父が、ある女性と再婚して3日後に事故で死亡しました。
法律によると、妻は夫の相続人となる資格があると思いますが、この女性の場合、妻だったのは3日だけで、夫婦として暮らした期間があまりに短いです。
父は、父名義の不動産など多数有していたため、私を含む親族全員が、今後の相続問題を心配するとともに、この女性に本当に相続権は認められるのだろうかと疑問に思っています。
このような場合にまで、この女性に相続権は認められるのでしょうか。
この女性にも相続権が認められます。
相続順位
民法第887条から第890条は、相続順位について以下のように定めています。
- ① 子(子が亡くなっている場合には孫等)
- ② 直系尊属(祖父母等)
- ③ 兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は甥ないし姪)
※配偶者は常に相続人となります。
相続順位について、詳しくはこちらをご覧ください。
再婚した女性の相続権
この女性も配偶者である以上は、相続権が認められます。
日本では、年齢などの要件を満たした者が、婚姻の意思をもってその届出を行えば、婚姻が成立します。
したがって、あなたのお父さんも、結婚する意思をもって婚姻届に署名押印し、その届出が提出されていたのであれば、その女性は間違いなくあなたのお父さんの妻になります。
そして、あなたの言う通り、民法では、妻には夫の相続人の資格が認められています。
これには、婚姻期間が長いとか短いとかの定めはありません。
たとえ婚姻期間が1日しかない場合でも、50年以上ある場合でも、妻の相続分は等しく認められることになります。
もっとも、その女性が、お父さんに無断で婚姻届けを届け出たというような場合には、お父さんと女性の婚姻が無効であると判断される可能性があり、婚姻が無効な場合はその女性はお父さんの配偶者ではなかったとして、女性の相続権は否定されることになります。
本件の場合の相続分
相続人があなたとその女性の2人しかいない場合は、あなたとその女性に2分の1ずつ相続権が発生します。
したがって、あなたはお父さんが残した遺産について、その女性とどのように分けるか話し合う必要があります。
まとめ
以上のように、婚姻期間が極めて短い場合であっても、婚姻自体が有効であれば被相続人の配偶者に相続権が認められることになります。
そのため、婚姻の成立自体に不自然な点等がない場合には、被相続人の配偶者に相続権があることを前提に遺産分割協議等を行っていくべきといえます。
なお、本件のような事案のほかにも、年老いた闘病中の男性が、亡くなる直前に女性と入籍するなどして、納得いかない男性の親族ともめるケースも聞かれます。
しかし、男性に婚姻意思がある状況で、その届出がなされている以上は、妻の相続権を覆すことはできないと考えられます。
ただし、もしも男性が遺言を残していたなどの事情がある場合には、遺言の内容により相続分とは異なる割合で相続できることも十分考えられます。
このような相続に関するトラブルでお悩みのかたは、ぜひ一度、相続専門の弁護士にご相談されることをおすすめします。
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