産婦人科を訴えたい|裁判の特徴・手続きや注意点を弁護士が解説

現代の日本では、出産は、多くの場合安全に進むものになりました。

しかし、元々出産は母子ともに命懸けのもの。

今でも、出産の際のトラブルにより、母親や子供が死亡したり、重い後遺障害を負ったりすることは、なくなっていません。

ときには、医師がもっと適切に対応していれば、不幸な結果が生じることはなかったのではないか、と思われることもあります。

このようなことが起こると、被害者としては、「産婦人科を訴えたい」「医者に法的責任を取ってもらいたい」と思うこともあるでしょう。

そのような場合には、まずは産婦人科との訴訟や医療訴訟一般について、どのようなものか、どのように準備すればよいかを知っておくことが大切になります。

今回は、産婦人科に対するものをはじめとした医療訴訟の特徴、訴えるための手続き、費用、訴えを起こす際の注意点などについて解説します。

産婦人科に対する医療訴訟をお考えの方は、どうぞご参照ください。

 

産婦人科との裁判の特徴

産婦人科の医師を訴える医療裁判には、一般的な民事事件とは異なる次のような特徴があります。

専門知識が必要となる

産婦人科を相手取った医療裁判では、産婦人科に関する専門知識が必要になります。

まず訴えを提起する時点から、「医師にどのような過失(義務違反)があったと主張するか」を検討するための専門知識が必要となります。

この過失に関する主張の構成を間違えると、訴訟が不利になってしまったり、長期化することになったりしかねないのですが、医療知識に乏しいと、事案に即した適切な過失(注意義務違反)を設定することが難しいです。

訴訟を進めていく間にも、病院側の主張を理解して適切な再反論を行う、医師・助産師などの医療関係者の証人尋問・本人尋問を行う、鑑定内容を理解して主張を展開する、といったことが必要になりますが、そのためにも、医療の専門知識が必要になります。

しかし、患者側では、通常、こうした専門知識を十分に持ち合わせてはいません。

専門知識の不足を補うためには、医療裁判に強い弁護士に相談すること、必要な場合には協力医を見つけることが大変重要になります。

 

訴訟が長期化する傾向がある

産婦人科を含む医事関係訴訟と全訴訟の平均審理期間を比較すると、以下のようになります(いずれも既済事件のもの)。

医事関係訴訟事件 全訴訟
平成30年 23.5月 9.0月
平成31年/令和元年 25.2月 9.5月
令和2年 26.1月 9.9月
令和3年 26.7月 10.5月
令和4年 26.5月 10.5月

参考
裁判所データブック2023第2審理期間1訴訟事件
医事関係訴訟事件統計1維持関係訴訟事件の処理状況及び平均審理期間

これをみれば分かるとおり、医事関係訴訟の平均審理期間は、全訴訟の平均審理期間よりも長くなっています。

このように、医療訴訟は、長期化する傾向があります。

 

和解で決着することが多い

医療訴訟の場合、裁判を起こす前に病院側と協議をすることが多く、その際に和解が成立する場合が少なくありません。

特に、病院側に責任がある場合には、病院側が柔軟に対応するため、和解に至ることが多くあります。

裁判になった後でも、医療訴訟は和解により決着することが多いです。

令和4年の地方裁判所における第一審通常訴訟の既済事件(13万1794件)のうち、和解で終わったものは約32.8%(4万3264件)となります。

参考:令和4年司法統計年報民事・行政編 (courts.go.jp)の第20表

これに対し、医事関係訴訟では、令和4年の既済事件(797件)のうち、和解で終わったものは52.7%(420件)となっています。

参考:医事関係訴訟事件の終局区分別既済件数及びその割合

医療訴訟の和解率

このように、医療関係の訴訟は、和解で決着することが比較的多いです。

その要因の一つは、被告(病院)側が、自らに責任がある可能性があると、積極的に和解に応じることが多いことです。

法的責任があるか判然としない状況でも、被告側がある程度の額の和解金を支払う形での和解が行われることもあります。

これには、被告側としては、

  • 判決で明確に「病院に過失があった」と判断されたくない
  • 法的責任はともかく不本意な結果が生じたという事実はあるので、見舞金のような形の支払いには応じられる
  • 医師の証人尋問が行われるとなると医師の負担も大きいので、その前に決着をつけたい

などの事情があると思われます。

原告(患者)側としても、

  • 「病院に責任はなかった」という判決が出されることは避けたい
  • 紛争を早く解決したい(一周忌などの区切りを機に和解に応じる方もおられます)
  • 鑑定による費用負担や証人尋問による負担を避けたい
  • 和解であれば、判決では得られない謝罪や説明、再発防止の約束などを得ることができる

などの事情から、和解に応じる方が多くおられます。

 

認容率が低い

以下の表のとおり、医事関係訴訟の認容率(判決総数に対して認容(一部認容を含む。)件数の占める割合)は、他の訴訟と比べると低い傾向にあります。

医事関係訴訟事件 全訴訟
平成30年 85.5% 18.5%
平成31年/令和元年 85.9% 17.0%
令和2年 86.7% 22.2%
令和3年 84.3% 20.1%
令和4年 84.3% 18.5%

参考:地裁民事第一審通常訴訟事件・医事関係訴訟事件の認容率

これを見ると、医療訴訟は原告(患者)側にとって厳しい戦いであるように思われます。

しかし、必ずしもそうとは言い切れません。

前の項でも見たとおり、医療事件では、原告側が勝訴できそうな事件では、判決が出る前に和解をすることにより、被告(病院)側から一定の和解金を得て決着する場合が多いのです。

そのため、判決にまで至った事件では、原告が敗訴している割合が高くなってきます。

しかし、実際には、実質的に原告勝訴の内容で和解しているケースが数多くあるのです。

 

費用が多額になりやすい

医療訴訟を起こそうとすると、訴訟を起こす前に、カルテや検査結果を分析して、意見書を書いたり、アドバイスしてくれたりする協力医に相談することが必要になる場合があります。

この場合、協力医に報酬を渡す必要があるので、一定の費用が発生します。

訴訟を起こした後でも、裁判所が選任する鑑定人による鑑定が行われることがあります。

その場合、鑑定費用が発生します。

また、医学についても法律についても専門知識を持っていない方が、自ら医療訴訟を起こすことは至難の業ですので、医療訴訟を起こす場合、医療訴訟に詳しい弁護士に依頼することが多くなります。

そのため、弁護士費用の負担も生じてきます。

このように、医療訴訟を進めていくためには、様々な費用の負担が発生します。

 

 

産婦人科を訴えるための手続き

産婦人科を訴える流れ

産婦人科を訴えるまでの手続などの流れは、次のようになります。

産婦人科を訴える流れ

弁護士への依頼

産婦人科を訴える場合、ほとんどの方は弁護士に依頼をします。

弁護士に依頼する際は、医療訴訟に詳しい弁護士を探すようにしましょう。

この点については、・医療過誤に強い弁護士に相談する、「産婦人科に訴えを起こす場合の弁護士選びのポイント」の項で詳しく取り上げます。

 

カルテなどの確保

弁護士は、医療訴訟の依頼を受けると、まずはカルテなどの証拠の確保について考えます。

カルテなどは医療機関側が保有していますので、これをどのようにして手に入れるかが問題となります。

最近は、改ざんや破棄を防止する措置を施した電子カルテを導入している病院も多く、そのような場合には、病院に直接開示を求めれば足ります。

しかし、電子カルテを導入しておらず、病院側がカルテを改ざん・破棄する可能性がある場合には、裁判所に申し立てて証拠保全の手続を行うことがあります。

証拠保全を行う場合は、弁護士から裁判所に申立てをし、裁判官との面談、書類のやり取りなどを経て、証拠保全の決定を得ます。

証拠保全の決定がなされたら、弁護士が、決められた期日に裁判官・裁判所書記官とともに病院に赴き、カルテの状態を確認することになります。

なお、カルテの改ざん等を防ぐため、病院側には、証拠保全決定が出されたことは、実際に病院に行く1時間程度前まで知らされません。

 

証拠の検討

カルテなどの証拠を入手したら、次はその内容を検討します。

検討に際しては、次のようなことを確認します。

  • 患者の当時の症状、状況
  • 行われた処置の内容、投与された薬剤の種類
  • 診療・症状の経過
  • 胎児の状況
  • 医師による説明の内容、同意書の有無
  • 検査結果、画像検査結果

これらを検討し、医学的な知見、各種ガイドラインなども確認しながら、医師に過失があったといえそうか、医師の過失と結果の発生に因果関係はあるのか、といったことを検討します。

場合によっては、他の医師(協力医)にカルテ等を見てもらい、アドバイスを受けたり意見書を作成してもらったりします。

 

方針決定

証拠を検討したら、その後の方針について、依頼者と弁護士の間で話し合います。

方針としては、

  • 訴訟を提起する
  • 調停・医療ADRを活用する
  • 示談交渉をする
  • 請求を取り止める

といったものが考えられます。

こうした方針を決める際には、証拠を検討した結果、裁判で勝訴できる見込みがあると考えられるかが大変重要になります。

勝訴の見込みもないのに訴訟を提起したり、強気で交渉してしまったりすると、いたずらに紛争を長引かせ、患者側の精神的負担・経済的負担を増大させることとなってしまいます。

そうしたことにならないためにも、弁護士を選ぶ際には、

  • 医療訴訟の知識があって正確な見通しを立てられるかどうか
  • 依頼者にとって不利益なことも伝えてくれるかどうか

にも注意しておきましょう。

 

訴訟提起

裁判を起こす方針が固まったら、訴訟提起をします。

訴訟になった場合の手続きの流れは、次のようになります。

訴訟になった場合の手続きの流れ

①訴状の作成・提出

まずは訴状を作成し、裁判所に提出します。

訴状には、判決で求める内容(「請求の趣旨」といいます。)とその請求を根拠づける事実(「請求原因事実」という。)などを記載します。

医療訴訟の場合は、

  • 診療経過の重要な部分
  • 医師が負っていた注意義務の内容と注意義務に違反した医師の行為(過失)
  • 医師の過失と結果の因果関係
  • 医師の過失によって生じた損害額

を記載することが重要になります。

訴状とともに、カルテ、胎児心拍数陣痛図、検査結果、レントゲン、医学文献、損害額を立証するための収入に関する資料などを証拠として提出します。

訴状や証拠は、弁護士に依頼していれば、弁護士が準備してくれます。

なお、訴状には、申立て手数料相当額の印紙を貼り、被告に書類を届けるのに必要な郵券(郵便切手)を添えなければなりません。

これらの費用については、「産婦人科を訴えるために必要となる費用」の項で詳しくご説明します。

 

②第一回期日の決定

訴状を提出すると、裁判所が形式に関する審査をします。

審査の結果、問題がなければ、第一回期日が指定され、訴状などが被告側(病院側)に送達されます。

 

③被告側(病院側)からの答弁書提出

被告側(病院側)は、訴状が送達されると、答弁書を作成し、裁判所に提出します。

答弁書には、訴状に記載された請求の趣旨・請求原因事実に対する認否が記載されます。

答弁書によって、被告が原告の主張のどの点について争うのかが明確になります。

 

④争点整理

答弁書が提出されたら、原告・被告双方は、裁判所に対し、互いに自分の主張とそれに関する証拠を提出し合います。

そうして、裁判所で、双方の主張と証拠を整理し、両者が争っている点(争点)がどこにあるかを洗い出し、整理していきます。

この手続きを争点整理と言います。

争点整理の段階では、主として書面によって双方の主張、立証を提出していきます。

また、医療訴訟の場合、争点整理の中で、裁判所が選任した専門委員(医師)に意見を聞くことがあります。

 

⑤証人尋問、本人尋問

争点整理が終わると、証人尋問、本人尋問が行われます。

産婦人科に対する医療訴訟の場合、担当医、看護師、助産師などの病院関係者、患者本人、患者家族などの尋問が行われます。

 

⑥鑑定

医師の過失の有無などを判断するために必要な場合には、鑑定を実施することがあります。

鑑定に当たる医師は、裁判所が選任します。

 

⑦判決

主張と証拠(書証・人証・鑑定)が出揃えば、審理を終結(「結審」といいます。)し、判決の言い渡しとなります。

結審から判決までには、医療訴訟の場合、通常2~4か月程度かかります(複雑な事案の場合などには、より時間がかかることもあります。)。

医療過誤訴訟の特徴、手続きの流れなどについては、以下のページもご参照ください。

 

和解(示談)

以上の流れの中のどの段階でも、病院側と話し合って和解(示談)をすることができます。

上でもご説明しましたが、医療過誤に関する事案では、病院との和解で決着がつくことも多いです。

患者側にとっての和解に応じるメリットには、以下のようなものがあります。

  • 紛争を早期に解決することができる
  • 「このような結果になったことの説明をしてほしい」「謝罪をしてほしい」「再発防止策を設けてほしい」といった、法的には難しいことも実現できる可能性がある
  • 敗訴の可能性が高い場合、病院の過失を否定する判決を出されずに済む
  • 訴訟の提起、当事者尋問・鑑定などによる金銭的・精神的負担をなくすことができる

 

 

必要な書類

産婦人科を訴えるために必要な書類の主要なものは、以下のとおりです。

A.事実経過等に関する書証
  • カルテ(診療録、看護記録、検査記録、レントゲンフィルム、エコー写真、胎児心拍数陣痛図など)
  • 診断書
  • 処方箋、投薬指示書
  • 説明同意書

など

B.医療行為などの評価に関わる書証、一般的な医学的知見に関する書証
  • 医学専門書・論文
  • 診療ガイドライン
  • 医薬品の添付文書

など

C.損害に関する書証
  • 治療費の領収書
  • 通院交通費の領収書・明細書
  • 被害者の年収に関する資料(源泉徴収票など)
  • 保険会社の査定書
  • 戸籍関係書類

など

また、場合によっては、私的鑑定書(原告側の協力医に作成してもらったもの)を提出する場合もあります。

 

 

産婦人科を訴えるために必要となる費用

産婦人科を訴えるためには、裁判費用・鑑定費用などの実費、弁護士費用などが必要になります。

それぞれについてご紹介します。

実費

産婦人科を訴えるための実費としては、主に、裁判費用、鑑定費用があります。

裁判費用には、申立て費用、郵券(郵便切手)があります。

申立て費用は、請求する金額(訴額)によって変わり、医療訴訟の場合、おおむね数万円から50万円程度の範囲になります。

郵券(郵便切手)は、医療訴訟では郵送すべき書類が多いことから、数万円程度はかかることが多くなります。

鑑定費用は、裁判所で行われる鑑定、患者側で私的に行う鑑定・意見書作成の費用になります。

裁判所での鑑定は、鑑定を申し立てた側が費用を負担します。

鑑定の申立ては、原告被告双方で行う場合も多く、その場合は、鑑定費用は折半することになります。

患者側で私的に行う鑑定等の場合は、費用は患者側が負担します。

いずれの場合も30万円~50万円程度の費用がかかります(事案によっては、それ以上必要な場合もあります。)。

医療過誤訴訟の費用については、以下のページもご参照ください。

 

弁護士費用

弁護士費用としては、相談料、調査費用、着手金、報酬金などがあります。

相談料は、法律相談30分につき5000円程度とされていることが多いです。

初回の法律相談は無料で対応している法律事務所も多くあります。

調査費用は、病院側の責任が認められるかについて、交渉の前に調査するための費用のことです。

調査費用が必要な場合、20万円程度~となります。

着手金は、行う手続によっても変わってきますが、医療訴訟を起こす場合には、最低でも50万円以上となることが多いです。

報酬金は、得られた経済的利益の2~3割程度となります。

そのほかに、出張を要する場合には日当が必要になることもあります。

なお、当事務所では、医療過誤に関する法律相談は初回無料となっております。

当事務所の弁護士費用の詳細は、以下のページをご覧ください。

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弁護士費用

 

産婦人科を訴える場合の注意点

事前の調査、方針検討を十分に行う

産婦人科に対する訴訟を起こす前には、事前の調査、方針検討を十分に行いましょう。

これをおろそかにすると、過失・因果関係に関する適切な主張ができずに敗訴してしまう、いたずらに時間ばかり費やして満足のいく成果が得られない、といったことが起こってしまいます。

事前の調査、方針検討の際には、裁判になった際の結果の見通しを立てること、その見通しを弁護士と依頼人の間で共有することが重要になります。

きちんと弁護士と話し合い、訴訟を起こすか、次にご説明するような他の方法を検討するかについて考えましょう。

 

訴訟以外の方法も検討する

「産婦人科を訴えたい」という場合でも、裁判以外にも問題を解決する方法があることを知っておきましょう。

たとえば、次のような方法があります。

  • 示談交渉
  • 民事調停
  • 医療ADR

医療に関する問題の場合、訴訟を提起する前に、病院側と示談交渉をすることで、問題を解決できることも多いです。

ほかに、民事調停も、医療問題に関して利用されることがあります。

民事調停は、民事に関する争いについて、当事者同士が裁判所で話し合い、解決を図る手続です。

裁判所の調停委員が手続きを主宰します。

医療問題に関する事件で民事調停を利用すると、調停委員として医師が指定されることも多くあります(ただし、地域によって異なります。)。

民事調停を利用すれば、医師に責任があることは争いないけれども損害額について争いがある、といったようなケースで、訴訟を起こすよりも早く問題を解決できることが期待できます。

医療ADRを利用することも考えられます。

医療ADRは、医事紛争を専門に取り扱う機関です。

医療ADRをうまく活用できれば、裁判よりも迅速・柔軟に、低い費用で問題を解決できる可能性があります。

ただ、過失・因果関係などについての意見の相違が大きい場合など、すぐに裁判を行った方が早く解決できる場合も多くあります。

医療ADRを利用すべきかどうかは、弁護士とよく話し合って決めましょう。

 

産科医療補償制度の利用を検討する

産婦人科での事故の場合、産科医療補償制度を利用することも考えられます。

産科医療補償制度は、出産時の医療行為に過失があってもなくても、通常の分娩で生まれた子どもに対し、重度の脳性麻痺が発生した場合には、補償金を給付する制度です。

補償金の額は、一時金として600万円、子どもが20歳になるまで月額10万円となっており、合計3000万円となります。

ほとんどの妊婦はこの保険に加入していますので、条件に当てはまる場合には、利用を検討してみましょう。

参考:産科医療補償制度

 

医療過誤に強い弁護士に相談する

産婦人科を訴えたい場合は、医療過誤に強い弁護士に相談することをお勧めします。

これまでご説明したとおり、医療訴訟を担当する弁護士には、

  • 医療に関する知識を理解する能力
  • 医師のどのような行為が過失と認定されるかを見極める能力
  • 医療訴訟の見通しを立て、それについて依頼者に分かりやすく説明する能力
  • 生じた損害による賠償金額を適切に算定する能力
  • 医療トラブルの被害者の心情に寄り添うことができる能力

などが必要とされます。

こうした能力を十分に有しているのが、医療過誤問題に力を入れている弁護士です。

そのため、医療訴訟を起こす際には、医療過誤問題に力を入れている弁護士を探すことが大変重要になります。

次の項で、医療訴訟に強い弁護士を選ぶ際のポイントについてご説明しますので、それを参考に、頼りになる弁護士を探してみましょう。

 

 

産婦人科に訴えを起こす場合の弁護士選びのポイント

産婦人科に訴えを起こす場合の弁護士選びのポイントとしては、次のようなものがあります。

  1. ① 医療過誤問題に力を入れている
  2. ② 対応が素早い
  3. ③ 被害者の気持ちに寄り添った対応をしてくれて話しやす

 

①医療過誤問題に力を入れている

産婦人科などの医療機関を訴える場合には、医療過誤問題に力を入れている弁護士を選ぶことが重要です。

医療訴訟を適切に進めるには、

  • カルテや検査結果、協力してくれる医師や被告側の医師の話を正確に理解する
  • 医師の行為のどこに過失があったかを的確に設定する
  • 医師の過失と結果の発生の間に因果関係があったことを医学的に説明できる

といったことが必要になります。

そのため、医療過誤問題に力を入れており、医療に関するリテラシーの高い弁護士に依頼することが大変重要になるのです。

また、医療過誤によって生じた損害に対する賠償金の算定方法を熟知していることも重要になります。

 

②対応が素早い

弁護士を選ぶ場合は、対応がスピーディーであるかも重要になります。

法的紛争の中に身を置くことは大きなストレスとなりますので、当事者の方は、できれば争いごとを早く解決したいと思っています。

それなのに弁護士の動きが遅いと、紛争解決までに余計な時間がかかってしまいます。

特に、医療訴訟の場合、病院側へのカルテ等提供の申し入れ、協力医の確保、病院側との協議、訴状・証拠の準備など、弁護士が行うべきことが数多くあります。

動きの遅い弁護士だと、これらの一つ一つに時間がかかり、結果として、終局的な解決が大幅に遅れてしまうことになりかねません。

相談を申し入れた際の対応、次の動きまでにどの程度時間がかかるかに対する返答などを見て、対応が素早い法律事務所かどうかをよく見極めるようにしましょう。

 

③被害者の気持ちに寄り添った対応をしてくれて話しやすい

医療訴訟を起こそうという方は、大きな心の傷を負っています。

自分や家族が障害を負ってしまった、大切な人を失った、余命が限られ治療の望みもない・・・など、大変辛い状況にある方がほとんどです。

そうした方をサポートする弁護士には、被害者の気持ちに寄り添った対応ができる能力が必要です。

また、医療訴訟は、患者側にとって、人生に関わる大きな問題ですから、実際に相談してみて「話しやすい」と感じられる、といった、弁護士との相性についても大切に考える必要があります。

悔いのない解決を共に目指していける、あなたの気持ちに寄り添ってくれる弁護士を見つけることを目指しましょう。

 

 

産婦人科への訴えについてのQ&A

産婦人科の訴訟率はどのくらいですか?

産婦人科の医師の中で訴訟を起こされる割合は、1年間で1000人中3.6人となっています(令和4年)。

 

これは、他の診療科の医師に比べて高い数値となっています。

産婦人科医が少ない理由は何ですか?

産婦人科医が少ない理由には、出産はいつ起こるか分からず、365日24時間対応が必要であること、日本の出生数が減少しており、将来的に産婦人科医が余るおそれがあることなどに加え、産婦人科の医師は訴訟を起こされるリスクが高いことがあると言われています。

帝王切開手術を受けた母親が出血多量で死亡した事案で、執刀医が2006年に逮捕、起訴されたという事件(福島大野病院事件)が、医学界に衝撃を与え、産婦人科の医師が減少する契機となったと言われています(なお、執刀医は、裁判で無罪が確定しています。福島地裁平成20年8月20日判決)。

 

 

まとめ

今回は、産婦人科に対するものをはじめとした医療訴訟の特徴、手続き、訴えを起こす際の注意点、医療訴訟を依頼する弁護士の選び方などについて解説しました。

出産という本来喜ばしいはずのことが悲劇に変わってしまった・・・という事態に直面されている方は、本当に辛い思いをされているかと存じます。

そのような中、産婦人科の医師・病院を訴えたい、とお考えの場合は、ぜひ一度、医療過誤問題に力を入れている弁護士にご相談ください。

そうすれば、どのような方法で問題を解決に導くことができるか、一緒に考えてくれるでしょう。

当事務所では、人身障害部に所属し、交通事故等によるケガの補償に関する対応についての経験が豊富な弁護士が、それにより積み重ねた医学的な知識・損害算定に関する知識を活かし、医療過誤に関するご相談の対応に当たっております。

医療過誤に関する初回の相談は無料となっております。

お困りの方は、ぜひ一度、当事務所までお気軽にご連絡ください。

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