出産で妊婦が死亡する原因としては、産科危機的出血(出産による大量出血)、頭蓋内出血・梗塞(脳卒中など)、羊水塞栓症などがあります。
妊産婦の自殺も少なくはなく、死亡原因として見過ごせません。
ほかに、妊婦の死亡原因としては、心疾患、肺血栓塞栓症などの肺疾患、感染症などがあります。
2022年の日本における出産死亡率は、10万件に対して4.1人と低い数字になっており、多くの方は無事に出産を終えておられます。
しかし、出産はもともと命懸けのものであり、今でも、出産に関連して死亡する方がいなくなったわけではありません。
今回は、出産に関わって妊婦が死亡する理由、対処法などについて解説し、実際に不幸な結果が生じてしまった場合の対処法についても紹介していきます。
妊婦が出産で死亡する原因
2010年から2022年の13年間の妊産婦の死亡原因は、以下のグラフのとおりとなっています。
参考:母体安全への提言 2022|公益社団法人日本産婦人科医会
上記グラフから、産科危機的出血(出産による大量出血)、頭蓋内出血・梗塞、心肺虚脱型羊水塞栓症が、それぞれ10%以上の割合を占めており、死亡原因として多くなっていることが分かります。
このうち主な死亡原因について見ていきましょう。
出産による大量出血
上のグラフでは、妊産婦の死亡原因で最も多いものは、出産による大量出血(産科危機的出血)となっています。
出血自体は出産時によく起こることなのですが、場合によっては、母子の命に関わる事態になります。
産科での出血には、次の2つの特徴があります。
①急速に全身状態の悪化を招きやすい
産科での出血では、一般の手術などと比較して急速に全身状態の悪化を招きやすいという特徴があります。
また、分娩では、外出血量が少量でも生命の危機となる腹腔内出血・後腹膜腔出血を来たす疾患(頸管裂傷、子宮破裂など)もありますので、医師としては注意する必要があります。
②播種性血管内凝固(DIC)が起こりやすい
DICとなると、血管内で凝固が活性化され、全身の微小血管に血栓が多発します。
このようにして血栓を形成してしまうと、そのために血小板や凝固因子が消費され、消費性凝固障害が起こり、出血が助長されてしまいます。
妊婦の場合、羊水塞栓症、常位胎盤早期剝離、妊娠高血圧症候群、子癇、癒着胎盤などの基礎疾患があると、中等度の出血でもDICを容易に併発してしまいます。
また、大量の出血で輸液、赤血球輸血を行うと、凝固因子が補充されず薄まってしまうため、希釈性の凝固因子低下を招き、DICに伴う出血傾向を助長してしまいます。
参加危機的出血が起こった場合は、直ちに輸血を開始する、高次施設へ搬送する、といった対応を取ることになります。
輸血の際には、輸血する成分、濃度、温度などにも注意します。
輸血以外にも、止血のために、子宮圧迫縫合、子宮摘出術などを行うことがあります。
また、分娩前でも、特に前置・低置胎盤、癒着胎盤、巨大筋腫合併、多胎の可能性がある症例などでは、高次施設での分娩、自己血貯血を考慮します。
産科の大量出血については、「産科危機的出血への対応指針2022」で対応方針が紹介されています。
頭蓋内出血・梗塞(脳卒中など)
次に多い死亡原因は、頭蓋内出血・梗塞(脳卒中など)です。
妊娠中は、妊娠していない時に比べて脳卒中(脳の血管が詰まったり破れたりすること)の発症が増えるという報告があります。
妊娠中に脳卒中が起こりやすくなる原因は、いくつかあります。
たとえば、妊娠時には「妊娠高血圧症候群」となることがあり、それが脳卒中のリスクを高めていると考えられています。
また、出産時の「いきみ」も、脳血管に過重な負担をかけ、脳血管の破綻を招く原因となると考えられています。
ほかにも、妊娠中は血が固まりやすくなるので、血栓ができやすくなり、脳卒中になりやすくなっている可能性があることも指摘されています。
妊娠中に突然次のような脳卒中の症状が現れた場合には、急いで病院を受診しましょう。
- 片方の手足、顔半分の麻痺・しびれ(手足のみ、顔のみの場合もある)
- ろれつが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
- 力はあるのに立てない、歩けない、フラフラする
- 片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠ける
- 経験したことのない激しい頭痛がする
羊水塞栓症
羊水塞栓症で死亡する妊産婦も多くなっています。
羊水塞栓症は、分娩時に比較的多量の羊水及び胎児成分が母体の血中に流入し、母体に突発的な呼吸困難、心不全、DICなどを引き起こす極めて危険な病態です。
羊水塞栓症が疑われる場合は、表れている症状(低酸素血症、低血圧、心停止、DICなど)に応じた治療を行う、画像検査、血液検査など必要な検査を行うといった対処を行います。
自殺
自殺も、妊産婦の死亡原因の多くを占めています。
実は、2020年から2022年の3年間は、自殺が、産科危機的出血による死亡の比率を超え、死因のトップとなっています。
妊娠中や出産後はうつ病が起こりやすい時期であり、そうして新たに発症したうつ病によって自殺に至るケースもあります。
妊産婦の自殺が多いことを受け、「母体安全への提言2022Vol.13」では、「妊産婦の自殺に対して従来からのハイリスクアプローチに加えて、ポピュレーションアプローチを積極的に行う」(提言4)ものとして、妊娠前に精神疾患の診断があるなどのハイリスクな妊婦だけでなく、全妊婦を対象としたポピュレーションアプローチを積極的に行うことが提言されています。
その他の原因
上に挙げたほか、妊産婦の死亡原因としては、心疾患、肺血栓塞栓症などの肺疾患、感染症などがあります。
出産による死亡率については、以下のページで詳しく解説しています。
出産で死亡した芸能人の方
芸能人の方の中にも、出産で死亡した方がおられます。
1981年に「ウエディング・ベル」でデビューした人気ボーカルグループ「Sugar」のメンバーだったモーリこと毛利公子さんも、出産に関わって亡くなっておられます。
毛利さんは、1990年、陣痛かと思い病院を受診しましたが、残念ながらお腹の子が死亡していることが判明しました。
そこで、毛利さんは、翌日処置を受けるべく病院に泊まり込んでいたのですが、その夜の間に、亡くなられたということです。
毛利さんが亡くなった原因は、今も不明だとのことです。
参考:「ウエディング・ベル」がヒット、29歳で急死「Sugar」モーリの謎をメンバー激白― スポニチ Sponichi Annex 芸能
医療過誤の可能性
出産で妊婦や赤ちゃんが死亡したケースの中には、医療過誤による事故だったというものもあります。
医療過誤となる可能性があるケースとしては、例えば、
- 胎盤早期剥離、前置胎盤、肺塞栓症など母子の異常を見逃した
- 産科危機的出血、心不全などが起こった際の対処を誤った
- 無痛分娩の際の麻酔に失敗した
- より高度な医療機関に転送するのが遅れた
などといったものがあります。
実際に医療過誤となった事例を2つご紹介します。
2021年、妊娠35週の女性が体調不良を訴えて受診し、医師は早産と判断したけれども、実際には胎盤早期剥離であり、出産直後赤ちゃんが死亡した、というケースがあります。
このケースでは、事故後病院が、「主治医に診断の誤りがあり、異常出血が続いた後も胎盤早期剥離を見逃した」などとして、過失を認め、裁判になる前に和解が成立しました。
参考:医療事故はなぜ起きた?「胎盤早期剥離」で赤ちゃん死亡 主治医は“1人で4市町担当”
VBACとは、以前に帝王切開で出産したことがある妊婦が、自然分娩で出産することをいいます。
VBACでは、通常の出産よりも子宮破裂などのリスクが高くなります。
福島地裁平成25年9月17日判決のケースでも、約3年前に帝王切開で出産した妊婦が自然分娩に臨みましたが、陣痛の最中に子宮破裂を起こしてしまいました。
医師は、子宮破裂があったと分かった後、胎児心拍数が60~70回/分に落ち込んだことを確認し、緊急帝王切開を行いました。
これにより子どもは出生しましたが、出生直後から昏睡状態で自発呼吸がなく、重症新生児仮死の状態と診断され、一度も自発呼吸・自発的体動を見せることがないまま、出生から約7か月半後に死亡しました。
この事案について、裁判所は、「病院側には、少なくとも分娩が始まった後には、胎児心拍モニタリング等を用い、子宮破裂の徴候がないか継続監視を実施する態勢を整える義務があったけれども、これを怠った」などとして、病院側の過失を認めました。
このように、出産時に重大な結果が生じたケースについて、診断の誤りがあった、継続監視体制を取っていなかった、などとして、医師の過失が認められることもあります。
医療過誤の裁判事例については、以下のページでもご紹介しておりますので、ご参照ください。
医師の過失が認められないケースもある
ご注意いただきたいのは、母子が死亡するなどしたケースの全てについて、医師の過失が認められるわけではないということです。
出産は、もともと危険を伴うものであり、医師が手を尽くしても、全ての母子を救命できるわけではないのです。
それに、出産や妊娠に関しては、現代の医学でもまだまだ分からないことがたくさんあり、医師にとっても予想外の事態が生じることもあります。
そのため、医師に過失があった、というわけでなくとも、悲劇的な結果が生じることはあり得ます。
もちろん、医師に過失があったケースもあるのですが、死亡などの結果が生じていても医師に過失がないケースがあることも、お知りおきください。
出産による悲しい事故を回避するために
医師・助産師などのアドバイスに従って健康管理をする
妊娠中は、定期的に健診を受け、医師のアドバイスに従って健康管理をすることが大切です。
妊娠中には、医師から、体重制限、適度な運動、食事に関する指示など、様々なアドバイスを受けることになります。
どの指示も、自分とお腹の子どもにとって大切なことですので、できるだけ守り、健康維持に努めるようにしましょう。
また、妊娠中は、禁酒、禁煙も実行するようにしましょう。
こうした健康管理を行う際には、夫など周囲の協力が必要になることもあります。
周囲の人にも状況や必要なことを説明し、サポートしてもらえるとよいでしょう。
特に、タバコについては、周囲の人からの受動喫煙でも胎児に影響が出ることがありますので、少なくとも同居している夫の協力は必須です。
妊娠後も同居している夫がタバコを止めない場合には、きちんと話し合うようにしましょう。
出産する施設を慎重に選ぶ
ご自身の状態を把握し、より安全に出産できる施設を選ぶことも重要です。
例えば、基礎疾患がある、高齢出産である、前置胎盤などの異常がある、といった場合には、医師とよく相談し、必要であれば、クリニックではなく、より施設の充実した総合病院で出産するようにしましょう。
そのような不安材料がない場合でも、出産する施設を選ぶ際は、可能であれば、十分な数の医師・助産師がいるか、緊急時には高度な治療が行える施設に搬送する態勢が整っているか、といった安全面に関する情報にも着目して、選ぶようにしましょう。
出産計画を立てる際には年齢も考慮する
医療は大きく進歩してきましたが、今でも、出産する年齢が高くなると、出産の際の死亡率も高くなってしまう、という現実があります。
子どもを持ちたいと思っている方は、母親となる女性の年齢も慎重に考慮して、出産計画を考えるようにしましょう。
卵子提供を受けている場合は、医師に伝えておく
後ほどご説明しますが、第三者から卵子提供を受けた場合、妊娠高血圧症候群、前置胎盤になる可能性が高くなるなどのリスクがあります。
そのため、卵子提供を受けた場合には、厳重な周産期管理を受けることが望ましいです。
適切な健康管理を受けるためにも、医師には、卵子提供を受けたことを伝えるようにしましょう。
妊産婦のメンタルの状態に注意する
妊娠中・出産直後にうつ病を発症し、自殺に至るケースもあることは、既にご紹介したとおりです。
妊娠・出産というと、「女性にとって幸せなこと」と思われがちですが、実際には、身体の不調、変化が負担となったり、慣れない育児で疲弊したり、といったことが起こってくる、女性にとって負担の重い時期でもあります。
妊産婦の自殺を防ぐためにも、周囲の方がそうした女性の状況を理解し、支援の手を差し伸べること、必要に応じて精神科などを受診させることが重要になります。
医療側による対策
医師や病院の側でも、母子の安全のために様々な対策を講じる必要があります。
公益社団法人日本産婦人科医会の妊産婦死亡症例検討評価委員会は、医療の安全性を向上させるため、2010年以降、毎年「母体安全への提言」をまとめています。
引用元:母体安全への提言 2010~2022 – 日本産婦人科医会
「母体安全への提言2022Vol.13」の中では、以下のような提言が行われています。
①提言1:心停止または呼吸停止に対する一次救命処置に習熟する
心停止・呼吸停止による脳へのダメージを軽減するために、早期に事態を認識し、心臓マッサージ、人工呼吸、輸液、アドレナリン投与、気道確保を行うべきことなどに加え、死戦期帝王切開を行うこと、日本母体救命システム普及協議会の教育コースを受講することなど、妊婦特有の対処法についても提言されています。
②提言2: 産科危機的出血での妊産婦死亡の増加傾向を止めるために個人・組織で策を講じる
2020年にコロナ禍が始まって以降、一度は減少した産科危機的出血による死亡が、再び増加傾向を示すようになりました。
このことから、産科危機的出血への対応策を講じるようにとの提言が出されています。
③提言3: 心大血管疾患原因の妊産婦死亡減少のために「HEARTS」を実行する
「HEARTS」とは、以下のものをまとめた略称です。
- H: history taking 家族歴・既往歴を十分聴取する
- EA: early detection バイタル・身体所見の変化を早期に捉える
- R: risk factor 妊産婦死亡に直結する心血管疾患の危険因子を知る
- T: timing of events 周産期の心大血管合併症の好発時期を知る
- S: symptoms 息切れなどの症状を「正常の範疇」と決めつけない
心大血管疾患原因による妊産婦の死亡数を減らすために、この「HEARTS」を実践することが提言されています。
④提言4:妊産婦の自殺に対して従来からのハイリスクアプローチに加えて、ポピュレーションアプローチを積極的に行う
妊娠前に精神疾患がなくても自殺する妊産婦が一定数存在すること、自殺の予見が難しいことから、妊娠前に精神疾患の診断があるなどハイリスクな妊婦への介入を行うハイリスクアプローチのみではなく、全妊産婦を対象としたポピュレーションアプローチを積極的に行うように、との提言がなされています。
⑤提言5:卵子提供による妊娠では、妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症が高率に生じるため、既往歴についても十分聴取して厳重に周産期管理する
近年の生殖補助医療技術の進歩・普及により、第三者からの卵子提供で妊娠するケースが増加しています。
しかし、卵子提供による妊娠には、妊娠高血圧症候群、前置胎盤などの妊娠合併症のリスクの増加が伴います。
そのため、提言では、卵子提供を受けた妊婦について、厳重に周産期管理をすることを求めています。
事故発生時の対処
①解剖を行う
医療事故に関して医師の責任を追及しようとする場合には、「なぜそのような結果が発生したのか」という因果関係が重要になります。
ところが、患者が死亡してしまった場合、解剖による十分な死因究明が行われないまま、葬儀が済まされてしまうことが少なくありません。
遺族としては、「これ以上家族の体にメスを入れられたくない」「早く家に連れて帰ってあげたい」などの思いがあり、解剖を拒んでしまうことが多くなります。
しかし、解剖が行われていないと、場合によっては、後から病院の責任を追及しようと思っても、難しくなってしまう可能性があります。
ご遺族の方には、出産時に妊婦の方やお子様が死亡してしまった場合には、辛いこととは思いますが、できれば、解剖を行うことをお勧めします。
それに、病理解剖によって死因が分かれば、今後同様の事故が起こらないよう、病院側で対策を立てることができるようになる可能性もあります。
医療関係者としても、遺族に病理解剖をより積極的に要請する努力が必要となります。
②病院と協議する
不幸にして事故が起こってしまった場合は、まずは病院側に協議を申し入れ、症状の経過、事故の原因などについての説明を聞くことになる場合が多いです。
場合によっては、病院側で事故を調査する第三者委員会などを設置し、調査を行うこともあります。
こうした調査の結果を見て、何が起こったのか、病院側はどう対応したのかについて、患者側も把握していくことになります。
病院側が一定の責任を認めているような場合には、早期に和解に関する話が行われる可能性もあります。
なお、病院側と話をする際は、後々証拠とすることができるように、録音しておくことをお勧めします。
③医療過誤に強い弁護士に相談する
医療事故に遭い、病院側の責任を追及する可能性が少しでもある場合は、早めに医療過誤に強い弁護士に相談しましょう。
医療事故問題に対処するには、医師の過失の有無、過失と結果の因果関係の有無、生じた損害による賠償額などに関する医療関係・法律関係の専門知識が必要になってきます。
医療過誤に強い弁護士であれば、こうした専門知識に精通しています。
そのため、医療過誤に強い弁護士に相談すれば、
- 医療過誤に当たるかどうかの見通しはどうか
- 賠償金の適正額はいくらか
- 必要な証拠は何か
- 病院の責任を追及するための手続きは何か
といったことについてのアドバイスをもらうことができます。
それに、弁護士に依頼すれば、病院側との対応や責任追及のための手続を弁護士に任せることができますので、ご自身は、治療や生活の立て直しに集中することができますし、精神的な負担もかなり軽減されます。
弁護士に医療過誤問題について相談するメリット、弁護士を選ぶ際のポイントなどについては、以下のページで詳しく解説しております。
出産による死亡についてのQ&A
子宮筋腫で出産時に死亡することがありますか?
前置胎盤、常位胎盤早期剝離、分娩時出血などは、母子に生命の危険をもたらすこともあります。
つまり、子宮筋腫そのもので出産時に死亡することはなくとも、子宮筋腫により引き起こされる症状によって死亡することはあり得ます。
ただ、特に処置する必要もない子宮筋腫もありますので、詳しくは、かかりつけの産婦人科医にご相談ください。
喘息で出産時に死亡することがありますか?
ただ、妊娠中に喘息の状態が不安定になると、流産・早産、胎児発育不全、妊娠高血圧症候群、周産期死亡となるリスクが高くなります。
そのようなことにならないためには、妊娠中も、喘息の治療・服薬を継続することが大切です。
服用する薬剤の種類など、詳しいことは、かかりつけの医師にご相談ください。
バセドウ病で出産時に死亡することがありますか?
妊娠を希望する場合は、主治医と相談し、服薬の調整を行うなどの対策を立てることをお勧めします。
出産で母親が亡くなる確率は?
この出産死亡率は、以下の計算式により算出しています。
妊娠、分娩及び産じょくが死因となった死亡者数 ÷ 出産件数(出生数 + 死産数)
令和5年(2023年)人口動態統計(確定数)の概況によると、2022年に「妊娠、分娩及び産じょく」が死因となった死者数は26人(p18)、年間出産数は74万2822件(うち出生数72万7288人、死産数1万5534人)(p6,7)です。
このデータから、出産死亡率は、出産10万件に対して3.5人(26 ÷ 742822 ≒ 0.000035)となっていることが分かります。
出産による死亡率については、以下のページで詳しく解説しています。
無痛分娩で死亡する理由は何ですか?
無痛分娩特有のものとしては、麻酔薬による中毒などがあります。
まとめ
今回は、妊婦が死亡する理由、医療過誤となった例、出産により死亡することを防ぐための対処法、事故が発生してしまった場合の対処法などについて解説しました。
出産は新しい命の始まりであり、幸せなものとなることが多いのですが、母子に危険が及ぶこともあります。
できるだけ安全に出産するためには、医師のアドバイスに従って健康管理をする、自分の状態に合った病院を選ぶ、といったことを心がけることが大事です。
不幸にして事故が起こってしまい、病院側に責任があるのではないか、という気持ちを持たれた場合には、早めに医療過誤問題に力を入れている弁護士に相談しましょう。
弁護士に調査をしてもらい、病院に責任があるか否か、今後どのように対応すべきか、といったことに関するアドバイスをもらうことができれば、次に何をすべきかが見えてきます。
実際に病院の責任を追及することとした場合には、医療・法律に関する専門知識が必要になりますので、医療過誤問題に強い弁護士に依頼することをお勧めします。
当事務所では、数多くの交通事故によるケガに関する対応によって蓄積した医学的知識を活用し、人身障害部に所属する弁護士が医療過誤に関する問題のご相談・事件処理に対応しております。
お困りの方はぜひ一度、お気軽にご相談ください。