では、再婚相手の男性は、女性の連れ子の親権をもつことはできません。
したがって、再婚により、再婚相手の子を法律上も正式に自分の子として養育し、ゆくゆくは自分の財産を相続人として相続させたいと思うのであれば、養子縁組を行うことが必須になります。
再婚に限らず、今日では、いろいろな家族の形があり、法律がまだ追いついていない部分もあるかもしれません。
しかし、それにより、本来自分の遺産を受け取ってもらいたい人に遺産を相続させることができず、後悔するような事態になることは避けなければなりません。
相続の場面で自分の意思をきちんと反映させるためには、事前に十分な対策をしておくことが必要です。
まとめ
一方配偶者の連れ子が他方配偶者の相続人となるには、両者の間で養子縁組をしている必要があります。
養子縁組をしていない場合には相続人とはなりえないため、養子縁組をしてはいないものの配偶者の連れ子に遺産を遺してあげたいという場合には、遺言書を作成して遺贈する等の対応が必要です。
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