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医療ミスの訴訟とは、「病院に医療ミスがあった」と主張して起こす裁判のことです。
医療ミスの訴訟には、医療と法律の知識の両方が必要になるなどの特色があります。
そのため、医療ミスの訴訟は、医療ミスに詳しい弁護士に依頼して進めることが多くなります。
この記事では、医療ミスの訴訟の特徴、手続きの流れ、損害賠償の請求権が消滅してしまう時効成立までの期間、医療ミス訴訟にかかる費用、医療ミスの訴訟を検討する際に注意すべきポイントなどについて解説します。
目次
医療ミスの訴訟とは?
医療ミスの訴訟とは、病院に医療ミスがあったことを主張して起こす裁判のことです。
医療ミスの具体例としては、次のようなものがあります。
- 患者の取り違えにより、誤った薬を飲まされた
- 健康診断時にがんを見落とされ、見つかったときには治療できない段階になってしまった
- 手術の際に誤って神経を傷つけ、麻痺などの障害が生じてしまった
このような医療ミスの被害に遭った場合、医師に過失があれば、医療ミスの訴訟を起こして、病院側に損害賠償を求めることができます。
医療ミスの具体例は、以下のページでもご紹介しております。
医療ミス訴訟の特徴
医療ミスの訴訟には、以下のように、通常とは違う特徴があります。
高度な専門性を要する
医療ミスの訴訟を適切に進めていくためには、法律の知識だけではなく、医療に関する知識も必要になります。
例えば、訴えを提起する際に提出する訴状を作成するときにも、
- 診療経過や病状
- 標準的な治療法
- 実際に行われた医療行為が過失に当たること
- 過失と結果の因果関係に関する医学的説明
などを記載し、
- 必要な医学文献を集めて提出
しなければならず、医学的な知識が必要となります。
訴訟が始まった後も、
- 病院側からの反論への対応
- 新たな医学文献などの証拠の提出
- 医師に対する尋問
- 鑑定結果に基づく主張の展開
などを的確に行う必要があり、随所で医学的な知識が要求されます。
また、法律的な知識の面でも、
- どのような医療行為が法的に過失と認められるか
- 裁判官を説得するためには、どのような主張・証拠が必要となるか
- どの程度までの因果関係を立証できればよいか
- 損害額はいくらになるか
といった、医療分野の訴訟に関連する専門知識が必要になります。
そのため、医療訴訟を弁護士に依頼するときは、医療と医療過誤関係の法律の両分野について専門的な知識を有する弁護士を探すことが重要になります。
医療ミス訴訟の勝率
医療ミスの訴訟で判決が出されたケースのうち、勝訴又は一部勝訴の判決を得られる確率(勝訴率。「認容率」ともいいます。)は、他の事件と比較して、低いものになっています。
裁判所が公表している認容率(勝訴率)をみると、以下のようになっています。
通常事件の認容率 | 医事関係訴訟の認容率 | ||
---|---|---|---|
通常事件のうち人証調べを実施したものの認容率 | |||
令和2年 | 86.7% | 61.0% | 22.2% |
令和3年 | 84.3% | 60.3% | 20.1% |
令和4年 | 84.3% | 59.9% | 18.5% |
参考元:地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率|裁判所
上の表を見ると、通常事件の認容率は85%前後(人証調べを実施したものの場合は60%程度)ですが、医事関係訴訟の場合、認容率は20%前後となっています。
このように、医療ミスの訴訟で判決をするとなった場合に、勝訴(又は一部勝訴)判決を得られる割合は、通常よりもかなり低くなっています。
和解・示談の多さ
上記のように、医療ミスの訴訟では、判決で勝訴(又は一部勝訴)の結果を得ることは難しいです。
勝訴率2割程度という数字だけ見ると、医療ミスの訴訟は、起こしても何らの結果も得られないことが多いように思われるかもしれません。
しかし、実は、医療ミスの訴訟では、判決が出される前に和解が多く行われており、その中で、少なくとも一部勝訴と同様の結果を患者側が得ていることが多くなっています。
統計を見ても、医療ミスの訴訟の和解率は、裁判全体よりも高くなっています。
裁判全体でいうと、第一審において終局したもののうち、和解により決着した割合は、以下のとおりです。
和解の割合 | 参考:終局総数 | 参考:和解した件数 | |
---|---|---|---|
令和2年 | 35.3% | 122759 | 43365 |
令和3年 | 36.8% | 139020 | 51241 |
令和4年 | 32.8% | 131794 | 43264 |
参考元:
令和4年司法統計年報民事・行政編の第20表|裁判所
令和3年司法統計年報民事・行政編の第20表|裁判所
令和2年司法統計年報民事・行政編第20表|裁判所
令和元年司法統計年報民事・行政編第20表|裁判所
平成30年司法統計年報民事・行政編第20表|裁判所
一方、和解で決着した割合を医療裁判についてみると、以下のとおりとなります。
和解の割合 | 参考:終局総数 | 参考:和解した件数 | |
---|---|---|---|
令和2年 | 53.3% | 666 | 355 |
令和3年 | 52.5% | 850 | 446 |
令和4年 | 52.7% | 797 | 420 |
参考元:医事関係訴訟事件の終局区分別既済件数及びその割合|裁判所
上の表から分かるとおり、医療ミスの訴訟の半数以上が和解によって終局しており、訴訟全体の35%程度と比べても高い割合となっております。
和解が成立した場合、ほとんどのケースで、患者側が一定の和解金の支払いを受けていますので、実質的に、一部勝訴以上の結果を得ているということができます。
つまり、医療ミスの訴訟の半数以上は、実質的に一部勝訴以上の結果を得て終わっているのです。
特に、病院側が敗訴する可能性が濃厚な場合、病院側が、判決で医療ミスを認定されることを避けるためなどに、和解に応じることが多くなります。
加えて、訴訟を起こす前でも、病院側に医療ミスがある可能性が高い場合には、示談交渉によって決着していることが多いです。
このことは、医療ミスの訴訟の勝訴率の低さとも関係しています。
判決にまで至る事件(=それまでに和解ができなかった事件)では、患者側が勝訴しそうなものは(それまでに和解ができるために)少なくなっているため、勝訴率が低くなっているという側面があるのです。
ただ、一方で、裁判や示談交渉の前に、「これは法的に医療ミスとは認められない」と弁護士や協力医からアドバイスされ、病院の責任追及自体を諦めているケースも数多くあるなど、医療ミスの訴訟や示談・和解交渉は決して簡単なものではないこともご承知おきください。
医療ミス訴訟の流れ
医療ミスの訴訟を起こす場合の手続きの流れについて、解説していきます。
訴訟を起こすまでの流れ
まず、医療ミスの訴訟を起こすまでの流れは、以下のようになります。
医療ミスの訴訟を起こす場合、まず、医療ミスに詳しい弁護士を探して相談し、依頼をすることから始めます。
依頼を受けた弁護士は、どのような手続を行うかの方針を決めるため、事前に調査を行い、カルテ・検査結果などの証拠の収集、医学文献や協力医のアドバイスを踏まえた検討を行います。
その結果によって、依頼者と弁護士で話し合って方針を検討し、訴訟を起こすか、医療ADR・民事調停を利用するか、病院との示談交渉を優先するか、といったことを決めていきます。
訴訟を起こすことに方針が決まったら、弁護士が訴状を作成し、カルテ、医学文献等の証拠とともに、裁判所に提出して、訴えを提起します。
訴訟を提起した後の流れ
訴状を提出すると、裁判所は、第一回目の期日を指定し、訴状を被告(病院・医師等)に送達します。
訴状を受け取った被告側は、自分の主張を記した答弁書を作成し、提出します。
そうして、第一回期日から互いの主張、立証を突き合わせ、何回か期日を重ねて、争点を整理していきます。
争点整理が終わったら、人証調べ(証人尋問、当事者尋問)を行い、必要な場合には、第三者の医師に依頼して鑑定を行います。
そうして審理が終了した後、判決が出されます。
和解・示談について
以上に挙げた手続きの流れのどの時点でも(訴え提起前でも)、病院側との間で合意することにより問題を解決する「和解・示談」をすることが可能です。
上でもご説明したとおり、医療ミスに関する紛争の多くは、和解・示談で決着しています。
訴訟になったケースでも半数以上が和解により解決するため、医療訴訟では、一度は裁判所から和解の意向について打診されるケースが多いです。
医療ミス訴訟の手続の流れについては、以下のページもご参照ください。
医療ミス訴訟の時効
医療ミスの訴訟を起こす際には、時効に気を付ける必要があります。
医療ミスの被害に遭った場合、不法行為に基づく損害賠償、又は、債務不履行に基づく損害賠償のいずれか一方を請求することができます。
しかし、一定の期間が経過してしまうと、時効(消滅時効)が成立し、損害賠償を請求することができなくなります。
時効が成立するまでの期間は、以下のとおりです。
医療ミスがあった日 | 時効 | |
---|---|---|
不法行為に基づく損害賠償請求権 | 2020年3月31日以前 | 以下の①、②の短い方
|
2020年4月1日以降 | 以下の①、②の短い方
|
|
債務不履行に基づく損害賠償請求権 | 2020年3月31日以前 | 権利を行使できる時から10年 |
2020年4月1日以降 | 以下の①、②の短い方
|
*債務不履行に基づく損害賠償請求権の時効期間の開始時点となる「権利を行使できる時」は、医療過誤があった日になります。
医療ミスの訴訟を起こすには、事前の調査などで時間がかかりますので、時効成立前ギリギリに弁護士に相談しても、訴訟提起が間に合わない、又は、十分な準備ができないままに訴訟を起こす必要に迫られて不利な訴訟進行を強いられるといったことになりかねません。
医療ミスの被害に遭ったと思われる場合は、なるべく早く、医療過誤問題に詳しい弁護士にご相談ください。
医療ミス訴訟の相談先
医療ミス問題については、以下のような窓口に相談することが考えられます。
病院の相談窓口
医療ミスがあったと思われる場合、まずは、問題の病院に苦情を申し立てることが多いでしょう。
医療ミスに関する苦情の申入れを病院に対してする際は、
- 問題が起こった原因・経緯
- 院内調査(又は調査の予定)の有無及び手順
- 法的責任の有無に関する病院側の見解
- 損害賠償を支払う意思の有無
- 謝罪・再発防止策の策定などを行う意思の有無
などについて説明を求めるようにしましょう。
今後も治療・リハビリが必要である場合には、それらに関する予定、他院への紹介の可否などについても確認するとよいでしょう。
こうした申入れをご自身だけで行うことに不安がある場合は、弁護士に依頼して代わりにしてもらったり、同席してもらったりすることもできます。
弁護士に関与してもらえば、説明内容についてきちんと記録してくれますし、病院の説明におかしな点、疑問な点があった場合には、代わりに病院側に質問してもらうこともできます。
後日、説明の中で分からなかったところについて、弁護士に尋ねることもできます。
質問を受けた弁護士は、病院に再度確認したり、入手した記録を確認したりして、依頼者に説明します。
医療ミス問題に強い弁護士
医療ミスの被害に遭ったとお考えの場合は、なるべく早く、医療過誤問題に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
病院が責任を認めない場合や、病院に損害賠償を請求するつもりである場合は、特に、早めに弁護士に相談すると良いでしょう。
医療ミスに強い弁護士に相談すれば、病院の行為について「医療ミス」として法的責任を問うことができるか、どのような手続が必要となるか、損害賠償額の見込みはいくらか、といったことについてアドバイスしてもらうことができます。
依頼をすれば、カルテの取り寄せなどを行ってより詳しい調査をしてもらう、示談・裁判の代理をしてもらう、といったことも可能になります。
医療過誤問題に強い弁護士に相談することのメリットについては、後ほど医療ミスに強い弁護士に相談するでも詳しくご説明します。
医療事故情報センターで紹介されている相談窓口
医療事故情報相談センターは、患者側に立って活動する全国の弁護士により組織されている団体です。
以下の医療事故情報センターのHPには、医療ミスの問題を取り扱っている各地の弁護士による相談窓口が紹介されています。
医療過誤問題に詳しい弁護士を自力で探すことが難しい場合には、これらの窓口に相談することも考えられます。
その他の相談機関
医療ミスの訴訟について相談する窓口としては、他に、
- 医療安全支援センター
- 消費生活センター
が考えられます。
消費生活センターでは、相談者に対し、解決のための助言をする、弁護士など他の適切な相談窓口を案内する、といった業務を行っています。
参考:国民生活センター
全国の保健所などに設置されている医療安全支援センターでも、医療に関する不満、心配、疑問などの相談に乗ってくれます。
ただ、医療安全支援センターは、あくまで中立の立場で相談を受ける機関ですので、医療ミスについて相談しても、病院の行為が医療ミスに当たるかどうかについて判断してはくれませんし、病院の責任を追及してくれることもありません。
医療ミス訴訟にかかる弁護士費用
医療ミスについての訴訟を起こす場合、患者やご遺族本人では難しいので、医療ミスの訴訟に詳しい弁護士に依頼することがほとんどです。
弁護士に依頼する場合、弁護士費用と実費が必要になります。
それぞれの内容、金額の目安についてご紹介します。
弁護士費用
医療ミスの訴訟をする際に必要となる弁護士費用には、以下のようなものがあります。
項目 | 内容 | 金額の目安 |
---|---|---|
法律相談料 | 弁護士への法律相談の際に支払う費用 | 30分 5500円~ |
調査料 | 医療ミスの訴訟で損害賠償請求が認められる見込みの有無などを調査するための費用 | 11万円 ~ 44万円程度 *事案の内容などによる |
着手金 | 弁護士に裁判手続を依頼する際に最初に支払う費用 | 55万~ なお、 示談交渉の場合は 22万円 ~ 調停・ADRの場合は 44万円 ~ |
報酬金 | 手続が終了した後に弁護士に支払う費用 | 得られた経済的利益の11% ~ 33%など |
日当 | 弁護士が出張した場合などに支払う費用 | 1日当たり 1万5000円 ~ |
実費
医療ミスの訴訟の際に必要となる実費の目安は、次のようになります。
項目 | 金額の目安 |
---|---|
カルテ等の開示に要する費用 | 数千円 ~ 10万円程度(量による) |
証拠保全の際のカメラマン費用 | 数万円 ~ 数十万円(撮影量による) |
カルテ翻訳の費用 | 数万円 ~ 数十万円(翻訳する量による) |
訴え提起の申立手数料(印紙代) | 数万円 ~ 100万円程度(請求金額による) |
医師(協力医)の面談に対する謝礼金 | 3 ~ 5万円程度 |
協力医の意見書作成に対する謝礼金 | 数十万円 ~ |
印刷代 | 1枚10円程度 |
郵送代 | 数千円 ~(郵送回数による) |
弁護士の交通費、宿泊費 | 移動距離による |
医療ミスの訴訟のために必要となる費用については、以下のページで、具体例とともにより詳しく解説しています。
医療ミス訴訟のポイント
過失の構成を慎重に検討する
医療ミスの訴訟を起こす際は、過失をどのように構成して主張するかを慎重に検討する必要があります。
多くの医療ミスの訴訟では、どのような過失を主張するか、主張された過失が立証できるかが、訴訟の中心的な問題となります。
過失の構成を検討する際には、
- 治療が必要だったかに関する医学的な知識
- 裁判ではどの程度不適切な治療であれば「過失」と認められるかに関する法律的な知
が必要になります。
そのため、医療ミスの訴訟では、両分野の知識を備えた、医療ミスに詳しい弁護士を探して相談することが大変重要になります。
因果関係についても忘れずに主張・立証する
過失をどのように主張するかを検討する際には、因果関係についても注意しなければなりません。
医師に過失があったと認められても、その過失と生じた結果の間に因果関係が認められなければ、損害賠償は認められない(又は精神的損害に対する慰謝料のみに減額される)ことになってしまいます。
医療ミスに強い弁護士に相談する
医療ミスの被害に遭ったと思われる場合には、なるべく早く、医療ミスに強い弁護士を探し、相談・依頼しましょう。
医療ミスに強い弁護士に相談・依頼すれば、次のようなメリットがあります。
- 医師の行為が法的に「医療ミス」に当たるかアドバイスしてくれる
- 請求できる損害賠償額の金額の見込みについてアドバイスしてくれる
- 依頼をすれば、医師に過失があったかの調査を行ってくれる
- 必要なカルテ、診断書等や、医学文献などを揃えてくれる
- それぞれのケースに合った協力医を探し出してくれる可能性が高い
- 医療ミスの責任を追及するための方法についてアドバイスしてくれる
- 依頼すれば、訴訟・示談交渉を代わりに行ってくれる
- 精神的な負担が軽くなる
医療ミスについては弁護士に相談すべきこと、医療ミスに強い弁護士を選ぶ際のポイントについては、以下のページでも詳しく解説しています。
和解・示談についても検討する
既にご説明したとおり、医療ミスの訴訟は、和解・示談によって解決することも多いです。
和解・示談によって解決することには、患者側にとって、以下のようなメリットがあります。
- 裁判のための時間、労力、費用を費やすことなく解決できる
- 敗訴するリスクを無くすことができる
- 判決では得られない、謝罪、説明、再発防止策の策定などの成果を得られる可能性がある
医療ミスの訴訟を起こすことを考えている場合も、和解・示談による解決もできることも知っておくと良いでしょう。
専門家のアドバイスを受けとめる
医療ミスの裁判をしようという場合には、弁護士や協力医からさまざまなアドバイスを受けることになります。
その中には、「これは医療ミスとは認められない可能性が高い」「裁判をしても勝訴する見込みがない」など、患者側の依頼者にとっては辛くなるようなものもあるかもしれません。
だた、ほとんどの場合、専門家は、依頼者の利益を守るためにそうしたアドバイスをしています。
敗訴するおそれが大きいことを知らないまま裁判を起こしてしまうと、依頼者の方は、費用、時間、労力を無駄にしてしまうおそれがあるので、そうしたことにならないよう、専門家としての立場からお話をさせていただいています。
もちろん、相談した専門家の意見が必ずしも正しいとは限りませんので、他の弁護士などに相談してみることも考えられます。
とはいえ、裁判を起こして実際に敗訴してしまうと、そこまでに要した弁護士費用を回収できない、費やした時間や労力も報われず、逆に精神的に大きな打撃を受ける、ということにもなりかねません。
方針を決める際は、弁護士・協力医の意見についても、よく考えてみてください。
医療ミス訴訟についてのQ&A
医療ミスの賠償金はいくらですか?
![](https://www.daylight-law.jp/medical/wp-content/uploads/2024/05/A.gif)
医療ミスによって被害者が死亡した場合や後遺障害を負った場合には、被害者の年齢、収入、家族構成、想定された余命などにより、賠償金は、数百万円から数千万円になるでしょう。
場合によっては、賠償額が1億円を超えることもあります。
一方、医療ミスによって生じた被害が治療可能なものであった、一時的な体調不良が生じたのみだった、というような場合は、賠償額は、数十万円から数百万円にとどまるでしょう。
医療ミス訴訟の和解金に相場はある?
![](https://www.daylight-law.jp/medical/wp-content/uploads/2024/05/A.gif)
医師の過失が認められる見込みが強い場合、前の質問への答えでご紹介したように、
- 生じた結果が死亡・後遺障害であれば数百万 ~ 1億円程度
- 一時的な体調不良、完治できるケガ・症状の場合には数十万円 ~ 数百万円程度
となることが多いです。
医師の過失が認められる見込みが薄い場合は、
- 死亡・後遺障害が生じた場合、事案に応じて数十万円 ~ 500万円程度
- それ以外の場合には、事案に応じて、数十万円 ~ 150万円程度
となることが多いと思われます。
まとめ
今回の記事では、医療ミスの訴訟の特徴、手続きの流れ、注意すべきポイントなどについて解説しました。
医療ミスの訴訟は、法律と医療の両方に関する知識が必要になる高度に専門的なものです。
そのため、医療ミスの訴訟を起こすことを考えている場合は、医療過誤に強い弁護士を探し、相談・依頼することが大変重要です。
当事務所でも、各種事件の対応で医療の知識を蓄積してきた弁護士が、医療ミスの訴訟に関するご相談をお受けしております。
オンライン、電話による全国からのご相談にも対応しております。
お困りの方はぜひ一度、当事務所までご連絡ください。