労災認定の後遺障害等級を前提とせず、実質的に勝訴和解をした事例


※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないように内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

  • 依頼者:会社側(建設業を営む株式会社)
  • 相手方:現場作業員(Yさん50代)
  • 解決までの期間:約1年8か月

結果

従業員側の請求額 結果 利益
4000万円 350万円 3650万円減額

 

災害の状況

Yさんは、会社が請け負った作業現場で現場作業員として働いていました。

Yさんは、同僚であるAさんと同じ現場で作業していたところ、ちょっとしたことで口論になりました。

その場はすぐに収まりましたが、同日の終業前に再び口論となり、揉み合いになって、Yさんは転倒しました。

その際に、Yさんは、手首を骨折してしまいました。

その後、Yさんが、労災申請を行ったところ、業務災害として認められ、後遺障害10級の認定がなされました。

Yさんは、この等級に基づき、会社に対して約4000万円を請求してきました。

会社は、Yさんが骨折したのは、Yさん自身に責任があると考えていました。

そこで、会社は、Yさんからの請求について当事務所の弁護士に相談し、今後の対応を全て依頼されたのです。

 

 

デイライトの対応

弁護士は、YさんとAさんが口論から揉み合いになった経緯について詳細に聞き取り、見通しを立てました。

その上で、会社と協議し、裁判にてYさんからの請求を争うことにしました。

裁判においても、Yさんは、全面的に会社に責任があるとして、後遺障害の慰謝料や逸失利益などを合計約4000万円を請求してきました。

弁護士は、こうした請求に対して、会社は安全配慮義務違反もないし、使用者責任(民法715条)も負わないとして、賠償責任の根本から争いました。

具体的な活動として、弁護士は、Yさんがケガをした現場に赴き、現場に居合わせた他の従業員などの話を聞いて、具体的にYさんがどのような経緯・態様で転倒することとなったのかを特定し、証拠化して裁判所に提出しました。

また、現場に居合わせた他の従業員の事情を聞き取り、陳述書として裁判所に提出しました。

さらに、証人尋問において、Yさんの供述の矛盾点を指摘するなどして、Yさんの供述の信用性を低下させました。

こうした活動の結果、裁判所においても、会社の責任の存在自体に否定的な考えを持ってもらうことができました。

判決までいけば、Yさんの請求をほぼ完全に排斥することもできたかもしれませんが、Yさんが元従業員であることも踏まえ、早期解決を前提に会社がYさんに350万円を支払うことで和解することとなりました。

 

 

事案のポイント

本事案のポイントは、Yさんが転倒してケガをするまでの事実関係について、Yさんと会社のどちらの主張が真実であるかという点です。

そのため、弁護士としては、会社側の主張する事実関係が真実であることを裁判所に分かってもらうために、具体的に事実関係を主張し、それを根拠づける証拠を提出したのです。

その結果、本件では、会社側の主張する事実関係が真実であると裁判所に分かってもらうことができました。

労災事件において、従業員が会社に賠償金を請求するには、会社に安全配慮義務違反や使用者責任(民法715条)が認められることが必要です。

本件のように労災認定されている事案においては、労働基準監督署において、業務災害と認定しているため、その認定に反する判決を得ることは容易ではありません。

しかし、労働基準監督署も全ての事情を踏まえて認定しているのではなく、前提とする事実関係に誤りがあることもありえます。

本件のように、会社側の考える事実関係を証拠に基づき、主張することで、労災認定とは異なる結論になることもあるのです。

 

 

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