親の借金を調べる方法とは?弁護士が解説


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

親(故人)の借金を調べる方法としては、①預貯金通帳を見ること、②金融機関からの通知や記録した手帳などがないかを探すこと、③不動産の登記事項証明書を見ること、④顧問税理士がいたのであればその税理士からヒアリングすることなどの方法により、借金があるかどうかがわかる場合があります。

故人である親に借金がある場合、相続によって子供はその借金を引き継ぐ可能性があります。

しかし、借金を調査することは容易ではありません。

ここでは、親の借金を調べる方法について、弁護士がわかりやすく解説しています。

ぜひ参考になさってください。

亡くなった親の借金を調べる方法

遺産の把握状況

別居している親などが亡くなった場合、交流があった場合でも、遺産をすべて把握している相続人はほとんどいませんし、交流がなかった場合は尚更です。

なぜなら、親としては、子どもから財産を頼られたら困るという想いや借金があることは知られたくないと思うことがしばしばだからです。

では、どのように遺産を探すことになるでしょうか。

このページでは、借金に特化した探し方をお教えします。

 

家の中を探す

借金の探し方ですが、法的に借金をすべて探す方法など、魔法のような方法はありません。そのため、地道に資料を集めて、借金があるかを判断するしかないのです。

では、その第一歩ですが、まずは家の中の遺品を整理することから始めます。

これは、預貯金通帳や、金融機関からの通知、亡くなったからの手帳、不動産の権利証や不動産登記事項証明書などの借金を示す可能性のある資料を探すことに他なりません。

 

それぞれの資料の見方

①通帳

まず、①預金通帳ですが、預金通帳からの引き落としや振込先を見ることで、カード会社などの取引先が分かることが多いのです。

この場合、通帳に記載されているのは一部の取引ですから、その通帳の金融機関に対し、取引明細書を請求して、過去の取引をしっかりと見ましょう。10年程度の取引履歴は開示してもらえます。

②金融機関からの通知又は手帳

借金をしている金融機関からの通知が残っていたり、手帳や帳簿などにどこの金融機関から借りたかが書いてあることがしばしばあります。

タンスや机の引き出しなどをしっかりと探しましょう。

③不動産登記事項証明書

不動産登記事項証明書の乙欄を見てもらうと、抵当権が設定されているかが分かり、不動産のローンがあるのかどうか、どこから借りているかがわかります。

また、抵当権が付いていない場合でも、不動産登記事項証明書などと一緒に契約書が残されている場合も多いので、その場合には契約時に仲介や媒介をした不動産業者が分かります。

不動産業者が、亡くなった方の借金について知っていることもあるので、当該不動産業者に問い合わせてみるのも良いと思います。

 

税理士に聞く

個人事業をしている方が亡くなった場合、顧問税理士がいることがしばしばあります。

税理士は、事業についての情報を把握しているので、個人的な借金でなければ、税理士からヒアリングして借金の有無はわかるといえます。

 

 

生きている親の借金を調べる方法

ご存命の場合、次のいずれかの方法で借金の有無を調べることができます。

親に直接教えてもらう

まず、直接本人に確認するという方法があります。

借金の存在は知られたくないと考えている人が多いため、はぐらかされるかもしれません。

しかし、嘘をついているような節があれば、借金をしている可能性をつかむことができます。

 

郵便物の差出人を見る

親に郵送される郵便物の差出人が消費者金融やカード会社であれば、借金をしている可能性があります。

 

通帳の履歴を見る

親の通帳の履歴に、消費者金融やカード会社の名称が印字されていれば、消費者金融等との取引があります。

したがって、借金の可能性が考えられます。

 

 

親の借金を肩代わりしなければならない?

親が亡くなっている場合

親が亡くなっている場合、子供は親の借金を相続します。

借金の額がプラスの財産(預貯金、不動産など)を上回っている場合、相続放棄を検討しましょう。

相続放棄は期限が3ヶ月と短いため、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめいたします。

 

親が生きている場合

ご存命の場合、基本的に借金の返済義務は本人だけであり、肩代わりする義務はありません。

しかし、保証人になっている場合は、債権者から請求されると支払い義務があります。

 

 

相続の対象となる借金

相続とは、亡くなった方の権利・義務を引き継ぐことをいい、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産を含めてすべてを引き継ぎます。

したがって、借金も相続の対象となります。

具体的には、以下のようなものがあげられます。

  • 消費者金融からの借り入れ
  • カードローンやクレジットカードの負債
  • 未納の家賃や光熱費
  • 未納の通信費(スマホの料金)
  • 未納の税金
  • 個人からの借り入れ

なお、親の住宅ローンについては、団体信用生命保険によって通常は支払いが免除されます。

 

 

親の借金を返済しない方法

親の借金を返済しない方法について紹介いたします。

親が亡くなっている場合

すでに亡くなっている場合、相続放棄をすれば、借金の返済義務を負わなくてすみます。

 

親が生きている場合

ご存命の場合、子供が保証人になっていない場合、借金を肩代わりする義務はありません。

御本人の借金の支払いを減額又は免除したい場合、御本人が債務整理を検討する必要があります。

子供が保証人になっていて、債権者から子供に借金を支払うよう請求されている場合は、子供が債務整理を検討する必要があります。

 

 

親の借金に関する注意点

相続放棄ができない場合もある

親が亡くなっている場合、相続放棄をすることで借金の返済義務を免れます。

しかし、親の遺産を処分すると、相続放棄ができなくなるおそれがあるので注意が必要です。

例えば、遺産である現金を使い込んだ、預貯金の解約や払い戻しを行った、などの場合です。

また、相続開始があったことを知ったときから3か月経過すると、家庭裁判所の判所へ相続の放棄ができなくなります。

 

債務整理ができない場合がある

ご存命の場合、債務整理をすることで借金の額を減額ないし免除することができます。

例えば、自己破産すると借金の返済義務が免除されるのです。

しかし、借金の原因がギャンブルであるなど、一定の場合は借金が免除されないため注意が必要です。

 

 

 

まとめ

以上、親の借金を調べる方法、借金を返済しない方法や注意点について、くわしく解説しましたが、いかがだったでしょうか。

借金の調べる方法や返済しない方法は、親がご存命の場合と亡くなっている場合とで異なります。

また、最適な方法は具体的な状況によっても異なります。

そのため、専門家である弁護士にどのように調べるべきか、資料をどのように見るべきかといったことを相談・依頼するというのも一つの手です。

相続や債務整理においては、他にも難しい問題が山積していますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

当事務所では、相続に特化した弁護士が相談対応しますので、気軽にご相談ください。

 

 

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