亡くなった人の未支給年金は相続の対象となる?


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

亡くなった人の未支給年金は相続の対象とはなりません。

未支給年金は「生計を同じくしていた」ご遺族が請求できます。

ここでは未支給年金の意味や請求できる人、請求手続き等について、相続に注力する弁護士がわかりやすく解説しています。

未支給年金のことでお困りの方はぜひ参考になさってください。

未支給年金とは?

未支給年金とは、年金の受給権者が亡くなった場合に、その方に支給されるべき年金であって、まだ支給されていないものをいいます。

未支給年金として請求できる年金の種類には次のようなものがあります。

  • 国民年金(受給されていたすべての方が対象)
  • 厚生年金・共済年金(会社員や公務員だった方の年金)
  • 国民年金基金の年金(基金に加入していた自営業の方の年金)
  • 企業年金(勤め先で企業年金基金に加入していた方の年金)

 

未支給年金はいくらもらえる?

年金の具体的な金額はその方の状況(年金保険料の支払い実績等)によります。

年金は、受給権者が亡くなった月の分までもらえます

なお、日割り計算は行われません。例えば、1月1日に亡くなった場合、1月分すべてがもらえます。

国民年金、厚生年金・共済年金といった公的年金の場合、年金の支払は偶数月の15日に前月までの2か月分が支給されます。

では、亡くなった人の未支給年金はいくらもらえるのでしょうか。

未支給年金の金額は年金受給権者が亡くなった月が偶数月か奇数月か、月の前半か後半かで異なります。

下表はこれをまとめたものです。

亡くなった月 月の前半又は後半 もらえる月数
偶数月 前半 3ヵ月分
後半 1ヵ月
奇数月 前半 2ヵ月
後半 2ヵ月

 

具体例
8月10日(偶数月前半)に死亡→6月・7月・8月の3ヶ月分が支給されます。
8月16日(偶数月前半)に死亡→8月の1ヶ月分が支給されます。

 

 

未支給年金を請求できる人とは?

未支給年金は「生計を同じくしていた」遺族が請求できます

そして、請求できる遺族が複数いる場合、その順番が次の通り、法律で決められています。

第1順位 配偶者
第2順位
第3順位 父母
第4順位
第5順位 祖父母
第6順位 兄弟姉妹
第7順位 これらの者以外の三親等内の親族

 

同じ順位の人が複数いる場合はどうなる?

例えば、年金受給権者に配偶者がおらず、生計が同じ子供が2人いたような場合に問題となります。

この場合、二人とも未支給年金を受け取る権利があります。

代表者が請求を行い、給付を受けた後に当事者で分け合うとよいでしょう。

 

生計同一者がいないとき未支給年金はどうなる?

亡くなった方と生計が同じでない場合、たとえ相続人であっても、未支給年金を受け取ることはできません

 

ワンポイント:生計同一とは?

生計同一とは、必ずしも同居を意味しません。

同居していない場合でも、年金受給権者から継続的に仕送りをしていた、などの事情があれば、生計同一と認められることもあります

 

相続放棄したら未支給年金をもらえない?

上で解説したように、未支給年金は相続の対象ではありません。

したがって、相続放棄した場合であっても支給されます。

 

未支給年金の請求手続き

未支給年金請求書に、以下の書類を添付して、請求者の住所の管轄する年金事務所に提出すれば未払い年金の受給をすることができます。

未支給年金請求書へ添付する書類

なお、請求できる期間は受給権者が死亡した日から5年以内となっています。

なお、死亡した場合に死亡届を提出しないと年金が支払われ続けることになりますが、死亡後の年金を受給することはできませんから、後に返還をしなければならなくことに注意しましょう。

死亡届は、死亡日より14日以内の提出が義務付けられていますので、後々紛争とならないように、迅速に提出する必要があります。

どの財産が遺産に含まれるか迷った場合には、一度、当事務所にご相談ください。

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未支給年金に相続税はかかる?

上で解説したように、未支給年金は相続の対象ではありません。

したがって、相続税も課税されません

もっとも、企業年金や個人年金などについては公的年金と異なり、相続の対象となるため、相続税が課税されることとなります。

 

 

未支給年金についてのQ&A

未支給年金で確定申告は必要?


未支給年金が50万円を超える場合は確定申告が必要となります

言い換えると、未支給年金が50万円以下であれば、確定申告は不要です。
ただし、他に一時所得がある場合、その所得と合算し、50万円を超えると確定申告が必要になります。

 

年金受給者が死亡したら遺族年金をもらえるの?


国民年金または厚生年金の受給権者が亡くなった場合、その受給権者によって生計を維持されていた方(配偶者や子供)がいれば、遺族年金が支給されます。

 

 

 

まとめ

以上、未支給年金が相続の対象となるかについて解説しましたが、いかがだったでしょうか。

未支給年金は相続の対象とはなりません。

未支給年金は「生計を同じくしていた」一定のご遺族が請求できます。

相続が発生すると、具体的にどのようなものが相続の対象となるのか不明なことが多く、困惑されていらっしゃるかと思います。

相続でご不明なことがあれば、専門家の適切なサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。

当事務所には相続に詳しい弁護士・税理士で構成される相続の専門チームがあり、相続問題を強力にサポートしています。

相続人以外への贈与の問題については、当事務所までお気軽にご相談ください。

 

 

 


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