※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
状況
被相続人 | 97歳で死亡(Cさん) 遺産:預貯金1億7000万円程度 |
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相続人 | 子どもAさん、Bさん |
相談者 | Aさん |
相談の経過
Aさんは、Cさんが死亡し、そのことをBさんから知らされましたが、Cさんは遺言を遺しており、その遺言では預貯金をBさんがすべて相続することになっていました。
そのため、Aさんが取得する分はなく、何も得られない状態でした。
そこで、困ったAさんは、今後のことについて、弁護士に相談しました。
弁護士の関わり
弁護士は、Aさんには遺留分という最低限もらえる分があることを説明し、その請求をすることを促しました。
しかし、Aさんは、Bさんから嫌がらせを受けることなどを心配して、その請求を躊躇しましたが、弁護士が入ることで、そのようなことは回避できること、遺留分はAの権利であり、その主張をしっかりしていくことが必要であることを伝え、Aさんは納得して遺留分侵害額請求をすることにしました。
弁護士は、Aの遺留分を計算して、その根拠を示したうえで、Bにその支払いを求める通知を出しました。
そうしたところ、Bはその額に納得をして、通知後たった10日で4200万円強を振り込んでもらうことができ、Aが弁護士に依頼してから2週間も経たないうちに解決をすることができました。
補足
遺言書が残っている場合、1人の相続人にすべての財産を相続させる遺言や、特定の相続人には一切相続させない遺言を遺しているケースがありますが、民法では「遺留分」という最低限の権利を法定相続人に認めています。
この遺留分は、1年以内に行使しないといけないため、遺留分があることが分かった場合には、早期に請求をしていかなければなりませんし、請求していく場合には、その証拠を残すために内容証明郵便で請求していくことも大事です。
また、遺留分については、債務を控除したり、葬式費用は含めないなど、その計算方法をしっかり提示して、相手の納得を得て早期に支払をしてもらうように伝えることが必要です。
今回の事案では、Bさんの提示してきた書類をもとに、その計算方法を明示して、Aさんが権利を持っていることを示して、その納得を得ることに努めました。
そうしたところ、本件では、たったの2週間で解決をすることができたのです。
弁護士が入ることで、紛争が激化するのではないかと心配する人もいますし、相手方から何か嫌みを言われるのではないかと心配する方も少なくありません。
しかし、弁護士が入って請求する際にはしっかりとした法的根拠を示して請求していくので、むしろ紛争となるところを明確にし、争点にすべきところではないところは省くなどしていくため、激化するということはあまりありません。
また、弁護士が請求すると、相手も弁護士を就けて対応する、又は相談しに行く場合がほとんどで、その場合にはよりスムースに解決に至ることも多いのです。
以上のとおり、弁護士が入ることで適正な権利を早期に実現することが可能になりますので、まずは弁護士に相談すべきなのです。