リスクアセスメント未実施の場合労基署は指導をしてきますか?

リスクアセスメントの実施は、労働安全衛生法に規定されていますが、努力義務にとどまり、罰則もないので、リスクアセスメントを実施しているかどうかの確認のためだけで労基署の調査や指導が入ることは少ないと考えられます。

ただし、労働災害防止のためにリスクアセスメントは実施しておくことをお勧めします。

リスクアセスメントの目的と効果

リスクアセスメントは、職場の潜在的な危険性又は有害性を見つけ出し、これを除去、低減するための手法です。

労働安全衛生法28条の2には、企業はリスクアセスメントを実施するよう努めなければならないことが規定されています。

参考:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

リスクアセスメントを実施する目的は、職場のみんなが参加して、職場にある危険の芽(リスク)とそれに対する対策の実情を知って、災害に至る危険性又は有害性をできるだけ取り除き、労働災害が生じないような快適な職場にすることです。

リスクアセスメントを実施することで得られる効果としては下記の5つが挙げられます。

リスクアセスメント実施の効果

①職場のリスクが明確になる

職場の潜在的な危険性又は有害性が明らかになり、危険の芽(リスク)事前に積むことができる

 

②リスクに対する認識の共有ができる

リスクアセスメントは現場の作業者と管理監督者で実施していくことから現場全体でリスクに対して共通認識を持つことができる。

 

③安全対策の合理的な優先順位が決定できる

リスクの見積もりの結果により、実施する安全対策に優先順位をつけることができる

 

④残留リスクに対して「守るべき決めごと」の理由が明確になる

すぐにリスク低減措置を実施できなくても現場作業員が注意して作業にあたらなければならないことが認識できる。

 

⑤職場全員が参加することにより「危険」に対する感受性が高まる

現場作業員が感じた危険を共有でき経験が浅い作業員に作業の危険性や有害性を感じてもらうことができる。

 

 

リスクアセスメントの手順

リスクアセスメントの手順

リスクアセスメントの実施方法は、以下のような流れで実施することになります。

業種別の実施事例などが厚生労働省のホームページに掲載ていますので、参考の上、実施されることをお勧めします。

 

①危険性又は有害性の特定

機械・設備、原材料、作業行動や環境について危険性又は有害性を特定する。

ここでの危険性又は有害性とは、労働者に負傷や疾病をもたらす物、状況のことで、作業者が接近することにより危険が生じる状態が想定されている。

 

②危険性又は有害性ごとのリスクの見積もり

特定したすべての危険性又は有害性についてリスク見積もりを行う。

リスクの見積もりは、特定された危険性又は有害性によって生じるおそれのある負傷又は疾病の重篤度と発生可能性の度合の組み合わせで行う。

 

③リスク低減のための優先度の設定・リスク低減措置の内容の検討

危険性又は有害性について、それぞれ見積もられたリスクに基づいて優先度を設定する。

 

④リスク低減措置の実施

リスク優先度の設定の結果に従い、リスクの除去や低減措置を実施する。

リスク低減措置は、基本的に以下の優先順位で検討する。

リスク低減措置の優先順位

本質的対策
(危険作業の廃止・変更、設計・計画段階からの危険性の除去など)

工学的対策
(インターロック、局所排気装置の設置等の設備対策)

管理的対策
(作業手順の作成と教育など)

個人用保護具の使用

 

 

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