※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないように内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
- 依頼者:会社側(製造業を営む株式会社)
- 相手方:ホイールローダー作業員(Yさん 40代)
- 解決までの期間:約2か月
結果
従業員側の請求額 | 結果 | 利益 |
---|---|---|
5000万円 | 1500万円 | 3500万円減額 |
災害の状況
Yさんは、会社の施設内でホイールローダーで土砂等を運搬する業務に従事していました。
事故当日は、持ち場において、他の従業員が運んできた土砂をホイールローダーで押し上げていました。
そのとき、現場にはYさん一人で他に従業員はいませんでした。
15時ころ、他の従業員がYさんの持ち場に行ったとき、Yさんがホイールローダーの下にうずくまって倒れている姿を発見しました。
現場の状況から、Yさんが押し上げた土砂の一部が部分的に崩落してホイールローダーへ直撃し、Yさんも巻き添えを食う形で崩落した土砂とともにホイールローダーから転倒した模様でした。
Yさんは病院に運ばれましたが、内臓破裂により亡くなってしまいました。
後日、警察及び労基署より現場検証が行われ、会社に対し、業務上過失致死の疑いで捜査されることとなりました。
その後、Yさんのご遺族より依頼を受けた弁護士から内容証明郵便が会社に届きました。
その書面には、会社に対して約5000万円の損害賠償を求めると記載されていました。
会社はあまりの金額の大きさに驚き、当事務所の弁護士に相談し、今後の対応をすべて依頼されました。
デイライトの対応
デイライトの弁護士は、事実関係を正確に確認するために事故現場に行き、検証しました。
また、事故関係の資料をすべて精査しました。
すると、以下の事実が浮かび上がってきました。
- 土砂の積み上げについて、会社は普段から従業員に対して高くならないように一定の高さを限度とするように指導徹底していたこと。
- にもかかわらず、事故当日、Yさんが土砂を限度を超えて押し上げていたこと。
- ホイールローダーの向きが通常の向き(土砂に向かって前向き)ではなく、横向きになっていたこと。
- Yさんは10年前に会社に就職し、現場リーダーとして数名の部下がいたこと。
上記の事実から、弁護士はYさん側にも過失があったと判断しました。
つまり、Yさんが土砂を高く押し上げず、また、通常の使用(土砂に前向き)で業務を行っていれば、事故を回避できたはずでした。
そこで、弁護士は、50パーセントの過失相殺を主張しました。
また、損害の項目のうち、遺族補償年金、葬祭費等について、損益相殺を主張するなどの弁護活動を行いました。
さらに、死亡慰謝料の金額も相手弁護士の主張する金額が高すぎるとして争いました。
ただし、死亡事故であるため、ご遺族の心情を害さないように配慮した書面を作成し、かつ、事故の再現資料を作成するなどして十分な説得材料を提供しました。
その結果、相手弁護士の主張する額(5000万円)を大幅に下回る金額(1500万円)での示談が成立しました。
事案のポイント
今回の時間の大きなポイントは、事故の現場を実際に検証したことです。
この事案では、事故発生時、目撃者が誰もいませんでした。
労基署への提出書類を鵜呑みにせずに、現場に行き、事故の状況をイメージすることで、従業員側の過失についてイメージすることができました。
また、労災事故、特に死亡事故や重傷事故ではご本人やご親族の心情に十分配慮することも重要です。
被害者側の気持ちに寄り添いつつも、適切な賠償額を説得力をもって主張することで、裁判を回避し、早期解決への道がひらけます。
加害者側のみならず、被害者側にとっても最善の結果をもたらすことができたと考えます。
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないように内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。