遺言の方式に不備があるとき
遺言には決まった方式があります
遺言が有効になるためには、まず、遺言の方式に従ったものでなければなりません。
もし遺言の方式に従ったものでない場合には、それだけで、遺言自体が無効となりえます。
遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言・死亡危急者遺言等の様々な種類がありますが、その1つ1つに決められた方式があります。
例えば、自筆証書遺言の場合には、以下の方式が決められています。
- 遺言書の全文、日付、氏名を全て自分で書くこと
- 押印をすること
また財産目録については、自筆要件は緩和され、作成された目録の毎ページごとに署名押印することで良いことになりました。
共同遺言の禁止
民法は、1つの遺言書で2人以上の人が遺言をすることを禁止しています。
これを共同遺言の禁止といいます。
共同遺言をしてしまうと、遺言全体が無効となってしまうので、遺言は1人1人それぞれ遺言書を作成する必要があります。
遺言の内容に不備があるとき
遺言に書くことができる内容は?
民法やその他法律で、遺言をすることができる事項を限定しています。
認知や相続分の指定、持戻し免除、遺産分割方法の指定、遺贈、遺言執行者の指定などがその代表例です。
他方で、例えば特定の相続人に遺留分を行使しないよう記載するといった、遺言をすることができる事項以外のことを記載することがよくあります。
あくまでそれは遺言者の希望を記載したに過ぎないもので、それ自体に法的な効果を持つことはありません。
内容の解釈が多岐にわたる場合や読み取れないときは?
遺言は解釈可能な内容が書かれていなければなりません。
専門家の助言を受けずに1人で書いた遺言は、他の人が読むと内容を読み取ることが出来ない場合もあります。
内容の読み取りが不可能であれば、その部分は無効とせざるを得ません。
遺言が新たに作成されたとき
その遺言が撤回されていないかどうか、注意が必要です。
一度かかれた遺言でも、後に撤回することは可能であり、撤回され新たに遺言が作成しなおされた場合は、一番新しい遺言が有効となります。
遺言の撤回について、詳しくはこちらをご覧下さい。
遺言能力に問題があるとき
遺言書また、遺言を残した人が、遺言を書いた当時、遺言能力を備えていたかどうかが問題になることがあります。
認知症の疑いがある家族が書いた遺言の効力が争われる場面が、典型的な場面です。
遺言能力について、詳しくはこちらをご覧下さい。
遺言を作成したことが、錯誤・詐欺・強迫によるとき
さらに、遺言にも民法の一般原則が妥当しますので、錯誤やだまされたり、強迫されたりして書いた遺言は取消すことができることになります。
公序良俗違反の遺言も無効となります。
このように、遺言の効力が疑われる要素には、様々なものがありますが、その判断には専門的な知識が必要です。
見つかった遺言が有効なものなのか、また以前自分で書いた遺言が有効なものなのかどうか、お悩みの方は、ぜひ一度、専門の弁護士にご相談ください。