父が亡くなり、父が残した不動産は私が管理しています。
不動産は、雨漏りがしていたので修繕をしました。
また、固定資産税やその他の管理費用についても私が負担しています。
これらの費用は、他の相続人に請求できるのでしょうか?
相続問題に詳しい弁護士が解説いたします。
不動産について、その費用が遺産管理費用として認められれば、他の相続人に対してその費用を請求することができます。
もっとも、管理費用に当たるとしても、通常必要とされる費用については、住んでいる者が負担すべき通常の必要費であると考えられています。
雨漏りの修繕費や固定資産税などは、通常の必要費であると考えられるので、不動産に居住している場合は、その費用を他の相続人に請求はできないことになります。
なお、雨漏りの修繕が単なる修繕にとどまらず、増改築にあたるような場合には、その増改築部分については、管理費用として他の相続人に請求することはできません。
遺産の管理費用の負担者
遺産の管理費用の負担については、相続人が法定相続分に応じて負担すべきという説と相続財産から支出すべきという説があります。
しかし、結果として、相続財産から支出した場合には、相続人がもらえる分が減るので、法定相続分に応じて負担することとほとんど違いはありません。
管理費用の清算方法
管理費用の清算方法としては、遺産分割に含めて清算をする方法と、遺産分割とは別に清算をする方法があります。
遺産分割において管理費用の清算をしたほうが紛争も一回で解決できることになりますし、望ましいといえます。
また、不動産から賃料などの収益が発生する場合には、その収益と管理費用を相殺して清算する方法もあり、それが最も簡便と言えます。
不動産の賃料と管理費用の相殺清算についてはこちら「遺産の不動産から生じた賃料はどうなる?」をごらんください。
不動産に居住していた場合
管理費を支出した者が、被相続人(亡くなった方)の生前から不動産に居住している場合には、その不動産の使用貸借が認められます。
そして、その場合には、使用貸借している者は、「通常の必要費」を負担しなければならないと民法が規定していますので、他の相続人に対して管理費用を請求することはできないことになります。
不動産の修繕が増改築と言える場合
不動産の修繕が、管理を超えた増改築であると判断される場合があります。
例えば、雨漏りを修繕する際に、修繕のみならず屋根に雨漏りを防ぐような特別な塗装をした場合など、その不動産の価値が増加したような場合が典型例です。
この場合には、増改築した費用は管理費用とは言えないので、他の相続人に費用を請求することはできません。
もっとも、場合によっては、有益費というものに該当し、他の相続人に費用を請求することができることもあります。
相続財産として不動産がある場合は多く、その場合にその管理や収益などについて問題が生じることは少なくありません。
そして、そのような場合には相続人同士で争いとなってしまい、遺産分割が進まないといった場合も多いですが、弁護士を間に入れることで話がスムースに進むことが多いです。
当事務所では、複雑な問題や感情的な対立となった相続問題についても、相続に特化した弁護士が適切に対応しますので、一度ご相談ください。
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