遺産分割とは
遺産分割とは、被相続人(亡くなった方)が死亡時に有していた遺産について、個々の遺産の権利者を確定させるための手続をいいます。
例えば、本人Aさんが亡くなったとき、配偶者Bさん、長男Cさん、二男Dさんの家族がいたとします。
被相続人Aさんが、預貯金、不動産、株式などを有しており、遺産総額5000万円だったとします。
民法は、相続人が複数名いる場合、相続財産(遺産のこと)は、相続分に従って「その共有に属する」と規定しています(民法898条)。
したがって、上記の例では、Aさんの遺産は、Bさん、Cさん、Dさんに共同帰属している状態です。
※遺産分割前の遺産の共有について、裁判例は「遺産全体について各相続人の法定相続分に応じた抽象的な権利・義務を有しているにとどまる」と判示しています(東京地判平成7.3.17)。
ここで、それぞれの法定相続分は、配偶者のBさんは2分の1、子どものCさんとDさんは、それぞれ4分の1となります(民法900条1号、同条4号)。
しかし、Aさんの遺産について、具体的に、誰が、何を、承継するかは決まっていません。
そこで、遺産について、各相続人の単独所有にするなど、終局的な帰属を確定する必要があります。
そのための手続が遺産分割です。
遺産分割の対象となるのは?
遺産分割の対象となる遺産は、「相続開始時に存在」し、かつ、「分割時にも存在」する「未分割」の遺産となります。
相続開始時に存在
相続開始時とは、被相続人が死亡した時です。
ここで問題となるのは、相続人の1人(例えば、上記ではBさん)がAさんが亡くなる前に、長男のBさんが預貯金を引き出してしまった場合です。
この場合、Bさんが引き出した預貯金を遺産に戻すという合意をしない限り、遺産分割の対象とはなりません(合意をしないと、不当利得返還請求など別の手段を取ります。)。
分割時にも存在
例えば、遺産が滅失した場合は遺産分割できません。
また、問題となるのは、相続人の1人(例えば、上記ではBさん)が遺産を勝手に売却するなどして処分したようなケースです。この場合も、遺産分割はできません。
この場合、損害賠償請求権や売却代金が発生しますが、これらは遺産の代償財産であり、遺産そのものではないため、原則として遺産分割の対象とはなりません(もっとも、現存しない遺産でも、当事者の合意によって遺産分割の対象とすることは可能です。)。
遺産分割の手順
遺産分割は、通常、以下のような手順で行います。
①相続人の範囲を確定する
②相続分を確定する
③遺産の範囲を確定する
④遺産を評価する
⑤特別受益者と特別受益の額を確定する
⑥寄与相続人と寄与分を確定する
⑦特別受益及び寄与分を踏まえて具体的な相続分率を算出する
⑧具体的相続分率を遺産分割時における遺産分割取得分額に引き直す
⑨遺産分割方法を決定する
上記のように、遺産分割はやるべきことがたくさんあります。
また、高度に複雑な問題ですので、遺産分割についての専門知識や経験がないと適切な分割とならない可能性があります。
そのため、次に、当事務所の相続対策チームによる遺産分割のサポートをご紹介します。
遺産分割サポート
当事務所は、相続について、圧倒的な解決実績を誇っており、遺産分割について様々なサポートを行っています。
遺産分割において、大別すると、「弁護士に任せたい方」と「自分で進めたい方」に別れます。
相続人間において、利害が対立しておらず、当事者だけで進めていくことが可能な場合は、弁護士は、法律相談において助言を行い、遺産分割の協議がまとまれば「遺産分割協議書」を作成してお渡しするというバックアップ的なプランをご提案しております。
しかし、ご相談にお越しになられる方の多くは、「弁護士に任せたい方」です。
これは、以下のような理由によるものです。
・利害が対立しているため、当事者同士では冷静に話し合いができない
・相続の専門知識がないため、専門家に進めてもらいたい
・手続が面倒なため、すべて任せたい
・相手方と接触したくない
「弁護士に任せたい方」に対して、当事務所では、「協議段階」「調停段階」「訴訟段階」の3段階に応じたサポートを行っております。
協議段階
通常、弁護士と聞くと、裁判所を利用するイメージをもたれる方が多いと思います。
確かに、弁護士は唯一訴訟代理権を有する専門家であり、他の専門家は裁判所を利用することは基本的にはできません。
しかし、当事務所の相続対策チームは、調停等裁判所を利用するのは、やむを得ない場合に限定しており、まずは協議を優先しています。
これは、調停手続が依頼者に負担が大きいからです。
調停手続は、解決まで、通常長期間を要します。
また、裁判所に行って手続に参加すると、労力も大きくなります。その分、弁護士費用も割高になります。
また、弁護士は、法律事務についての代理権を有しています。
すなわち、弁護士が依頼者の代理人となって、他の相続人らと交渉する権限をもっています。
そこで、当事務所の相続対策チームは、依頼を受けると、代理人(窓口)として、他の相続人らと直接協議する、「代理交渉」というスキームを提案しています。
この方法を取ることで、調停手続に比べると、早期に、かつ、円滑に解決できる可能性があります。
調停段階
当事務所では、弁護士の交渉でも解決が難しい場合、家庭裁判所に調停を申立てます。
調停手続では、誰が(相続人の範囲)、何を(遺産の範囲)、どのような割合で(相続分)、どのように分けるか(分割方法)について、主張し、かつ、証拠を提出して、依頼者の主張の妥当性を証明します。
調停は、裁判とは異なり、話し合いの場です。
そのため、どちらが正しい、正しくないということを確定する必要はありません。
しかし、根拠がない主張は、まったく説得力がなく、それだと調停委員会はもちろん、相手方は納得できず、調停が長期化してしまいます。
そのため、調停手続きにおいて、相続専門の弁護士のサポートを受けるのは重要です。
なお、調停が不成立となって終了すると、遺産分割の審判手続へ移行します。
審判では、審判官の判断が示されることとなります。
訴訟段階
上記のとおり、遺産分割は、最終的に審判で決着がつきます。
しかし、遺産分割手続を進行するために、下記の事項は前提問題として、争いになることがあります。
・相続人の範囲
・遺言書の効力
・遺産分割協議書の効力
・遺産の帰属
上記について、解決しなければ、遺産分割を進めることができません。
そのため、訴訟等の手続が別途必要となることがあります。
前述したとおり、当事務所の相続対策チームは、可能な限り、紛争を複雑化させずに交渉での解決を目指しますが、必要な場合は、訴訟も辞さず、徹底的に訴訟等でも戦います。
遺産分割についてご不明な点、お悩みになられていることなどございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。
ご相談はこちらからどうぞ。
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