父が亡くなったのですが、遺言で私が遺言執行者に指定されていました。
しかし、銀行預金の解約や不動産の登記などがあり、どうやったらいいかわかりません。
また、相続人の一人が遺言は無効だと主張しています。どうしたらいいのでしょうか。
遺言執行者は、遺言の有効無効を判断する権限を有していると考えられています。
そのため、遺言が有効かどうかを調査して判断し、有効であると判断した場合には遺言の内容を実現するために業務を行う必要があります。
銀行の預金の解約については、検認済みの遺言書ないし公正証書遺言、亡くなった方の戸籍謄本、遺言執行者の印鑑証明書があれば、銀行で解約手続できます。
また、不動産の登記については、相続人に対する「相続させる」旨の遺言により不動産を相続した場合には、遺言執行の必要が無いので、遺言執行者が登記手続きをする必要はありません。
しかし、不動産の遺贈の場合には、遺言執行者と受遺者が共同で登記手続きをしなければならないので、遺言執行者が手続をすることになります。
遺言執行者に選ばれた場合の対応
遺言の有効性の判断
遺言執行者は、遺言により指定されるものですから、遺言が無効であれば、遺言執行者には何らの権限もないことになります。
そのため、遺言が有効かどうかは、遺言者自身が判断をする権限があるといえますし、逆に義務でもあるといえます。
これらの判断のためには、相続人が主張する無効事由とは何か、その事由が存在するのか、それを裏付ける証拠があるのかなどを相続人らに聞き取りしたり、資料を提出してもらう必要があります。
資料を収集し、遺言が有効であると判断すれば、遺言内容を実現するために活動しなければなりません。
しかし、無効だと判断した場合には、遺言執行はすべきではありません。
銀行預金口座の解約
銀行預金の解約や払い戻しについては、以下の資料を提出することで手続きできます。
① 検認済みの遺言書ないし公正証書遺言
② 亡くなった方の戸籍謄本
③ 遺言執行者の印鑑証明書
不動産の登記手続
不動産の手続について、相続人に対する「相続させる」旨の遺言では、その相続人が単独で登記手続きをすることができるので、遺言執行者が手続を行う必要はありません。
一方、遺贈の場合には、受遺者だけでは登記手続きを行えないため、遺言執行者が手続に協力する必要があります。
なお、「相続させる」と書いてあっても、その相手が相続人ではなく第三者の場合には、「遺贈」であると解されているので、遺言執行者が手続を行う必要があります。
遺言執行者になった場合、その手続をしっかりと行わないと後に相続人から責任を問われることになりかねません。
また、遺言の無効有効は弁護士でも判断が難しく、法的素養のない方が判断することはこんなんです。
遺言執行者への就任を辞退することや、遺言執行自体を弁護士に復代理することも考慮に入れることが必要です。また、登記であれば、司法書士にも相談する必要があります。
当事務所では、家事事件チームが遺言執行をサポートするとともに、連携している司法書士とともに登記についてもスムーズに行うことができますので、一度ご相談下さい。