※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
状況
被相続人 | 83歳で死亡(夫Aさん)遺産:不動産多数(合計約7000万円)、預貯金合計約3000万円 |
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相続人 | 妻(Bさん)、子ども3名(C~Eさん) |
相談者 | 妻Bさん |
相談の経過
Aさんが亡くなり、BさんらはAさんの遺産約1億円を相続しました。
その後、遺産分割協議において、息子Cさんが知り合いの司法書士に依頼して遺産分割協議書を作成し、Bさんに署名を求めてきました。
ところが、この遺産分割協議書には、Bさんが取得するのは、価値があまりないと思われる3つの土地(相続税評価額2000万円)だけでした。
そこで、Bさんは、当事務所を訪れ、今後について相談されました。
弁護士の関わり
不動産について、適正価格を算定するために、すべての不動産の査定を行いました。
すると、不動産については、すべての合計で約7000万円、そのうち、Bさんが取得すると記載されていた3つの不動産の時価は合計1000万円にすぎないことが判明しました。
そこで、弁護士は遺産分割調停を申立て、遺産の合計額が約1億円(不動産約7000万円と預貯金3000万円)であり、Bさんは、その2分の1である5000万円を取得すべきであると主張し、相手方を説得しました。
その結果、調停が成立し、Bさんは、5000万円相当の不動産と預貯金を取得することができました。
補足説明
①不動産の査定がポイント
この事例では、遺産に不動産が含まれていました。
遺産に不動産があると、その時価を適切に評価することが極めて重要となります。
この点、不動産については、「固定資産評価額」や「相続税評価額」で評価すべきであると誤解されている方がとても多くいらっしゃいます。
しかし、これらの評価手法は、あくまで課税の局面における評価に過ぎず、適切な時価を反映しているわけではないので、注意が必要です。
すなわち、通常、これらの評価額は、時価よりも、大幅に低い傾向にあります。
遺産相続において、評価の手法としては、本来、時価(取引価格)によるべきです。
時価を査定する方法としては、不動産鑑定士に依頼する方法と、不動産業者に査定を依頼する方法があります。
両者はそれぞれ、一長一短があります。
執筆者の個人的感想となりますが、それぞれのメリットとデメリットをまとめると下表のとおりとなります。
不動産鑑定士 | 不動産業者の査定 | |
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メリット |
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デメリット |
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※当事務所では連携した不動産業者に依頼し、無料査定を行っていますが、業者によって異なる可能性があります。
当事務所の遺産評価について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
当事務所の相続対策チームは、通常、まずは連携し、信頼できる不動産業者に依頼し、査定を迅速に行ってもらいます。
そして、その時価をもとに、相手方と交渉したり、調停では裁判所に査定書を提出したりします。
しかし、当方の査定書に相手方が納得できない場合、状況によっては不動産鑑定士に依頼するようにしています。
このようにすることで、依頼者の方の負担を少なくし、かつ、損をしないようにすることが可能となるからです。
②遺産分割は損をしないようにすること
本事例では、実の子供が本来の法定相続分を大幅に下回る額の遺産分割協議書案を作成し、署名させようとしていました。
このような事例は決して珍しくないので、注意が必要です。
遺産分割で損をしないために重要なことは、本来、取得できる遺産はどの程度かを押さえることです。
そのためには、法定相続分をきちんと調べる必要があります。
法定相続分について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
また、相続問題に精通した専門家に相談することがポイントとなります。
遺産分割を適切に行うためには、相続法に関する専門知識やノウハウが必要です。
当事務所の相続対策チームは、相続問題に注力する弁護士、税理士等で構成されるチームであり、親身になって解決方法をご提案いたします。
当事務所のご相談の流れについてはこちらのページを御覧ください。