※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
状況
被相続人 | 90歳で死亡(男性Eさん) 遺産:不動産及び預貯金1500万円程度 |
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相続人 | 配偶者Dさん、子どもAさん、Bさん、Cさん |
相談者 | Aさん |
相談の経過
Aさんは、父親であるEが死亡し、他の相続人であるDさん、Bさん、及びCさんと話し合いをして、遺産分割協議を進めてきましたが、AさんがEさんからの借金を500万円程度していたため、その扱いが問題となって協議が進みませんでした。
その後、Dさんは、代理人を通じて遺産分割の調停を申し立ててきましたが、結果としてDさんは借金を返せの一点張りで、話し合いにはなりませんでした。
そこで、困ったAさんは、今後のことについて、弁護士に相談し、依頼をしました。
弁護士の関わり
Aさんから相談を受けた弁護士は、Aさんの相続する分を踏まえて借金を返還することはやむを得ないことについて説明し、借金の返済額を減らすことに努めました。
Aさんの話を聞くと、借金の返済は実際にはEさんではなく、Dさんの口座にしていたことが分かりました。
そのため、Dさんに渡した返済額は、Eさんの遺産であるか又はEさんの特別受益になることが分かりました。
その点を指摘したところ、相手方は認めませんでしたが、調停官が相手方の主張が不合理であることを認めて説得をしてくれ、Eさんの遺産として400万円以上のDさん名義の財産を加えることに成功しました。
また、不動産についても固定資産税評価額での評価だったため、土地については少なくとも1.3倍の額を評価額とすべきと主張しました。
この点については、相手方の納得も得られたため、評価額を全体で100万円程度あげることができました。
以上を踏まえて、最終的には支払額を100万円程度減らすことができ、それまでの期間も半年程度で終えることができました。
補足
遺産分割手続きにおいては、遺産以外のところにも目を向けることで、皆生のきっかけをつかむことができる場合が多々あります。
しかし、実際には遺産に目が行きがちなため、相続に注力した弁護士に第三者としての目線で見てもらうことで、遺産以外の解決の糸口にたどり着けることにつながります。
特に、調停では調停官という人が審判まで担当することになるため、その調停官を味方につけて相手方を説得することも大変重要です。
調停官は、法律の専門家のため、しっかりと法的な主張を組み立てれば、説得なども行ってくれる場合があります。
もっとも、弁護士を就けずに調停官を説得することは大変困難であり、調停官も弁護士が就いている側の意見を聞いてしまうことさえありますので、調停では弁護士を就けることでその点を解消できます。
解決目標をしっかりと設定し、そのために必要な手続きを一つ一つ行うことで、減額を言う解決を得られた事案でした。
遺産分割の話し合いの中では、目の前にある遺産だけに目を向けるのではなく、過去の経緯などから遺産がないか、遺産ではなくても特別受益など遺産分割に影響する事項はないかを漏れなく検討する必要があります。
そのような検討をしっかりと行うためには、まずは相続に強い弁護士に相談することが第一歩となります。