- 相続が発生し、どうすればいいかわかりません
- 何が相続の対象となるのでしょうか?
- 遺産の調査方法を教えてください
当事務所の相続対策チームには、このような遺産の調査に関するご相談が寄せられています。
相続問題に注力する弁護士が遺産の調査について、わかりやすく解説いたします。
遺産の調査とは
遺産の調査とは、お亡くなりになられたご親族の相続財産について、その有無や内容を確認し、評価することをいいます。
あなたが故人の財産を生前から管理していたような場合は、遺産調査は比較的容易です。
しかし、故人と別居していたような場合、その財産についてほとんど分からない場合が多いでしょう。
このような場合、遺産調査が重要となります。
遺産の調査の必要性
ご親族が亡くなると、深い悲しみの中、法要やその他役場の手続に追われ、「遺産の承継どころではない」という方が多くいらっしゃいます。
しかし、適切に遺産を承継することは、あなたの大切な権利であるとともに、亡くなった方の想いを受け継ぐためにも重要です。
そして、適切な遺産を承継するためには、まず、その対象となる遺産を的確に調査することが重要となります。
例えば、同居している相続人の1人から、「故人の遺産は 100万円だった」と聞かされたとします。
しかし、実際には、「遺産が 1000万円だった」、という場合、結果として適切な額の10分の①しか相続していないということになります。
これでは、非常に損をしていることになります。
また、故人の方もそのような結果は望んでいなかったのではないでしょうか。
このようなケースは、決して珍しくありません。
そのため、遺産を調査することは重要なのです。
遺産調査の5つのポイント
遺産を把握するためには、次の5つが重要なポイントとなります。
故人の預貯金通帳を確認してください
現在、預貯金はほとんどの方がもっています。
口座が一つもなく、生活している方はほとんどいないでしょう。
そこで、故人の通帳を確認することが重要となります。
同居している方が通帳を管理している場合、その方に言って、通帳のコピーをもらうなどするとよいでしょう。
通帳がない場合、又は、通帳に最近の記帳がなければ、金融機関に対し、取引履歴の開示を求めるなどの方法もあります。
また、通帳や取引履歴の明細に、出入金、定期預金の利子、配当金、証券会社や保険会社からの収受金の記載があれば、その内容から元本等となる財産が判明する場合があります。
故人が確定申告を行っていた場合、その申告書の控えを確認してください
申告の内容から収入のもととなる財産が把握できる場合があります。
例えば、配当所得があった場合、株式等の有価証券をお持ちになっていたことがわかります。
また、保険等の控除から、生命保険等が遺産であることがわかる場合もあります。
金庫の中の書類を確認してください
故人が金庫をもっていたり、銀行等の貸し金庫を利用していた場合、その中の書類等から遺産が判明する場合があります。
名刺を確認してください
故人の名刺ファイルにより、不動産関係、銀行、証券会社、保険会社との取引を把握することができます。
そして、これらに関連する遺産の有無が判明する場合があります。
手帳等を確認してください
故人が記録していた手帳や日記帳があれば、その記載内容から遺産が判明する場合があります。
遺産の種類別の調査方法
遺産には、預貯金、不動産、株式などがあります。
以下、これらの種類別に調査方法をご紹介します。
預貯金については、通帳があればその記載から残高を確認します。
キャッシュカードしかなければ、その金融機関に対し、取引履歴の明細や残高証明書の発行を依頼します。
また、借入金があればその残高証明書も入手します。
すべての不動産について、その不動産を管轄する法務局に申請して登記事項証明書(登記簿謄本)を取得します。
この登記事項証明書についてはご依頼を受ければ当事務所で調査が可能です。
そのほか、固定資産税の納税通知書、登記識別情報通知(登記済証)、売買契約書があれば、参考となります。
ただし、評価については、時価査定を行うべきです。
すなわち、遺産分割における不動産の評価は、時価で行うべきですが、固定資産の評価額は課税の局面の基準額であって、時価ではないので、遺産の評価としてはふさわしくありません。
時価については、素人判断ではなく、専門家に相談されることをお勧めいたします。
生命保険については、保険証券から加入保険の種類や内容の調査が可能です。
保険証券がない場合、生命保険料控除証明書、保険料支払領収書、所得税の確定申告書の保険料控除欄から調査が加入です。
上場株式やその他の有価証券については、通帳の記載(配当金)、配当金支払報告書、証券会社からの売買報告書等をもとに、銘柄と株数を確認します。
また、信託銀行や証券代行会社に対して残高証明書の発行を依頼します。
非上場株式については、故人の生前の会社や関係会社に問い合わせることで判明する場合があります。
ただ、非上場株式については、評価が難しいので、専門家に相談するなどされた方がよいでしょう。
自動車については、車検証や自動車保険の証券、自動車税の納付書を確認します。
これらがなければ、車名とおよその年式がわかれば、インターネットでもある程度の時価を調べることができます。
負債については、借用証書、金銭消費貸借契約書等の資料を確認します。
住宅ローンについては、借入金返済表当を確認してください。
契約時のものがなくても、金融機関から定期的に通知される文書でも内容を確認できる場合があります。
遺産の調査のまとめ
以上、遺産の調査について詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
面倒でも、遺産の調査は重要です。
また、遺産と一口に言っても様々なものがあるので、一つ一つをもれなく調査し、かつ、適切に評価しなければなりません。
そして、遺産の的確な調査や評価は、専門的な知識と豊富な経験が必要です。
そのため、素人判断ではなく、相続問題に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
当事務所の相続対策チームは、相続問題に注力する弁護士、税理士等で構成されるチームであり、遺産について調査するだけでなく、評価についてもサポートしています。
当事務所のご相談の流れについてはこちらのページをご覧ください。