遺言書の作成費用は、どの種類の遺言書を作るかによって異なり、また、遺言書によって相続させる(遺贈する)遺産の総額によっても異なります。
自筆証書遺言の作成を弁護士に依頼する場合の費用相場は、実費と弁護士に支払う費用(報酬)をあわせて10万円〜50万円前後です。
公正証書遺言の作成を弁護士に依頼する場合の費用相場は、実費と報酬をあわせて20万円〜75万円前後です。
この記事では、遺言書の種類に応じた作成費用(実費)の相場や、専門家に遺言書の作成を依頼する場合に支払う費用の相場について、具体例をあげながら解説します。
目次
遺言書の種類ごとに作成費用は異なる
遺言書とは、遺言者(遺言を作成する人のことです。)が、どの遺産を・誰に・どのように取得させるのかという最終の意志を記載した書面のことをいいます。
有効な遺言書がある場合、相続人(法律で遺産を相続する権利を認められた一定範囲の親族のことです。)は、原則として遺言書の内容にしたがって遺産を相続することとなります。
遺言書には、大きく自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3つの種類があります。
- 自筆証書遺言:遺言者本人が全文を手書きして作成する遺言書のことです。
- 秘密証書遺言:遺言者が作成した遺言書の内容を秘密にしたうえで、遺言書が存在することのみを公証人と証人に証明してもらう遺言書のことです。
- 公正証書遺言:遺言者が法律の専門家である公証人に依頼して作成してもらう遺言書のことで、公文書としての性質をもちます。
この遺言書の種類ごとに作成費用は異なってきます。
遺言書を自分だけで作成する場合の費用
遺言書を自分だけで作成する場合にかかる費用は、実費のみです(実費の内訳などの詳細は「遺言書の作成にかかる実費の相場」の表をご参照ください)。
遺言書の種類に応じた実費の相場は次のとおりです。
- 自筆証書遺言の場合:0円〜3000円前後
- 秘密証書遺言の場合:1万1000円〜11万円前後
- 公正証書遺言の場合:10万円〜25万円前後
専門家に遺言書作成を依頼する場合の費用内訳
作成費用の内訳
遺言書の作成費用は大きく、①実費と②専門家に支払う費用の2つに分けることができます。
①実費
遺言書の作成にかかる①実費は、(ア)必要書類の取得費用、(イ)役所に支払う手数料、(ウ)証人の日当の3つに分けることができます。
遺言書の種類によって実費の金額は異なります。
遺言書の作成にあたって戸籍謄本や住民票等を役所に提出する必要がある場合、それらの書類の取得には一定の費用(1通あたり300〜750円)がかかります。
また、正確な遺言書を作成するための資料として、不動産の登記事項証明書(1通あたり600円)や預金や株式・ローンの残高証明書(1通あたり500円〜1000円前後)などを取得する場合には、それらの取得費用がかかります。
遺言書の作成や保管について役所(法務局や公証役場など)で手続きを行う必要がある場合、役所に対して一定の手数料を支払う必要があります。
手数料の金額は、手続きによって異なります。
秘密証書遺言または公正証書遺言を作成する場合には、証人2名の立会いが必要となるため、証人に対する日当を支払う必要があります。
下の表のように、証人を誰に依頼するかによって支払う日当の金額は異なります。
証人の依頼先 | 日当(1名分) |
---|---|
友人・知人 | 0円〜5000円(気持ち程度の謝礼) |
公証役場に紹介してもらう場合 | 7000円〜1万5000円前後 |
専門家(弁護士、司法書士、行政書士) | 1万円〜5万円前後 |
次の表は、遺言書の作成にかかる実費の相場をまとめたものです。
自筆証書遺言 | 秘密証書遺言 | 公正証書遺言 | |
---|---|---|---|
必要書類の取得費用 | 0円〜3000円前後 | 0円〜3000円前後 | 5000円前後(※1) |
役所に支払う手数料 | – | 1万1000円 | 遺産の金額によって異なる(1000万円〜1億円の場合で5万円〜10万円前後)(※2) |
証人(2名)の日当 | – | 0円〜10万円前後 | 0円〜10万円前後 |
総額 | 0円〜3000円前後 | 1万1000円〜11万円前後 | 10万円〜25万円前後 |
※1 公正証書遺言の場合には、遺言書を作成するための資料に加えて戸籍謄本類や住民票等を取得する必要があります。取得費用の総額は、相続人や受遺者(相続人以外で遺産を受け取る方のことです)の人数によって異なります。
※2 公正証書遺言を公証役場外で作成するときは、出張費用として1.5倍の手数料がかかる場合があります。
また、公証人の日当として、1日2万円(4時間以内の場合は1万円)+ 交通費(実費)がかかります。
②専門家に支払う費用
弁護士や司法書士などの専門家に遺言書(下書き)の作成を依頼する場合には、①の実費に加えて、専門家に報酬を支払う必要があります。
専門家に支払う費用(報酬)は、どの専門家に作成を依頼するかによって異なります。
専門家に支払う費用の相場については、後ほど詳しく説明します。
自筆証書遺言の作成費用
上で解説したとおり、自筆証書遺言の実費の作成費用は総額0円〜3000円前後となります。
自筆証書遺言を作成する場合には、実費として必要書類の取得費用が必要となります。
必要書類とは、不動産の登記事項証明書(1通あたり600円)、預貯金や株式等の残高証明書(1通あたり500円〜1000円前後)であり、自筆証書遺言を正確に作成するための費用となります。
専門家に原案の作成を依頼する場合には、この実費に加えて専門家に支払う費用が発生します(弁護士の場合で10万円〜50万円前後)。
自筆証書遺言は他の遺言書と比べて最も安価に作成できますが、無効となりやすいなどのデメリットがあります。
遺産の承継に関する御本人の想いをより確実にするには、次の公正証書遺言をおすすめいたします。
公正証書遺言の作成費用
公正証書遺言を作成する場合には、実費として(ア)必要書類の取得費用、(イ)役所に支払う手数料、(ウ)証人の日当のすべてが必要となり、このうち(イ)役所に支払う手数料は、遺産の金額に応じて変わります。
また、公証役場外で作成する場合には別途(エ)割増料金・公証人の日当がかかります。
公正証書遺言を公証役場で作成する場合の実費の相場は、遺産の金額が1000万円〜1億円以下のケースで10万円〜25万円前後です。
専門家に原案の作成を依頼する場合には、この実費に加えて専門家に支払う費用が発生します(弁護士の場合で10万円〜50万円前後)。
(ア)必要書類の取得費用
公正証書遺言を作成する場合、戸籍謄本等の書類を取得して公証役場に提出する必要があります。
この必要書類は誰に遺産を取得させるかによって異なりますが、一般的には5000円前後の費用がかかるといわれています。
遺産を与える相手 | 必要書類 | 取得費用 |
---|---|---|
相続人 | 遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本類 | 戸籍謄本:450円/通 |
除籍謄本:750円/通 | ||
改正原戸籍:750円/通 | ||
相続人以外 (遺贈の場合) |
|
戸籍謄本:450円/通 |
住民票:300円/通 | ||
登記簿謄本・登記事項証明書:600円/通 | ||
代表者事項証明書:600円/通 |
なお、遺産に不動産が含まれる場合には、その不動産に関する以下の書類が必要となります。
必要書類 | 取得費用 |
---|---|
固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書 | 固定資産評価証明書:200〜400円前後/通 ※自治体により異なる |
不動産の登記簿謄本(登記事項証明書) | 600円/通 ※遺言書で個々の不動産を特定する場合に必要 |
(イ)役所に支払う手数料(作成手数料)
公正証書遺言の作成手数料(公証役場に支払う費用)は、遺産の金額によって異なります。
この作成手数料は、①遺産を取得させる人ごとに、与える遺産の金額に応じた手数料を算出したうえで、②①で算出されたすべての人の手数料を合算して計算されます。
遺産の金額が1000万円〜1億円以下の場合、作成手数料の相場は5万円〜10万円前後です。
遺産の金額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5000円 |
100万円超200万円以下 | 7000円 |
200万円超500万円以下 | 1万1000円 |
500万円超1000万円以下 | 1万7000円 |
1000万円超3000万円以下 | 2万3000円 |
3000万円超5000万円以下 | 2万9000円 |
5000万円超1億円以下 | 4万3000円 |
1億円超3億円以下 | 4万3000円 + 1億円からの超過額5000万円ごとに1万3000円を加算 |
3億円超10億円以下 | 9万5000円 + 3億円からの超過額5000万円ごとに1万1000円を加算 |
10億円超 | 24万9000円 + 10億円からの超過額5000万円ごとに8000円を加算 |
※遺産全体の金額が1億円以下のときは、算出された金額に1万1000円が加算されます。
具体例
妻に2000万円相当の遺産を、長男に1500万円相当の遺産を、長女に800万円相当の遺産を、それぞれ相続させる場合の作成手数料は、以下の計算式より7万4000円です。
2万3000円 + 2万3000円 + 1万7000円 + 1万1000円(1億円以下の加算)= 7万4000円
(ウ)証人の日当
証人の日当は、誰に証人を依頼するかにより大きく異なります(2名分で0円〜10万円前後)。
(エ)割増料金・公証人の日当
公正証書遺言の作成は基本的に遺言者が公証役場に出向いて行いますが、遺言者が怪我や病気などで公証役場へ出向くことができないときには、公証人に出張を依頼することができます。
この場合には、割増料金と公証人の日当がかかります。
- 割増料金:(イ)の作成手数料の50%の金額
- 公証人の日当:1日2万円(4時間以内の場合は1万円)+ 交通費(実費)
秘密証書遺言の作成費用
上で解説したとおり、秘密証書遺言の実費の作成費用は総額1万1000円〜11万円前後となります。
秘密証書遺言を作成する場合には、実費として(ア)必要書類の取得費用、(イ)役所に支払う手数料、(ウ)証人の日当のすべてが必要となります。
必要書類とは、不動産の登記事項証明書(1通あたり600円)、預貯金や株式等の残高証明書(1通あたり500円〜1000円前後)であり、自筆証書遺言を正確に作成するための費用となります。
また、秘密証書遺言は作成後に公証役場で遺言の存在を確認することが必要になります。その際に公証役場に支払う手数料として1万1000円が必要となります。
さらに、公証人1名と2名以上の証人も必要になるため、その分の日当として概ね0円〜10万円前後が必要となります。
なお、公証役場外で作成する場合には別途割増料金・公証人の日当がかかります。
専門家に原案の作成を依頼する場合には、この実費に加えて専門家に支払う費用が発生します(弁護士の場合で10万円〜50万円前後)。
専門家別の遺言書作成費用の相場一覧
遺言書の作成を専門家に依頼する場合、どの専門家に作成を依頼するのかによって支払う費用(報酬)の金額は異なります。
以下は、専門家別の費用(報酬)の相場を一覧にまとめたものです。
専門家等 | 費用(報酬)の相場 |
---|---|
弁護士 | 10万〜50万前後 |
司法書士 | 8万円〜25万円前後 |
行政書士 | 5万円〜20万円前後 |
銀行 | 最低で130万円〜150万円前後(遺産の金額により異なる) |
遺言書の作成費用の相場 ―弁護士の場合―
弁護士に遺言書の作成を依頼する場合の一般的な相場は10万円〜50万円前後です。
ただし、遺産の金額が大きい場合や遺言書の内容が複雑な場合には、100万円以上の費用がかかることもあります。
遺言書の作成費用をいくらにするかは、それぞれの弁護士が自由に決めることができます。
もっとも、平成16年4月に弁護士費用が自由化されるまでは、日本弁護士連合会の定める報酬基準(以下「旧規定」といいます。)によって、すべての弁護士の報酬は一律に定められていました。
弁護士費用が自由化された今でも、旧規定を参考に弁護士報酬を決めている弁護士は少なくありません。
遺言書の作成 | 定型 | 10万円〜20万円の間 |
---|---|---|
非定型 | 経済的な利益の額(遺産の額)が
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※複雑 / 特殊な事情がある場合、弁護士と依頼者の協議で定める | ||
公正証書遺言 | 上記の金額に3万円を加算 |
旧規定にしたがう場合の作成費用は、遺言書が定型的なものであるかどうかによって異なります。
定型の遺言書であれば、10万円〜20万円の間です。
非定型の遺言書の場合は遺産の額によって異なり、例えば、遺産の額が3000万円の場合、以下の計算式より47万円です。
(3000万円 × 0.01) + 17万円 = 47万円
また、公正証書遺言の場合には3万円が加算されます。
引用元:(旧)日本弁護士連合会報酬等基準
法律相談料について
弁護士によっては、正式に遺言書の作成を依頼する前の相談(法律相談)について、1時間あたり5000円〜1万円前後の「法律相談料」が必要となる場合があります(司法書士や行政書士についても同様です)。
遺言書の作成費用の相場 ―司法書士の場合―
司法書士に遺言書(原案)の作成を依頼する場合の一般的な相場は、8万円〜25万円前後です。
弁護士の場合と同様に、遺産の額に応じて報酬を決める事務所もあれば、遺産の額にかかわらず一律の金額の事務所もあります。
多くの場合、公正証書遺言の方が自筆証書遺言よりも高額に設定されています。
公正証書遺言の作成費用については、公正証書遺言の原案の作成に加えて公証人との打ち合わせ等を行う場合の金額が表示されている場合と、原案の作成にかかる金額のみが表示されている場合がありますので、それぞれの事務所によく確認しましょう。
遺言書の作成費用の相場ー行政書士の場合ー
行政書士に遺言書(原案)の作成を依頼する場合の一般的な相場は、5万円〜20万円前後で、司法書士と同程度か、やや低い金額水準です。
弁護士や司法書士の場合と同じく、多くの場合には、公正証書遺言の方が自筆証書遺言よりも高額に設定されています。
公証人との打ち合わせ等を含む金額が表示されている場合と、原案の作成にかかる金額のみが表示されている場合がありますので、よく確認することが大切です。
遺言書の作成費用の相場 ―銀行の場合―
多くの銀行や信託銀行では、「遺言信託」というサービスを提供しています。
この遺言書信託のサービスは、遺言書の作成のみを行うものではなく、遺言書の保管や執行をトータルで行うサービスです。
遺言信託を利用する場合、最低でも130万円〜150万円前後の費用がかかり、遺産の金額が多い場合にはより多くの費用がかかります(遺言執行にかかる手数料が高額となるため)。
遺言信託にかかる費用の内訳は次のとおりです。
費用の項目 | 日当(1名分) |
---|---|
作成・保管手数料(取扱手数料) | 30万〜100万円前後(プランにより異なる) |
年間保管料 | 5000円前後 / 年 |
遺言執行手数料 | 最低報酬30万円〜170万円前後 ※遺産の金額に応じて手数料が加算される |
遺言書に関するその他の費用
この記事では主に遺言書の作成にかかる費用について解説していますが、この他にも以下のような遺言書にかかわる費用が発生する場合があります。
遺言書の保管費用
自筆証書遺言や秘密証書遺言については、遺言者が自由に保管場所を決めることができます。
自筆証書遺言については法務局に預ける制度(自筆証書遺言の保管制度)を利用することができ、この場合には法務局に手数料として3900円を支払います。
また、弁護士や司法書士等の専門家や金融機関に遺言書の保管を依頼することもでき、この場合には、1年ごとに5000円〜1万円前後の費用がかかります。
遺言執行費用
遺言の執行とは、遺言書に書かれた内容を実現する手続きのことをいいます。
遺言の執行を専門家や金融機関に依頼する場合には、遺産の金額に応じた費用(報酬)を支払うのが一般的です(遺産総額の0.5〜2%前後)。
金融機関の場合には、遺言の執行費用について最低金額(50万円〜100万円前後)が設定されていることが多いです。
遺言書作成のポイント
どの種類の遺言書を作成するかをよく検討する
上で説明したように、遺言書には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があります。
また、自筆証書遺言については保管制度を利用することもできます。
それぞれの遺言書にはメリット・デメリットがあり、遺言書によって作成費用も異なることから、これらのメリット・デメリットや作成費用をしっかりと把握したうえで、ご自身のニーズに合った遺言書を選ぶことが大切です。
遺言書には要件がある
遺言書にはその種類に応じて、民法で定められた要件があります。
要件を守らずに作成した遺言書は無効になる可能性があります。
遺言書が無効となる場合、遺言書はないものとして扱われ、遺言者全員で遺産の分け方を話し合って決めることとなります(これを「遺産分割協議」といいます)。
このように、遺言書が要件を満たさず無効となってしまうと、せっかく遺言書を作成した意味がなくなってしまうことから、要件を満たしているかどうかを慎重に確認することが大切です。
遺言書の要件と効力について詳しくはこちら
遺言書の原案を作成する
どの種類の遺言書を作成する場合であっても、まずは遺言書の原案(下書き)を作成することをおすすめします。
特に、自筆証書遺言の場合には全文を自筆する必要があり、遺言書に誤記があったときは、民法のルールにしたがって修正(変更)を行わなければなりません。
そのため、できるだけ修正(変更)をしなくてよいように、あらかじめ原案(下書き)を作って清書することが大切です。
公正証書遺言についても、公証人に作成してもらいたい遺言書の内容を伝える必要があることから、あらかじめご自身で原案を作成しておくのがスムーズです。
遺留分の侵害に注意する
遺言書の内容が一部の相続人の遺留分(いりゅうぶん)を侵害している場合、遺留分の請求をめぐる争いが起きる可能性があります。
遺留分とは、遺言者の相続人のうち、配偶者(妻・夫)、子ども、両親や祖父母などについて法律上保障された最低限の遺産の取り分のことです。
遺留分を侵害された相続人は、侵害の原因となる相続等を受けた人に対して、侵害された金額の支払いを請求することができるため、相続人同士のトラブルとなる可能性があります。
トラブルを避けるためには、遺留分を侵害しない内容の遺言書を作成することが大切です。
やむを得ず遺留分を侵害せざるを得ない場合には、その具体的な理由をあわせて遺言書に記載するなどして、相続人に納得感をもってもらうことが大切です。
遺留分について詳しくはこちら
遺言書作成は弁護士に依頼する
遺言書の作成は相続にくわしい弁護士に依頼するのがおすすめです。
遺言書が要件を満たさず無効とされてしまうケースや、遺言書の内容が原因で相続人同士のトラブルを生んでしまうケースは少なくありません。
相続にくわしい弁護士に遺言書の作成を依頼することで、遺言書が無効となったり遺言書によって相続人同士のトラブルを招いたりするリスクを小さくすることができます。
また、相続にくわしい弁護士であれば、遺言者の希望をよりよく実現するためにはどの種類の遺言書を作成すべきか、遺言書にどのような内容を記載すべきか・記載すべきでないか、といった点についても的確なアドバイスをもらえることが期待できます。
また、遺言書の内容をどうすべきか、といった個別具体的な事案に即したアドバイス(これを「法律相談」といいます。)を行うことができるのは弁護士のみで、司法書士や行政書士、金融機関、コンサルタントなどが遺言書に関する法律相談を行うことは法律で禁止されています(「非弁行為」という違法行為にあたります)。
弁護士に遺言書の作成を依頼する場合には、司法書士や行政書士に依頼する場合と比べて費用が高額になりますが、具体的な事案に即したアドバイスをもらいたい場合には、相続にくわしい弁護士に相談することを強くおすすめします。
相続を弁護士に相談すべき理由はこちら
遺言書を自動計算ツールで簡単に作成!
遺言書の作成には相続に関する知識が必要となるため、一般の方が遺言書の原案(下書き)を自力で作成するのはなかなか難しい面があります。
そこで、当事務所では、相続問題にくわしい弁護士が監修した遺言書(原案)の自動作成ツールを提供しています。
必要事項を入力するだけで簡単に遺言書の原案を作成することができます。
遺言書自動作成ツールはこちら
遺言書の作成費用をシミュレーションしてみよう
遺言書の作成費用を具体的な事例でシミュレーションしてみましょう。
ここでは、当事務所の弁護士費用をもとに計算してみます。
ケース1:自筆証書遺言(原案)の作成を弁護士に依頼する場合
遺言者に妻と子ども2人(長男・長女)がいるケースで、妻に4000万円相当のマンションを、長男にA銀行の預金3000万円を、長女に2500万円相当の株式を、それぞれ相続させる内容の自筆証書遺言を作成する場合
この場合の実費の総額は、1700円です。
- 株式の残高証明書の取得費用 1100円(税込)
- マンションの登記事項証明書の取得費用 600円
※状況しだいで切手代・交通費などの実費が必要となるケースもあります。
- 法律相談料:0円
- 自筆証書遺言(原案)の作成費用:16万5000円 ~ 33万円(税込)※
1700円 + 16万5000円 ~ 33万円 = 16万6700円 〜 33万1700円
※遺言内容の複雑さや資料の有無などにより、作成費用は変動します。
なお、自筆証書遺言は遺言者本人が全文を自筆(手書き)する必要があるため、弁護士に自筆証書遺言の原案を作成してもらった後、遺言者自身で清書する必要があります。
ケース2:公正証書遺言(原案)の作成を依頼する場合
遺言者と夫との間には子どもがおらず、夫と父親のみが相続人となるケースで、夫に5000万円相当の自宅と土地を、父親に1200万円の預金を、それぞれ相続させる内容の公正証書自筆証書遺言を作成する場合※証人については公証役場で手配してもらうこととした(1名あたりの日当が8000円の場合)
この場合の実費の総額は、9万4200円です。
(ア)必要書類の取得費用
- 自宅と土地の登記事項証明書の取得費用600円 × 2 = 1200円
(イ)公証役場に支払う作成手数料
4万3000円(夫が相続する遺産)+ 2万3000円(父親が相続する遺産)+ 1万1000円(1億円以下の加算)= 7万7000円
(ウ)証人の日当
- 1名あたり8000円 × 2名分 = 1万6000円
※状況しだいで切手代・交通費などの実費が必要となるケースもあります。
- 法律相談料:0円
- 公正証書遺言(原案)の作成費用:16万5000円 ~ 33万円(税込)※
1200円 + 7万7000円 + 1万6000円 + 16万5000円 ~ 33万円 = 25万9200円 〜 42万4200円
※遺言内容の複雑さや資料の有無などにより、作成費用は変動します。
まとめ
- 遺言書の作成費用は、大きく①実費(必要書類の取得費用、役所に支払う手数料、証人の日当など)と②専門家に支払う費用(報酬)に分かれます。
- 遺言書にかかる実費は遺言書の種類に応じて異なります。
最も実費の負担が小さいのは自筆証書遺言で、ほとんど実費がかかりません。
これに対して、最も実費の負担が大きいのは公正証書遺言で、遺言の金額に応じて10万円〜25万円前後の実費がかかります(遺産が1000万円〜1億円程度の場合)。 - 弁護士に遺言書の作成を依頼する場合の報酬はそれぞれの事務所や遺産の金額によって異なりますが、10万円〜50万円前後が相場です(実費を含まない金額です)。
- 遺言書はその種類によってそれぞれメリット・デメリットがあることや、遺言書の種類によって効力が認められるための要件が異なることから、どの遺言書を作るのかを慎重に検討することが大切です。
- 要件を満たさないために遺言書が無効とされるケースや、遺言書の内容が原因で相続人同士のトラブルが起きるケースが少なくないことから、遺言書の作成については相続にくわしい弁護士に相談されることを強くおすすめします。
- 当事務所では、相続問題に力を入れている弁護士で構成する相続対策専門チームを設置しており、どの種類の遺言書を作成するのがよいか、もめない遺言書を作るためにはどうしたらよいか、遺言書が要件を満たすものとなっているかどうか、などの遺言書の作成に関する様々なご相談に対応させていただきます。
初回のご相談は無料ですので、ぜひお気軽にご利用ください。