面会交流で会わせてくれない。勝手に会うのは許される?
面会交流で監護親が会わせてくれなくても、勝手に会うのは問題があります。
面会交流でお子さんに会うことができない方はとてもつらい日々を過ごされていることかと存じます。
しかし、監護親の了承なく、勝手に会うと、今後の面会交流がスムーズにいかなくなります。
また、最悪の場合、家裁が監護親の面会交流拒否を認めるようになるかもしれません。
ここでは、離婚問題に注力する弁護士が面会交流が難航しているケースについて、状況別に、勝手に会うことの問題点や対応策を解説しています。
面会交流でお困りの方はぜひ参考になさってください。
面会交流で合せてもらえないケース
面会交流で会わせてもらえない状況は大きく①面会交流の約束がない場合と②面会交流の約束がある場合に分けられます。
ケース別にみていきましょう。
①面会交流の約束がない場合
この場合、まずは、面会交流を相手方に申し入れ、拒まれた場合には、面会交流の調停を家庭裁判所に提起するのが最善です。
「面会交流を申し入れたが拒まれた」ということを記録に残すために、文書等で申し入れを行うのが良いでしょう。
電話や対面で申し入れる場合には、それを録音したいところです。
というのも、裁判所は、証拠や疎明資料をもとに、その事実の有無を判断するからです。
面会交流の調停では、調査官という児童問題の専門家が、双方の親や子にヒアリングを行い望ましい面会交流の在り方を提案します。
これで、相手方が応じれば良いのですが、拒む場合には、家庭裁判所の裁判官が審判で判断をくだします。
現在の家庭裁判所の実務では、原則、面会交流は実施する方向で判断されます。
このとき、注意すべきは、調停が成立したり裁判所の審判が出るまでの間、数ヶ月ありますが、相手方の承諾なく勝手に子に会いにいったりはしないことです。
これをやってしまうと、裁判所がその点を重くみて、場合によっては、会えなくなることも有りえます。
子どもに一刻もはやく会いたくてやるせなく苛立つのはわかりますが、冷静になりましょう。自分が代理人弁護士をつけている場合には、そのやるせなさや苛立ちは、自分の代理人弁護士にぶつけましょう。
②面会交流の約束がある場合
この場合、会わせてもらえない方の親の苛立ちはより一層大きくなります。相手方が約束違反をしているのですから、当然です。
しかし、ここでも、絶対に、自分自身の判断で会いに行くことはやめましょう。まずは、専門家である弁護士に相談してください。
裁判所は、「最初にルールを破ったのは相手方なんだから、自分が会いにいって何が悪いんだ」という弁解を許しません。例えば、以下のような審判例(那覇家沖縄支審平15.9.29)があります。
この事案では、調停で面会交流を月に1回行う旨の合意をしたのですが、その約束を相手方が破り、3か月連続で会わせてもらえなかったというものです。
これに我慢ができなかった非監護親は、子への直接の接触をはかりました。その接触は一度ではなく複数回あったようです。
裁判所は、最初に約束違反をした相手方の問題には特に触れず、「感情の赴くままに不適切な面接交渉を繰り返していること」に重きを置いて、当面の間面会交流を行わないのが相当という判断をくだしました。
相手方の約束違反に立腹して、カッとなって直接会いにいってしまったために、逆に当面会えなくなるという結末を呼んだのです。
まとめ
以上、ケース別にみてきましたが、いずれの場合も、面会交流ができなくて悩んでおられる方はご自身で判断して行動をとってしまうと、必ず、痛い目に遭います。
自身の真の目的である子どもとの円滑な面会交流を達成するためには、冷静さがポイントです。
自身の判断で悲惨な結末になる前に、ぜひとも専門家である弁護士の力を借りましょう。
なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?