- 遺言書の筆跡が本人のものではないかもしれない
- 遺言書を書いたとき本人は認知症だった
- 本人の意思に反して遺言書が書かれた疑いがある
遺言書とは
人が自分の死後、その効力を発生させる目的で、あらかじめ書き残しておく意思表示のことを遺言といい、遺言書はその遺言が記された書面のことをいいます。
「遺言」と聞くと、老後になってからというイメージが強いと思います。
しかし、遺言書は満15歳に達した人であれば、原則として誰でも作成することが可能です。
なお、認知症などの場合、遺言能力が問題となることがあります。
遺言書の読み方
遺言書は、一般的には「ゆいごんしょ」と読まれることが多いです。
弁護士などの専門家は「いごんしょ」と読むことが多いのですが、どちらでもかまいません。
遺言が無効となる場合
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。
このうち、実際に問題となるのは圧倒的に自筆証書遺言のケースです。
そこで、自筆証書遺言について、どのような場合に無効となるかをご紹介します。
下記は、遺言の有効性に関する民法の重要な条文です。
(遺言能力)
第961条 15歳に達した者は、遺言をすることができる。
第963条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
(自筆証書遺言)
第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
(共同遺言の禁止)
第975条 遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができない。
これに違反する具体的な例として、次のものがあげられます。
- 遺言能力がない者の遺言
- 遺言者以外の者が書いている
- パソコンで作成している
- 日付が書いてない
- 遺言者のサインがない
- 遺言書に押印がない
- 遺言書の内容が意味不明である
- 二人以上が共同で書いている
また、上記の条文とおり、遺言内容を訂正する場合にも、その方法は明確に定められており、この方式が守られていない場合、変更後の遺言が一部無効となる可能性があります。
遺言の有効性の判断ポイント
上記の遺言が無効となる場合に列記した具体例のうち、判断が難しく、実際によく問題となるのは①遺言能力がない者の遺言、②遺言者以外の者が書いている、2つのケースです。
①遺言能力がない者の遺言
遺言能力とは、簡単にいえば、遺言の内容を理解し、判断する能力をいいます。
前記のとおり、民法は、「15歳に達した者は、遺言をすることができる」と規定しているので、15歳未満の者の遺言は当然無効となります。
ここでよく問題となるのは、高齢の方などで、認知症がある場合です。
もっとも、高齢だからと言って、遺言能力がないとは簡単にいえませんし、認知症と一口に言ってもその程度は様々です。
そこで、以下をもとに遺言能力の有無を判定することがポイントとなります。
- 遺言者の年齢が高齢か
- 認知症と診断されているか(診断書・カルテの記載内容)
- 認知症の症状が重症といえるか(診断書・カルテの記載内容)
- 要介護認定の状況
- 遺言の内容が簡単か、複雑か
- 遺言の内容が動機として自然か、不自然か
②遺言者以外の者が書いている
例えば、親族の1人が本人になりすまして遺言書を作成することが考えられます。
遺言者以外の者が書いた遺言か否かを判断するポイントとしては以下のものがあげられます。
- 本人の自書能力の有無、程度
- 本人の筆跡との相違の程度
- 遺言の内容:特定の者に有利な内容となっているか
以上が遺言の有効性の判断ポイントです。
実際にこれらを適切に判断するのは非常に難しいと思います。相続問題に詳しい弁護士へのご相談されることをお勧めします。
遺言書についてよくあるQ&A
当事務所の相続対策チームに相談するメリット
当事務所には、相続問題に特化した、相続対策チームがあります。
相続対策チームに相談されるメリットとして、次のことがあげられます。
弁護士と一口に言っても、専門分野は様々です。
日本では、一つの分野に注力する専門性ある弁護士はまだ少ないのが現状です。
当事務所は、相続の相談は、専門の相続対策チームに所属する相続弁護士が対応いたします。
相続対策チームは、遺言の有効性について多くの相談を受けており、高度な専門知識に加えて、豊富な経験に基づくノウハウを有しています。
上記のとおり、遺言の有効・無効をめぐっては検討すべき問題点が多くあります。
具体的な事案において、どう対応していくべきか、的確に助言ができます。
弁護士と聞くと、裁判のイメージを持たれる方が多数です。
しかし、裁判は、判決がでるまでに長期間と多大な労力を必要とします。
しかも、遺言の有効性をめぐる事案は、通常、裁判の前に、調停を先に申立てます(調停前置主義)。
紛争が長期化すると、弁護士の費用も割高となることが多くあります。
当事務所の相続弁護士は、紛争を早期に解決するために、まずは、代理交渉を行います。
これは、弁護士が依頼者の代理人となって、相手方と交渉する方法です。
当事者同士では解決できなくても、弁護士が間に入ることによって、遺言が無効であることを認めてくれる可能性もあります。
これにより、紛争を早く解決できる可能性があります。
相手が遺言の無効を認めない場合、遺言無効の確認を求めて、調停を申立て、それでもまとまらなければ、裁判となります。
弁護士は、調停や裁判まですべての手続の代理が可能です。
遺言が無効であることを確定するだけではなく、遺産分割等の手続も合わせて解決しなければ根本的な解決とはなりません。
当事務所の相続弁護士は、遺産分割等の手続も合わせてサポートしています。
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