医療過誤の弁護士費用の相場は、数十万円〜数千万円程度になります。
弁護士費用が、数千万円になるケースは、賠償金の金額が1億円を超えるような案件の場合です。
医療過誤の弁護士費用は、法的な知識に加えて医学的な知識も必要となり、その他の案件と比べて難しい案件が多いため、弁護士費用が高額になる傾向があります。
また、弁護士費用だけでなく、実費として医師への謝礼金や意見書代、裁判所へ納める印紙代なども高額になる傾向があります。
以下では、弁護士費用、実費の概要について解説し、具体的な弁護士費用のシミュレーションも紹介していますので、参考にされてください。
医療過誤とは何か
医療過誤とは、医師や看護師などの医療従事者が治療行為等を行うにあたって、必要とされる処置をしなかったり、あるいは誤った処置をしたことによって、患者の生命・身体・健康を害してしまうことです。
医療過誤の被害にあった場合には、その被害に応じて損害賠償請求をすることができます。
もっとも、医療過誤を病院側が認めていない場合には、患者側で医療過誤の存在を証明しなければなりません。
また、発生した損害の内容やその損害が医療過誤が原因で発生したことも証明していかなければなりません。
したがって、医療過誤の損害賠償請求は、医学的な知見と法的な知見が必要となり、非常に専門性の高い問題といえます。
医療過誤にかかる費用
弁護士に支払う費用の相場
弁護士費用の内容
医療過誤の弁護士費用としては、法律相談料、調査費用、着手金、報酬金、日当等があります。
-
- 法律相談料
医療過誤問題を弁護士に相談するにあたっての費用 - 調査費用
病院側に落ち度(過失)が認められ、損害賠償請求をすることができるかどうかを調査するにあたって必要となる費用 - 着手金
各手続き(示談交渉、調停、ADR、裁判)を開始するにあたって最初に支払う必要がある費用 - 報酬金
事件が終了した後、回収した賠償額の中から予め決められた割合の金額を支払うもの - 日当
弁護士が遠方に出張する場合に必要となる費用
- 法律相談料
上記の弁護士費用の金額は、各法律事務所によって異なりますが、大まかな目安としては下表のとおりです。
※下表はあくまで目安なので、下記の金額と整合しない法律事務所もあります。
項目 | 金額 |
---|---|
法律相談料 | 30分5500円〜 (初回無料の事務所もある) |
調査費用 | 11万円〜44万円程度 |
着手金 | 示談交渉:22万円〜 調停・ADR:44万円〜 訴訟提起:55万円〜 |
報酬金 | 賠償額の11%〜33% |
日当 | 出張日当 1万5000円〜 (距離による) |
実費(経費)について
実費とは、弁護士が事件処理をするにあたって必要となる費用です。
医療過誤における実費としては、以下の項目が考えられます。
※以下の金額は目安であり、弁護士活動の内容によって変動します。
項目 | 金額の目安 |
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カルテ等の開示費用 | 数千円〜10万円程度(開示する量による) |
訴訟提起の印紙代 | 数万円から100万円程度(請求する金額による) |
面談した医師への謝礼代金 | 3〜5万円程度 |
証拠保全のカメラマン費用 | 数万円〜数十万円(撮影が必要となる量による) |
カルテの翻訳費用 | 数万円〜数十万円(翻訳する量による) |
医師の意見書作成 | 数十万円〜 |
印刷代 | 1枚10円程度 |
郵便代 | 数千円〜(郵送回数による) |
弁護士の交通費 | 移動距離による |
実際はいくら?シミュレーションで解説
以下の費用体系を前提に、ケースに分けて弁護士費用のシミュレーションを紹介します。
項目 | 金額 |
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法律相談料 | 初回無料 2回目以降、30分5500円 |
調査費用 | 22万円〜 証拠保全が必要な場合は、追加で11万円 |
示談交渉 | 着手金:22万円〜 |
報酬金:経済的利益の22%〜33% | |
調停及びADR | 着手金:44万円〜 |
報酬金:経済的利益の22%〜33% | |
訴訟 | 着手金:55万円〜 |
報酬金:経済的利益の22%〜33% | |
日当 | 移動距離により3〜5万円 |
実費 | 実際に要した費用 |
法律相談と医療調査で終了した場合
医療過誤問題に関して、法律相談をしたところ、病院の責任が認められるかどうか判断するのに調査が必要であったため、調査を依頼したものの、結果として病院への請求は難しいと判断される場合の弁護士費用は以下のとおりです。
項目 | 金額 |
---|---|
法律相談料 | 0円(初回のため) |
調査費用 | 22万円 |
実費 | 3万円(取得する医療記録の量により変動する) |
合計額 | 25万円 |
この場合、調査で完了しているため、報酬金などは発生しません。
実費に関しては、病院のカルテ開示の費用によって異なるため、事案によって異なりますが、上記例では、仮に3万円としています。
示談交渉で解決した場合
医療過誤について、法律相談をして示談交渉の依頼をした結果、2000万円を獲得した場合の弁護士費用は以下のとおりです。
着手金22万円、報酬金は経済的利益の22%の契約であったことを前提にしています。
項目 | 金額 |
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法律相談料 | 0円(初回のため) |
示談交渉 着手金 | 22万円 |
報酬金 | 440万円 |
実費 | 2万円(実際に要した費用なので事案により変動します) |
合計額 | 464万円 |
示談交渉後、訴訟提起をした場合
医療過誤の法律相談をして、示談交渉を依頼したものの決裂し、訴訟提起をして900万円を獲得した場合の弁護士費用は以下のとおりです。
着手金は示談交渉22万円、訴訟55万円、報酬金は経済的利益の27.5%の契約であったことを前提にしています。
項目 | 金額 |
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法律相談料 | 0円(初回のため) |
示談交渉 着手金 | 22万円 |
訴訟提起 着手金 | 55万円 |
報酬金 | 247万5000円 |
実費 | 35万円(訴訟提起の印紙が必要なので高額になる傾向) |
合計額 | 359万5000円 |
医療過誤の費用に関する注意点
医療過誤に必要となる実費の費用は、その他の案件に比べて高額になる傾向があります。
例えば、医師面談に必要となる費用として数万円必要になったり、意見書を作成してもらうとなれば、数十万円が必要になります。
また、請求する賠償額も高額になる傾向があり、裁判をする場合の印紙代が高額になる傾向があります。
例えば、500万円を請求する場合の印紙は3万円、5000万円を請求する場合は17万円といったように、請求する金額が大きくなるにつれて印紙代も高額になります。
したがって、弁護士費用だけでなく、実費がどの程度かかりそうか事前に弁護士に確認しておくことも大切です。
まとめ
これまで説明したとおり、医療過誤の弁護士費用や実費は高額になる傾向があります。
したがって、実際に請求して賠償金を獲得できるかどうかの見通しをつけることが大切です。
ご自身やご家族が医療過誤に遭ったかもしれないと感じられたら、まずは弁護士にご相談されることをおすすめします。
当事務所では、医療過誤の相談については、医療過誤問題に注力する人身障害部の弁護士が対応していますので、ご安心してご相談ください。
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